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高校卒業後、就職の為、地元を出た#あの選択をしたから


#あの選択をしたから


高3の冬

実家から、最寄りの駅までは遠い。

白鳥が飛来すると有名な湖を過ぎて、
7時代の電車に乗らなくては、
高校へは辿り着けない。

駅までは、自転車で30分ほどかかる。

その時期、親とは口も聞いていなかった。
いわゆる"反抗期"である。

その朝は、いつもと違った。

母から、
『お父さんから話がある』と、
駅まで車で送ってもらう事にした。

沈黙が流れる車内。

父が、
『会社、たたむことになった』
と、だけ言った。
『就職して、自分で生活するんだよ』
とも、言った。

塾にも習字にも、小1から中学まで
通っていた。
ピアノもやった。

デパートで服も買っていた。

私は、家から1時間ほどの高校に
通っていたし、高校近くのスーパーで
レジ打ちのバイトをしていたから、
帰りが遅かった。

家の状況など、何も知らなかったのである。

今の時代、ホームセンターへ行けば、
材料なんて、手に入る。
ハウスメーカーも沢山ある。

田舎の小さな材木屋は、
なかなか経営が大変だったんだと思う。

残ったのは、家のローンだった事が
唯一の救いだったような気がする。


そこで私は、大学へではなく、
就職する事に決まった。

大学へ行って、遊ぼうと思っていた
自分が、ばかばかしく思えてくる。

これが、私の県外へ出る、
"きっかけ"
に、なったのである。


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