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新聞記者から教わった新聞コラムの書き方8つの心得と実際の記事2本紹介【月刊お気楽フリーランス論番外編】

東京新聞で毎週土曜日に「週刊ネットで何が…」というコラムの連載をさせてもらっていますが丸8年を越え、9年目に入りました。いつもありがとうございます。

この仕事を開始したのは2012年5月だったのですが、東京新聞の「ヤクザ記者」という記者が私の原稿を初期の頃毎週見てくれました。ヤクザというわけではなく、ダミ声で長身で顔が恐ろしいためこう呼んでいます。開始から3回連続でダメ出しをくらいました。

当時、私は何冊も本を出していましたし、雑誌でもウェブでも署名原稿を出すようなポジションはすでに獲得していたし、各種ウェブメディアでは編集の責任者的ポジションに就いていたので、「ワシは一応確立された地位を持ったライターなのですが……」なんて思うこともありましたし、「だったら辞めてやる!」なんてことさえ思ったほどです。

しかし、はたと思ったのは、「オレは新聞でコラムを書くのは初めてだ。だったらその『作法』というものを習得していないだけだし、ヤクザ記者のダメ出しはオレを鍛えてくれているのだろう」と考えました。

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そして恥を忍んで「すいません、近々新聞コラムの作法を教えていただけませんでしょうか」とお願いをしたところ、数日後の夜、表参道のラ・ボエムまで来るよう言われました。「酒飲んだ方が中川さんはいいでしょ?」と言われて。

約2時間、ビールを飲みながらヤクザ記者のレクチャーを聞いたのですが、最初に言われたのは「中川さんは見つけてくる題材はいいし、着眼点もいいんだけど、いかんせん新聞っぽくないし、毒が強すぎるんです」ということ。そしてこう続けられました。

「新聞って『新聞の独自の文章スタイル』『型』みたいなものがあるんですよ」

それをこの日学んだのですが、「なるほど!」と膝を打つ場面ばかりでした。そしてその2日後、その週のコラムを提出し、ドキドキしながらヤクザ記者のチェックを受けます。電話が来たら一言「いいじゃねーかよ! この前のアドバイスだけでよくここまで書けたじゃねーか!」と言われました。

そうなのです、私はヤクザ記者の2時間のスパルタ塾により、「新聞文体」を学習できたのです。以来、ヤクザ記者直伝の新聞コラムの作法を守り続け、8年以上が経過しました。同氏から教わった書き方を紹介しましょう。文字量は875文字ほどです。

【1】題材を選んだら、一番言いたいことが何かを決めておく

【2】第一段落だけで、「この原稿が何について書かれてあるものか」が明確に分かるようにしておく。

【3】第二段落以降で実際に発生した事象の解説をする

【4】できれば類似の事象ももう一つ入れる

【5】正反対の事象や事例もあれば入れる

【6】何らかの意見・主張をする

【7】最後にクスッと笑わせるか、ちょっぴりホロリとさせる

【8】なお、ネットに疎い読者も多いため、適宜用語解説入れる。「これくらいネットに慣れている人は分かります」というゴーマンさはダメ。あとはあくまでも一般紙のため、弱者の側に立つべし。

かくして以下のようなコラムをこれまでに400回以上書いてきました。ネットはネタの宝庫ですから、ネタ探しにはまったく困りません。それでは具体的なコラム2本紹介します。【1】~【8】すべてが網羅されているというわけではありませんが、意識はしています。1本目が「品薄商法」についてで、2本目が野球の「量産型〇〇」についてです。多分、両方読むとヤクザ記者の教えが理解できるのではないでしょうか。今回全文無料で~す。

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連載していた「月刊お気楽フリーランス論」全部入りです。中川が書いた25回と吉河が書いた「sidestory」15回をまとめて少し安く販売します。フリーで仕事をバンバン取りたい方はぜひご一読を。ただ、ライター・編集者寄りですが、うまくいったフリーの基本姿勢なんかも書いてます。

フリーになってから19年、ネットニュース編集を始めてから14年、本が売れてから11年、そして会社をY嬢こと吉河と始めてから10年。一旦の総…

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