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歴史に残る愛妻家①マルティン・ルター

中世の宗教改革者、マルティン・ルター。

「95ヶ条の論題」を出し、既成の教会権力と戦った事で有名です。

その激しい性格のイメージからはなかなか想像がつかないのですが、超愛妻家だったこと、御存知でしょうか?



マルティン・ルター

マルティン・ルター(引用:Wikipedia)

16世紀、カトリック教会のトップであるローマ教皇庁は、資金調達のために免罪符を販売しました。
「現世の罪が許され、天国に行ける。故人のために買えば、その人も救われる」とうたった免罪符は、飛ぶように売れたそうです。

これに対し、ルターは激怒

「何かが違う!」と直感的に思えたのでしょう。

1517年、ヴィッテンベルク城内の教会の扉に「95ヶ条の論題」を発表。

信仰にのみ人々は救われる。免罪符は人々の信仰心をゆがめる」と批判し、教会側と徹底交戦に入ります。

「ドイツの国をくれると言われても、妻のいる家庭の方がいい」

激情家のルターが意外にも見せた妻への愛情。

このドイツの国を私にくれると言われても、私は、それよりも、優しい妻がいる家庭を選ぶ

という言葉が残されているそうです。

国をくれるよりも妻の方が良い!!

ルターの愛情の深さが伝わってきます。

ローマ教皇という、権力のトップと戦っているルターらしい言葉でもありますね。

その他に、「わたしは妻をフランスともベネチアとも取り替えたくない」とも言ったとされています。

時には妻のことを「わたしの肋骨」とも呼んだそうです。
(これは聖書に、「神がアダムとイブを創った時、アダムの肋骨からイブが創られた」との記述があるためです)

いずれにせよ、妻が大好きなことはとてもよく分かりますね。

ルターの妻・カタリーナ

カタリーナ(引用:Wikipedia)

カタリーナは修道女でしたが、ルターの著作を読んで共感し、彼に手紙を書きます。

文通による交流が始まり、カタリーナはどんどんルターに惹かれていきました。

ルターの教会改革は修道院批判まで含まれていました。

そのため、カタリーナは仲間の修道女達と共に、修道院を脱出することにしました!

カタリーナ、修道院を脱出!

修道院を脱出すると心に決めたカタリーナ。

ルターと交流のあった商人の手を借り、なんとニシンの塩漬けの空樽に身を潜めて脱出したそうです!

空樽に身を潜めて修道院を脱出とは、さすが将来のルターの妻ですね!

修道女とは言え、元は良家の出身だった仲間も多く、1人、また1人と結婚していきます。

そんな中で、カタリーナは一向に結婚しませんでした。

彼女の心には、愛するルターがいたからです。

カタリーナ、結婚を迫る!

やがてカタリーナは、一人暮らしだったルターの家に行き、身の回りの世話を買って出ます。

そして、予想通りの流れですが、しばらくすると、「私と結婚するべき」と主張するようになります。

聖職者に求婚とは、なかなか強いメンタルをお持ちです!

ルターも最初は結婚までは考えていなかったようですが、カタリーナの情熱に押され、やがて2人は結婚しました。

聡明なカタリーナ

結婚までのエピソードで分かる通り、カタリーナはハッキリとした意志を持っている賢い女性です。

結婚後は、ルターの自宅で開催される勉強会にも参加しています。

男性優位だった当時、女性が男性と対等に座り、議論するなどあり得ないことだったそうです。

妻に勉強会への参加を許したルターの懐の広さも、もっと評価されて良いのかもしれません。

幸せな家庭生活

カトリックでは、聖職者の結婚は大罪です。
(プロテスタントでは、聖書に根拠がないとして、聖職者の独身制を否定しています。)

そのため、聖職者と脱走した修道女の結婚は冷ややかな目で見られました。

しかし、ルターとカナリーナは周囲の批判を気にしません。

2人は3男3女に恵まれ、安定した家庭生活を満喫しました。

結婚して満ち足り、子どもが与えられて幸せだ」とのルターの言葉も残っています。

あれだけ教会や旧勢力を批判し、一歩外に出ると常に戦場のような環境であったに違いないルター。

そんなルターにも、家庭という帰るべき場所があったからこそ、戦えたのかもしれません。

ルターがいてくれたからこそ……

ルター像

カトリックの既成勢力からすれば、教会権力を批判し、さらに結婚をするなど、ルターはさぞかし型破りな存在に思えた事でしょう。

しかし、ルターがいてくれたからこそ、聖書はドイツ語に訳されました

ルターがいてくれたからこそ、プロテスタントの流れが起きました。 

キリスト教に直接関係ないわ、という方にも関係があります。

ルターがいてくれたからこそ、マックス・ウェーバーによって「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」という本が書かれ、資本主義が肯定されました

ルターがいなければ、「勤勉に働いて対価を得る事が神に許された事である」という考え方も生まれなかったかもしれません

つまり、私たちは、お金を稼ぐ事に罪悪感を持ってしまう可能性がありました。

そう考えると、ルターが活動してくださったことに感謝ですし、ルターを温かく包み込んでいたであろうカタリーナに、私たちも頭が上がりません。

まとめ

ルターを強くしたのは、きっとカタリーナの愛情家庭の温かさだったのでしょう。

そして、そんな妻への愛を惜しげもなく表現するルター、素敵です。

まさか500年以上も愛妻家エピソードが残っているなんて、奥様も幸せ者ですね!

最後までお読みくださり、ありがとうございました。



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