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『Children of the Sun』リプレイ性が少女の怨念とシンクロする

 ゲーマーなら誰しも好きなメーカーというものがあると思う。任天堂のタイトルしか遊ばない人はザラにいるだろうし、スクエニの出したRPGは一通り遊んでいる、なんて人も別段珍しくはない。僕の場合はメーカーではなく、好きなパブリッシャーというものがある。アメリカの中でも異彩を放つインディーパブリッシャー、Devolver Digital である。アメリカでE3が開催されている時期に便乗して、出展していないのにあたかもプレスカンファレンスを開催しているかのような動画(しかも内容がスプラッター風味満載)をアップロードしたことでお馴染みの会社である。

 この会社の悪ふざけには枚挙に暇がない。

  • EA が Steam へ復帰をした際、一度も撤退したことがないくせに「Devolver Digital も Steam へ復帰します」と SNS で宣言する

  • 自社から出したタイトルの海賊版(という名のディメイク作品)のオムニバス作品Devolver Bootlegを発売する

  • 大事なのはマーケティングよりもゲームそのものである、という理由で、廃墟化したゲームの展示イベント会場を探索するゲームをリリースする

  • 発売が延期になってしまった自社タイトルを「その勇気を称えて、盛大に発表」するとして「Devolver Delayed」というショーケースイベントを開催する

  • 京都で開催された「BitSummit」に出展し、セブンイレブン風のブースを施工する

 ジョークそのものをマーケティングに盛り込む独特な手法で定期的に話題を作っているパブリッシャーであり、抱えているタイトルもまた独特な雰囲気の物が多い。かつては『Fall Guys』も Devolver Digital からの発売であった(後に EA へ譲渡)。『Fall Guys』のようなポップなタイトルを手掛けるのも上手いが、その対極にあるような血に塗れたタイトルを手掛けるのも同じくらい得意としている。そんな Devolver Digital らしさ溢れるタイトルのデモ版が出ていた。『Children of the Sun』である。

タイトル画面からしてただならぬ雰囲気を醸している

燃え盛る怒りを胸に、少女はたった一人でカルト教団に立ち向かう。一発の銃弾を頼りに一人また一人と狂信者を葬り、真の敵である教祖へと迫ってゆく。その旅路で、少女は不気味な教団の忌まわしき真実と、主の名のもとに繰り返される残虐な行為の数々を暴くことになる。

『Children of the Sun』は、たった一発の弾丸を放ち、その軌跡を狙い通りに操ることで前進する三人称視点の戦略的パズルシューターだ。先に進むほど複雑さが増すステージで弾道を予測し、罠を仕掛け、環境を味方につけて狂信者たちを仕留めろ。運命を切り開くのは、計算し尽くされた一発の弾丸。絶妙な射撃でカルト教団を叩きつぶせば、得も言われぬ快感を味わえるだろう。

Steamストアページより引用

 ステージを始める前に短いムービーが流れるのだが、どうやら少女(主人公だが名前は明らかにされず「少女」としか名前が付いていない)がカルト教団への復讐を図るストーリーであるらしい。少女が使うスナイパーライフルは、自殺してしまった父親が口に咥えていたものである。

腰には『NO PEACE』の文字
復讐を誓う「少女」

 というわけでカルト教団の狂信者を抹殺するためにスナイパーライフルを担いで殺戮の旅へ出る、というのがこのゲームのストーリーだ。ただし1ステージで使える銃弾は一発のみで、発射後の跳弾でマップにいる全員を倒さなければならない(なぜそんな大変なやり方をしているのか説明は無い)。

マウスだけで操作が完結しており、意外にもカジュアルに遊べる

 跳弾ということで何か角度を計算して発砲するビリヤード的なゲームを想像していたが、そういうゲームではなく、弾がヒットするとその場所から再度エイムを行って跳弾の角度を自由に決められるようになっていた(上下・左右、360° に操作可能)。エイム中はバレットタイムになっており、走って逃げ出す敵もいるがそれが原因で外れるほど速くはない。もっとハードな難易度のものを想像していたが、実際には動物的な勘も操作テクニックも必要としない、ゲーム性だけ切り出してみれば幅広いプレイヤーに門戸の開かれた優しいゲームになっている。

ヘッドショットで倒された狂信者
※あまりにも画像が暗すぎたので加工して明るくしています
そのヘッドショットが当たった位置から再度エイムを行う
ここで慌てずゆっくり操作しても全く問題ない

 つまりマップに点在している狂信者たちを線で結べばクリアということになる。クリア後はスコアが計算されるが、なるべく長距離の線を編み出した方が高得点になるよう設定されており、一度クリアしても、より複雑で距離の長い射線がないか深堀りして遊ぶことができる。

クリア後は射線をマップの真上から確認できる

 この他にはチャレンジ要素として、ステージのサブタイトルが意味するものを見つけて特殊なオーダー通りのショットを決めるというものがある。以下の画像ではステージのサブタイトルに「燃ゆる弾丸は身を焼く痛み」とあったので、炎上している炎越しの敵を倒したところ、このチャレンジがクリアとなった。ただこのサブタイトルの意味するところがちょっと難しく、何にどういう倒し方をすればチャレンジ成功とカウントされるのか分からないステージもあった。

分かりづらいが「5」でマーキングされた敵へ炎越しにエイム
ヒットすることでチャレンジ成功の表示

 また、ステージが進行する毎に徐々にテクニックもやれることが増えていき、カーブショットが撃てるようになる。銃弾が飛んでいる最中に右クリックを長押しするとバレットタイムが発動し、銃弾の飛ぶ方向を一定の角度内で変えることができる。これにより障害物で隠れているターゲットを捉えることも可能になっている。更にゲームを進行させるとカーブどころか鋭角に射線を変更できるようになるなど、ゲームとして複雑化してくる。

射出先に狂信者がいた……けどこのままでは当たらない、そこで
右クリック長押しをすると、射線をエイムして変えることができる
この間はバレットタイムなので操作はイージー

 基本的にはトライ・アンド・エラーのゲームであると考えればよくて、何度も失敗してはああでもない、こうでもないと試行錯誤することが前提の設計になっている。デモ版に収録されているマップではそこまで悩むことはないが、時間をかけて1ステージをクリアした時の達成感は強い。あそこにいる奴をここで倒すと今度はあそこにいる奴に当たらないから……でもカーブショットを使えば当たるかな? など懸命に狂信者を殺すことを何度も血眼になって考えることで、いつしかカルト教団への復習を誓う少女の怨念とシンクロする感覚が生まれるようになる。

(たぶん)教団のボスのおっちゃん

 強い世界観で構成されたゲームだが、やることは自由度の高いパズルゲームである。『Children of the Sun』は4月9日発売予定。

illustration:あすま(@asu5m843B
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