徒然歌

「どれ今年も、坊らを祝ってやらう」かと蕾震わす老桜かな
雪が止み常より青の濃い空へボールを蹴っては追う子どもたち
俗っぽい光で霞む夜空にも道示す星は微かに瞬く
久方の光で満ちる公園で何もしないをただただ過ごす
初めてのハローワークへ歩を進める春風ふわりと背中を押して
塞翁が馬というけど君の死と釣り合う幸などあるはずもなく
手に持つは足元照らす灯りのみ行くも戻るも道は見えざる
一粒の種より育つ大木のただ一枝しか親は選べず
今日よりも暖かくなる明日があるただそれだけで春は尊し
散る花を舞い上げる風よ雲よりも空よりも高く我を運べよ

「幻桃7月号」投稿作品

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