ベランダにて

一日のうち六時間は眠ってて二時間はただ空を見ていた
コンビニの弁当でもいい自分のために誰かが作ったご飯が食べたい
自分でも演技と本気の境目がわからないまま子を叱責す
歌うたう時間も惜しし打ち込める仕事に出会えた最後の不惑
締め切った窓の外では知らぬ間に夏から秋へ空気が変わる
縁側が開け放たれた駅前のカフェで今だけ若返っている
人生という階段の踊り場のように静かな秋晴れの昼
通り過ぎるエンジン音が消えさったのち虫たちが鳴く秋の夜
流れ星のように夜道を自転車が流れてはまた家に消えゆく
「夏休みディズニーランドに行きました」子の初の句を全力で褒める

幻桃1月号投稿作品

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