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【綿町ダイアリー】#61 受け月

連載日記『綿町ダイアリー』✏︎姫路市綿町でブライダルプロデュースとカフェを融合したブライダルカフェを運営しています。ウェディングプランナー&カフェマスターの二刀流の日々を綴ったエッセイです。

2022時10月20日。

早朝3:30。
僕は牛乳瓶を手に新舞子のあたりを歩いている。早朝宅配の仕事中だ。

今、電灯の無い通りにある立派な佇まいの旧家の玄関先の宅配ボックスに牛乳を入れ、首から下げたネックライトの光を頼りに軽トラックに戻っているところだ。

今で80軒目くらいだろうか。
身体の疲れからか、何となくひと呼吸ついて僕は空を見上げた。

今日の星はキレイに見える。

オリオン座がこんなにクッキリと見えることは滅多にないから、僕はしばらくぼんやりと眺めていた。

その横には、受け月が輝いている。

受け月とは杯の形をした三日月のこと。
両手を合わせてお祈りすると願い事がこぼれずに叶うと言われている。

僕はこの受け月の存在を、その昔、伊集院静さんの同名小説で知った。(直木賞受賞作のこの小説を読んで以来、僕は大の伊集院静ファンになった)

寝不足で少し疲れた僕の目線の先にその受け月が浮かんでいる。

一瞬、泣きそうになった。

(そうだ。何か願い事するんだっけ・・・)

僕は慌てて手を合わせ受け月にお祈りをした。

近くの民家の部屋の窓からラジオの音が聴こえてくる。佐久間さんのオールナイトニッポンかな。

この早朝の時間、寝てる人、起きている人、すでに散歩にでてる人・・・、生活サイクルは人それぞれである。

僕は仕事してる人だな。

さぁあともう少し。
気合い入れて頑張ろう。

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