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平成26年衆議院解散の思い出

議長:ただいま憲法第七条により詔書が発せられた旨、内閣総理大臣から伝達されましたので、これを朗読をいたします。
日本国憲法第七条により、衆議院を解散する。
御名

(議場より万歳と呼ぶ者あり)

議長:御名御璽
平成二十六年十一月二十一日
内閣総理大臣 安倍晋三
以上です。万歳はここでやってください。

(議場より万歳と呼ぶ者あり)

以上をもって散会いたします。

平成26年の衆議院解散のときの様子を覚えている人はいるでしょうか。当時の議長は伊吹文明先生、内閣総理大臣は安倍晋三でした。

まず第一に、近年は「衆議院を解散する。」で議長の詔書朗読は終わり、この段階で万歳三唱が起こるのが通例でした。

しかし伊吹議長は全文朗読したので万歳のタイミングがずれてしまいました。確かに詔書にはそう書いてあるんですけどね。

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当時は「フライング万歳」と言われたりもしましたが、フライングを責めるのは酷で、むしろなんで伊吹議長は全文朗読なんかしたんだよって話ですよね。

それより問題はむしろ最後です。

以上をもって散会いたします。

これは「ビール大好き」なアカウントもその場で気付いて問題視してツッコミを入れていましたが、後日正式な衆議院議事録が発行されたときには、伊吹議長のこの発言はなかったことにされていました。

スクリーンショット (26)

ね?見事に伊吹議長の「以上をもって散会いたします」という発言が議事録から抹消されています。なぜか?議長によって解散詔書が読み上げられた時点で解散の効力が発生し、全衆議院議員はその身分を喪失、当然のことながら議長も議員の身分と同時に議長の職を失い、議事を運営する資格を失っているからです。「散会を宣言する」のは議長の仕事ですが、もう議長じゃないのでそれをやっちゃいけないのです。仮にやったとしても議長の発言でもないし議員の発言でもないので議事録に残らないのですね。

名議長と言われ「校長先生」の愛称で親しまれた伊吹文明議長の珍しいミスでした。


そういや過去の資料漁ってたらこんなのが出てきた。昔から一貫して同じこと言ってたんだね。

個人的には諸説にすらないんですが、『衆議院の存在意義は解散にこそある(任期満了による単なる議席の選び直しではなく、主権者たる国民に対して民意を問いにいくという積極的な民主主義の実現であるから)』と思うので、院の誇りと民主主義の実現を祝しての「万歳」だと考えてます。

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