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日本の風景

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記事一覧

【嵯峨島】最果ての地の荒々しい火山島は、穏やかな信仰の島(長崎県五島市)

2020/2/27 五島つばきマラソンに行く車に乗せてもらって福江の街から三井楽町へ向かった。嵯峨島への渡船は三井楽町の貝津港から1日3便出ている(平日は4便あるがこの日は日曜日)。三井楽まで無料で行けるのはありがたい。 貝津港からの船の乗客は5人居た。全員男性。一人は嵯峨島在住なのだろうか30代くらいで何も持っていない。自分を除いたあと3人は釣り人だった。 嵯峨島に着いて港からすぐの島唯一の商店「なかむら商店」で電動自転車(5時間500円)を借りて出発。「(島で一番高

【池島】離島に並ぶ無人の高層ビル群(長崎県長崎市)

2020/2/25 五島灘に浮かぶ面積1㎢の島。2001年に炭鉱が閉鉱になるまでは超過密(最大人口8000人)だったが、現在は人口120人。 長崎からバス乗継を2回も失敗して、宿を出てから5時間後にようやく神浦港に到着。フェリーで20分で池島にたどり着いた。平日の昼下がり、乗客は自分を含めて3人。1人はゴミ収集車の乗務員だ。 池島港桟橋に着くと目の前には早速、石炭積出用の巨大な施設が有って目を見張る。錆びついて今にも崩れ落ちそうだ。 桟橋から徒歩3分くらいで、電動自

【斎島】90歳の島民の昭和史(広島県呉市)

(2020/11/23) 次の便で戻ると船員に言って斎島の港で船を降りた。さて何をしようかと迷う間もなく「どこに行くんや」と島民のおじいさんが声をかけてきた。 あいまいな返事をしながら付いて行く。昭和7年に島に生まれて、若い頃に神戸に出て港湾作業をしていたが、歳をとったので島に戻ってきたとのこと(なら88歳か)。 - 港には平成時代に”かんぽ”が建てた立派な宿泊施設が有るが、数年前に閉鎖されている。この僻地では無理だろう...日曜日の昼下がり、天気は良い。 - 集落横の小高

【大崎上島】もう一つの風待ち港~木江の遊廓街、おちょろ舟(広島県大崎上島町)

大崎上島の木江には古い街並みが残っている。大崎下島の御手洗と同じく風待ち港として栄えた集落なのだが、ここは歓楽街の要素が強い。船乗りを相手にしていた遊廓が有る。古くは”おちょろ舟”と呼ばれる小船に女性が乗って、沖合に停泊している船に営業に出ていたそうだ。昭和30年代まで営業していたようだ。 斎島であったおじいさんも「盆、暮れ正月の休みに御手洗に遊びに行くのが楽しみでなぁ」と話していた。大正時代以降は帆船も無くなり風待ちする必要は無くなったので、地元の男性を相手にしていたの

【焼尻島】隠れ家すぎる喫茶店のマダム(北海道羽幌町)

(2017/10/20) 「この季節は焼尻島で営業している店は無いから食べ物を予め買って持って行く方が良いよ。本当に不便な島で物価も高いから。あ、でも”おくむら”さんならやっているかな。島に移住してきた人が開いた喫茶店」と焼尻島に行く前に天売島で言われていたので、昼食はそこに行こうと予め決めていた。 「”おくむら”さんは商工会に加盟してないから地図には載っていないし看板も出ていないのだけど、役場支所の近くに有る洒落た建物なので行けば分かると思う。道を歩いている人は居ないだろ

【民宿こんぴら】四万十の幸 囲炉裏を囲んで飲み語らう夏休みの夜(高知県四万十市)

四万十川の支流広見川の傍に有る民宿。1泊1組しか受け入れないので当初は予約できなかったのだが、出発直前にキャンセルが出て泊まれることに。 四万十の幸の夕食を食べた後に、いろりを囲んで遅くまで飲み続けた。 夕食は普段は大皿に料理を盛りつけたものなのだが、コロナ禍の影響で今回は一人づつ取り分けたものに。ご飯は目の前の川で獲れたうなぎを使った、素朴なうなぎご飯。 この日から愛媛から高知に入ったので、魚料理はこれまでの鯛からカツオを使ったものが多くなる。アユの塩焼きを美味しく食

[宿泊]【四万十楽舎】 四万十川のほとりの、廃校になった本物の小学校が宿泊施設に (高知県四万十市)

四万十川沿いにある、廃校をリノベした宿。6年生の教室(6人部屋)と放送室(3人部屋)を寝室として一晩借りた。 図書室には郷土の本などが並び、音楽室には楽器だけではなくスタジオも有る。談話室などからは四万十の雄大な景色。立派な体育館なども使い放題。給食室では実際に食事ができる("小学校"だがビールも売っている)。わずかな追加料金でカヌーや釣りもできる。学校の目の前の四万十川の河原では好きなだけ川遊びができる...はずだったのだが、前日の豪雨で川は濁流(涙。 夕食はここで

【海沿いの石垣集落】集落全体が石垣でおおわれている漁師の村(愛媛県愛南町外泊)

愛南町の外泊の集落は立派な石垣で作られている。 日本のカルカッソンヌ。いや、マチュピチュだ、チロヌか。 DATA 美しい日本の歴史的風土100選(古都保存財団) 未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選 美しい日本のむら景観コンテスト(農林水産省)

【遊子の段々畑】海面から空高くまで続くじゃがいも畑(愛媛県宇和島市遊子)

宇和島市中心部から車で約一時間、宇和島市遊子。海沿いの山の斜面い段々畑が広がっている。平地が無く水田が作れないこの辺りでは、江戸時代頃から山の斜面に石を積み、畑を作ってきた。 前日、この段々畑で採れたじゃが芋を使って作った焼酎を飲んだこともあり、訪れた。 石のは30cmくらいのから1m近くのものまでバラバラ。急斜面に100m近くの高さまで作られている。かなりの異様だが、昭和初期にはもっと多く作られていた。年々放棄され減ってきている。 中腹まで登ってみると、眼下には宇和海の