路上インタビュー:人種民族差別主義者・吉田康一郎候補に発言の真意を聞いた件(中野区長選)

6月7日、中野区長選挙に立候補し人種民族差別主義者として批判されている吉田康一郎候補の街頭演説に、中野区民有志の会メンバーが遭遇しました。演説終了後に話しかけ、差別発言の真意を確かめました。

以下、3つの項目にわたります。

1)多言語共生の制限について

吉田候補はSNSで「中野区の掲示物の半分を日・英のみに」「中・韓の案内表示は不要」と多言語共生を制限または否定しています。

(吉田康一郎候補のFacebookはたびたび差別発言により停止措置を受けています。2018年6月9日現在も停止中のため、一部スクリーンショットにて貼付)

中野区民の20人に1人は外国人。訪日観光客の約6割が中国・韓国・台湾からなのに異様な主張です。

真意を聞くと、吉田候補は「ここは日本で日本語がメイン。日本に来る人は英語ができる」という理由にならない理由を上げ、「半分に」と主張する根拠も明確にしませんでした。公式サイトの「趣味」に「旅行(これまでに25ヶ国を訪問)など」と挙げていますが、海外経験が豊富であれば、なぜ住む人、訪れる人に不便を強いる思考になったのでしょう。

以下、吉田候補とのやり取りです。

中野区民:掲示物の使用言語を日本語・英語に絞ると発言した理由は?
吉田候補:日本に住む皆様は日本語と英語で義務教育を受けています。だからいろんな掲示物は日本語と英語は読める。海外の方のために日本はあるのではない。日本で生まれて育った1億3千万人の方が日本で納税をされている方がメインです。海外の方は少なくともほとんどの方、英語はしゃべるし読めます。
中野区民:英語を理解する方ばかりではないが…。
吉田候補:私がTwitterで書いて今でも間違っていないと思うのは、「看板の半分」を日本の方が分かるようにするべきだと書いたんです。
中野区民:なぜ半分にしなければいけないのか?
吉田候補:3分の1とか4分の1にしろとおっしゃるのか?
中野区民:全部に併記が必要ではないか?いろいろな国の方が中野には来る。中野ブロードウェー商店街の方針も「多言語に対応できるようにする」ことを目標にしている
吉田候補:世界の言葉がいくつあるのか知っているのか?
中野区民:知りませんが、表示すべき言語は日本にいらっしゃる方の「多い順」ではないのか?
吉田候補:日本人が何を困っているかと言うと、例えば韓国語、ハングルの表示が出ている間、韓国から来た人が何人いらっしゃるかわからないけれど、その表示が出ている間、韓国語を理解できない他のすべての国の人は待っていなければならない。ブラジルの人も中国の人も、日本の人も。

中野区民:中野にいらっしゃる外国人の割合でどの言語の方が多いのかを調べておっしゃっているのか?中国語韓国語の方々は多いはずだ。なぜ掲示がダメなのか?
吉田候補:それでも看板の半分で我慢していただきたい。日本人の方が読めないからです。
中野区民:日本語の下に併記すればどの国の人も読める。
吉田候補:だから日本語と英語が全体の半分を占めるべきです。
中野区民:日英だけでは、わからない方多いですよね?
吉田候補:一応世界でもっとも使われている共通語、英語です。私は悔しい、日本語がそうなってほしいですけれど、英語が世界で一番使われているのは事実です。
中野区民:多言語併記ではなぜいけないのか?
吉田候補:併記で結構ですが、半分にしてくださいと言っているのです。
中野区民:なぜ半分?
吉田候補:ここは日本で日本語がメインだからです。
中野区民:海外から来て、韓国語や中国語しかわからない観光客の人も多いのではないか?
吉田候補:韓国の方も中国の方も、英語を第一外国語として学んでいらっしゃいます。
中野区民:それが必ず読めるんですか?多言語で利便性を図らなくっていいんですか?
吉田候補:利便性を図るので、看板の半分まではそういう表記でも結構です。

(途中、吉田事務所スタッフが中野区民の顔を遠くから撮影。
それに気づいた区民が削除を求め、それに応じる)

先月NYでスペイン語を話す人を差別した弁護士に非難が殺到しました。文化・言語の尊重は先進国でなら当然のこと。

多言語表示がないために迷ったりルールを間違ったり不便を感じると観光満足度も下がり、地域住民も説明に苦慮します。

日本では多言語対応の低さが観光庁の調査でも課題。

国土交通省でも、多言語表示を推進中です(PDF「外国人観光客受け入れのための多言語案内表示ガイドライン 」へリンク)。

納税者が住みやすい街にするのは当然ですが、観光客に不便をかけると中野に来る人が減ります。飲食にもアニメショップにもホテルも、いずれより魅力的な他エリアへ流れてしまい税収減。吉田康一郎 候補にはその視点も人権意識も欠けています。

2)差別排外主義団体との関係

私たちは、吉田康一郎 候補が人種差別・排斥団体である在特会の会長・桜井誠(当時)とともにヘイトデモに参加するなど活動を盛んに行っていたことをTwitterを通じて知りました。

2018年4月にも、在特会の主要メンバーだった者などの複数が主催・参加の講演に登壇しています。

選挙スタッフには、暴力事件を起こした差別団体の人間までいます。

吉田候補は「かつて在特会に協力していた」と認めつつ、「関係者にいるとすれば全て『元』在特会。二度としない約束した」という逃げに終始しました。以下、吉田候補とのやり取りです。

中野区民:在特会という団体と一緒になって活動していると聞いたが。Twitterで「不逞朝鮮人は出て行け」と発言しているのを見た。どのような意図ですか?
吉田候補:「不逞」って言葉はわかりますか?
中野区民:どういう意味ですか?
吉田候補:ご存じなくて私を批判されているんですか?
中野区民:不逞ってどういう意味ですか?
吉田候補:不逞って言葉を知らずに、不逞って言葉を言っちゃいけないっておっしゃっているんですか?
中野区民:どういう意味か教えていただけますか?一般用語ではない気がするので。
吉田候補:一般用語か一般用語じゃないかではなくて、まず不逞という言葉を調べておっしゃっていますか?
中野区民:どういう意味か、それを皆さんの前でお話になった方の定義を教えてほしい。

(スタッフが何度も話に割って入り、移動を促す)

吉田候補:不逞というのは例えば法とか道徳にきちんと則らないことを不逞というのです。
中野区民:曖昧な状況でそれを皆さんの前でおっしゃったのですか?例えばご一緒にいた桜井誠さんとかは朝鮮人韓国人中国人出ていけとおっしゃっていますけれど。
吉田候補:私は彼らがそういう発言をするのをやめろといい、それでもやめなかったので、彼らに協力するのをやめました。それは2009年のこと。2008年まで協力したことがあるのですが。
中野区民:2018年に元在特会の方々と一緒に写っているのを拝見しているのですが。あとは高木さんというスタッフも事務所にいらっしゃいますね。
吉田候補:私もその写真を見ましたが、全部「元在特会」と書いてありますよね?「元」「元」「元」と。ボランティアスタッフの方で在特会の方はいません。
中野区民:高木さんという方も?
吉田候補:その高木さんという方は詳しく知りませんけれど、少なくとも私のボランティアに来る人で在特会とかなんとかという活動をしていないという確認をして、この方はどういう方かな、
すべての方は確認できないですけれども。
中野区民:高木さんが事務所プレハブのところで支援活動をされていらっしゃったのを、Twitterで拝見したのですが、その方もちゃんと確認されていらっしゃるのですか?
吉田候補:うーんと、とにかくその方が誰か確認しますけど、在特会の関係の方は一切、ボランティアはお断りしています。
中野区民:なぜかいらっしゃるんですよね?
吉田候補:もしいらっしゃるのなら、その方は「在特会の活動はやめました、二度としません」というお約束をしている方です。
中野区民:高木さんもそうなんですね?
吉田候補:必ずそのはずです。

3)ムスリムを排除する発言について

吉田康一郎 候補は宗教的に食物に禁忌のある人は来日するべきでないと発言しました。

(吉田康一郎候補のFacebookはたびたび差別発言により停止措置を受けています。2018年6月9日現在も停止中のため、一部スクリーンショットにて貼付)

日本は信教の自由があり、最大限の配慮をすることは人権の尊重という点で世界的な常識。政府も「ムスリムおもてなしガイドブック」で啓蒙中です。

中野区も「店舗や施設等における生活・文化に配慮した飲食や生活サービスの促進」を掲げています。(PDF「中野区グローバル都市戦略/グローバル都市NAKANOの創造」へリンク)

観光都市もハラル対応に注力。
飛騨高山市


大阪「ムスリムインバウンド」イベント

ハラル対応は今や先進国、観光立国の常識であり、ビジネスチャンスでもあると言われています。


2020年に五輪開催を控えている東京で、「宗教が違う人間は来るな」という人間が区長に立候補とは、驚きを隠せませんでした。

その中での 吉田康一郎候補に真意を求めると、「異なる宗教の方には個別に尊重をすべき」という点をなぜか、「異なる宗教の文化を許せば、全体がそれを守らなければならないと要求される」という話にすり替えた上、「コーランでは他国でハラルを守らなくてもいいと書いてある」「一夫多妻を認めるのか」と、さらにすり替え。

以下、吉田候補とのやり取りです。

中野区民:特定の宗教を持つ方は出て行けとおっしゃっていますけど。
吉田候補:なるほどなるほど、あれですね、のりこえねっととか、しばき隊の方とかのツイートとかを勉強をされている方ですね。

(注:私は区内で子育てしてる会社員。ここに挙げられた二つの名前の団体とは一切無関係です。吉田候補のことを調べるまで知らない単語でした)

中野区民:特定の宗教の方は日本に来ないでというあなたのツイートを見たのですが。

吉田候補:それも全然事実誤認で、そういう風に印象操作で、私に対して批判している方がいるのは知っています。
私が申し上げているのは、国境管理入国管理をしているところが、ある問題を起こした。要するにイスラム教の方に豚肉を提供したという問題が起こった。
これについて、ある種の方々が大変に厳しく、入管を批判されたんですよ。
私が申し上げたのは、そもそもイスラム教の「ハラル」の戒律はどのようなものかご存じですか?
中野区民:清めたものしか食べられないという教えですね。
吉田候補:それを詳しく調べると、イスラム教の社会、イスラム教の国家ではハラルというものが厳しく守らなければいけないとされているんですよ。
しかしイスラム国ではない国、よその国、外の国では、守らなくていいと
コーランに書いてあるのはご存じですか?
中野区民:日本国憲法では、出自や宗教で差別してはいけないと書かれている。
吉田候補:それでは難民条約をご存知ですか?「国籍による区別は差別ではない」と難民条約で否定しているんですね。
中野区民:宗教もですか?特定の宗教の方は日本に入るなと書いてあるスクリーンショットを拝見したが。
吉田候補:私の書いた文章をちゃんと読んでいただくと、どうしても口に入る恐れがあることがいやならば、と書いたんですよ。
中野区民:宗教への対応をしなくてもいいんですか?日本国の政府も、中野区も、対応しようと言っている。いろいろな宗教を持つ方、言語を持つ方、文化を持つ方にきちんと対応しなければいけないと。
吉田候補:いろんな宗教に対応しなければいけないということと、その宗教で要求することを、すべて他の人たちにも適応しなきゃいけないというのが全然正反対だというのはわかります?

(「少数の人権を認め共存すること」について話しているが「すべて他の人も適応しなければいけない」とすり替え)

中野区民:皆さんに適応するようにという国の指針があります。ダイバーシティという考え方ありますよね。
吉田候補:例えば極端な場合、デンマークで起きていること。
もともと牧畜国、今では豚肉の輸出が国の主要な外貨獲得源になっている国です。そこにアラブ・イスラムの方がいっぱい入って来た。
その方々がデンマーク政府にどういう要求をしたかと言うと、「我々が口にする可能性があるから、学校教育の場で豚肉を給食で出すのをやめろ」っていう要求したんです。これは受け入れられるべきですか。
中野区民:それは配慮されるべきではないですか?アレルギー食と一緒です。
吉田候補:違うと思います。
中野区民:なぜですか?別に作ればいいんじゃないですか?
吉田候補:少なくともデンマーク政府はそれを拒否したんです。
中野区民:なぜ納税している人を拒否?アレルギー食と一緒じゃないですか。
吉田候補:アレルギー食と一緒ではありません。先ほど申し上げた通り、イスラム国では、ハラルは厳密に守らなければいけないけれど、イスラム国でない場合、それは柔軟に、守らなくってもいいよとコーランに書いてあるんです。
デンマークはイスラム国ですか?違いますよね?日本もイスラム国ではありません。
中野区民:日本はいろいろな国々の文化といろいろな宗教を尊重する国です。
吉田候補:そうです、尊重するということと、公の制度でその人たちの要求を全員に適応しなければいけないというのは別です。

(「少数の人権を認め共存すること」について話しているが「すべて他の人も適応しなければいけない」とすり替え2度目)

中野区民:アレルギー食と一緒じゃないですか。一部の人々にとって口にするのがはばかられるものであれば、宗教もアレルギーもきちんと対応すべきです。それが政府の、中野区の考え方でもあります。
吉田候補:日本に入ってきてそれまでなかったことを要求しなければ自分たちが幸せに生きられないと。日本に新しい方が入ってきて、「日本には自分たちにとって都合が悪い事がいっぱいある」と。
だから「自分たちの都合のいいように変えなきゃいけない」と。そうすると、日本人はその人たちのために文化、伝統、ライフスタイルを変えなきゃいけないんですよ。
中野区民:あなたなぜ漢字使ってるんですか?中国から入って来た漢字ですが。
吉田候補:なぜというか、我々にとって便利だからです。


(便利なら良い、便利でないなら尊重せず排斥するという多様性の排除)

中野区民:受け入れたんですよね?中国から。
吉田候補:じゃあイスラム教では一夫多妻制を認めています。一夫多妻制を日本で認めろと、イスラムの方がおっしゃったら、それは変えなければいけないのですか?

(すり替え3度目)

中野区民:それは多くの方が住民投票で、法改正が妥当だと法務省などが決めれば認めればいいのではないですか?
吉田候補:あなたご自身の考えはいかがですか?
中野区民:訴えるのは自由だと思います。
吉田候補:訴えるのは自由だけれども、そのように法改正すべきだという考えですか?
中野区民:私は違います。
吉田候補:それはその人たちを差別しているんですか?あなたの質問に答えているんですから、私の質問にも答えてください。それは差別ですか?
中野区民:差別ではありません。倫理観が日本に根付いていないですよね。

(自分はその文化を踏襲しなくても、自他は区別し、異なる文化を持つ人が隣人として共存することを受け入れる考え)

吉田候補:ないですよね。同じです。
中野区民:じゃあなぜ漢字は使うんですか?渡来できたものですよね?
吉田候補:別に私は渡来から来たもの全部を否定する排外主義者ではありません。そう言いたそうですけど、そうではありません。私は漢字を使うことに一切、痛痒も侮辱も感じない、非常に便利な素晴らしい漢民族が作った文明の利器を私たちが享受していると考えています。

(便利なら良い、便利でないなら尊重せず排斥するという多様性の排除)

中野区民:(他国で作られた文字が文明の利器なら)じゃあハングルも中国語も表記しなきゃいけないですね、看板に。
吉田候補:なぜ表記しなければいけないになるんですか?
中野区民:日本にいらっしゃってくださった方々は税金を払ってくださっている方々です。
吉田候補:日本の義務教育で学んでいるものですから、日本で使っている漢字と中国で使っている漢字は違うんですけれども、でも我々が義務教育で学び、日本社会での利便性のために使われているものですから。

(スタッフが再度移動を促す。会話終了)

渡来文化を受け入れ発展した日本。

しかも多様性の尊重が求められる世界的な潮流の中で、「自分に役に立たない、あるいは考えの合わない少数の人権は守らなくてもいい、むしろ排斥するべきだ。それが日本人のためだ」という 吉田康一郎 候補は 中野区長 になるべき人間ではないと改めて感じました。

吉田候補を推薦した中野区商店街連合会への抗議と回答はこちら

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