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カルネアデスの7m【20日本オープン4】

日本プロ麻雀協会で大きな大会があるたびに出されるアルパカnoteシリーズ。今回は飯田雅貴さんの2連覇で幕を閉じた第20回日本オープンの4回戦を書いていきます。

書くかどうかの逡巡しゅんじゅんも含めて、公式観戦記より大変な思いしてます。まあボクはnote中毒者なので別にいいんですけど。

こういうの、よく「1円にもならない」みたいな言い方する人いますが、もしギャンブル中毒なら△7億円なんだから、±0円てことは実質+7億円なんですよ。アンダスタン?みんなも?note書く時は?心の中に?7億円だゆ?(焦点の合わない濁った目で)

えーさて、直前に協会公式からリリースされた観戦記ですが、第22期雀竜位決定戦12回戦にリンクします。この記事は、ボクが石川県金沢市で行われた16人参加の大会で16位になったその日に失意の中で書いたもので、

(あああ。雀竜位決定戦に出場するレベルの選手たちでも、いつも思い通りの麻雀を気持ちよーくやってるわけじゃないんだなぁ…。だって麻雀だもんなぁ…。)

という感想を乗せて書いてます。

ところで、選手本人が書く自戦記を発見したのでリンクをば。

シンデレラファイトシーズン2でも最高位戦の梶田琴理プロをはじめとして何人かの選手が自戦記書いてましたが、こういうのあるといいですね。書く選手の方は大変でしょうけども…。

五反地清一郎さん、お疲れ様でした。

■東1局0本場の2巡目立直
■東3局1本場のツモスー
■南3局2本場形テンから魂の4sプッシュ

視聴者をワクワクさせてくれる素晴らしい戦いぶりでした。今日ボクが書く4回戦の、五反地さん目線の思考もぜひ読ませてくださいね。

最後に、今日のタイトル【カルネアデスの7m】ですが、これは最高位戦の今村順平プロが一昨日Twitterに書いてた【テセウスのペンチャン】にインスピレーションを得て作った言葉です。こういう造語は今あまり受け入れられないみたいな風潮もありますけど、ボクは好きなのでね。こういうの。押していきますし、推していきます。クロスチェンジリーチのノリですよ。

このテセウスのペンチャン、見やすいように牌図にしますと、

のように、最初にあった8m9mは消えてるけども、【7m受け】という意味では、受け入れ自体が残ってる。これはかの有名な【テセウスの船】みたいなことだよね、って意味だと思います。面白くないですか。

ダウンタウンの松本人志さんは、昔あるテレビ番組だかラジオ放送だかで、

『巨人vs阪神の試合で、選手が全員反対のユニフォームで出てきたら、ファンはどっちを応援するんやろうなぁ?』

と言ってましたが、これはまさに【テセウスの船】のことを今の人たちに分かりやすく問いかけていたのでしょう。

で、今日のタイトルにもある【カルネアデスの舟板】の方に話を移して。この言葉は、

海難事故があった際、海に投げ出された乗組員Aが、壊れた船の板きれにすがりついていた。するとそこにもう1人同じ板につかまろうとする乗組員Bが現れた。でももし2人でつかまったら板ごと沈んでしまいそうだ。乗組員Aは、乗組員Bを突き飛ばして水死させてしまったけど、罪には問われなかった。

という話から来ています。

日本の刑法で言うと「緊急避難」です。端的で分かりやすいですね。

日本オープン決勝4回戦において、誰が海難事故を起こし、誰が板きれにすがりつき、誰が板きれを手放したのか。

ぜひ興味と没入感を持ってご一読ください。

以下、常体で。

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準決勝は1位でジャンプアップ通過 五反地清一郎さん

さっそく1つ種明かしをすると、海難事故はこの四暗刻。ツモれば16000オールになる役満だ。

海難事故の画像

第20回日本オープン決勝戦は、3回戦までを終えて、

第20回日本オープン決勝 3回戦を終えて

このようになっており、もし五反地さんが今48000を加点してこの4回戦を終えると、トータルスコアは

五反地清一郎さん+76.4
飯田雅貴さん+51.4
岡本壮平プロ(最高位戦)△29.0
村田昴さん△98.8

となる。5回戦は五反地さんと飯田さんの一騎打ちになることだろう。

この4回戦は、俗に「対子場」とも言われる、牌が縦に重なるケースが多く、

4回戦 東3局 7巡目 東家・五反地さん

7巡目、五反地さんは上のような一向聴になってた。7mの場況もさることながら、この6pが現段階で山に1枚いて、五反地さんにとっては、四暗刻単騎になる未来も含んだ、今にもケツメイシが歌い出しそうな、さくら舞い散るこの景色。

スクショで確認しよう。まず飯田さんの手牌には6pも7mもなく、

4回戦 東3局1本場 6巡目 北家・飯田さん

岡本プロの手牌に6pが1枚のみ。

4回戦 東3局 南家・岡本プロ

『ここで6pが五反地さんに舞い降りたら明日の一面は決まりだっ!』

と、ボクの中にひそむデスクが呟いた次の瞬間、

五反地さんにヒュルリーラしたのは7mの方だった。うーん、いやまあ嬉しいっちゃあ嬉しいんだけどね。7m3枚とも山だったし。ツモ限定にはなるけど手役は一応四暗刻のま・ま・でー。

というワケで、五反地さんのツモスーは聴牌した。ここに立ち向かうは漢・村田昴さん(パパン!)。この追いかけ立直こそが、カルネアデスの板を手放す行為だって分かったのは、わずか3巡後のことだったんでげす。

4回戦 東3局1本場 西家・村田さん

動画のコメント欄でも

■村田キツいな…
■村田さん辛い…

ってコメントがザクザクあったけど、結果はともかくとして、村田さんはこういう汚れ役というか縁の下の力持ちというか、誰もが嫌がる力仕事を引き受けるケースが多くて。

例えば【回想シーン・東1局】

五反地さんの配牌がすでに一向聴。

東1局0本場 2巡目 西家・五反地さん

からの2巡目立直。

東1局0本場 2巡目 西家・五反地さん(立直)

ここに真っ向から立ち向かったのが、誰あろう村田さんだったのでげす(パパン!)。

東1局0本場 5巡目 東家・村田さん

どんな時でも常に一定のリズムで、真っ直ぐに牌を放つ侍・村田さん。

東1局0本場 9巡目 東家・村田さん

最後は絶好のカン8mを引き入れてドラ切り立直。

見事ツモ和了り。この和了りに、煙突町のボクは大きな勇気をもらった。信じ抜こう、例え最後の1人になっても。

■簡単にギブアップするな!
■ドラが通る時だってあるぞ!
■±0円だって、△7億円に比べたら実質+7億円だし!

村田さんは、麻雀を通して、ボクにそう教えてくれてるようだ。ありがとう、村田さん。まだまだ頑張ります。

そうやって、ボクの魂や、同卓者である飯田さん・岡本プロを何度も救ってきた村田さんだったんだけど、

東3局1本場 14巡目 北家・飯田さん

肝心の待ち牌6−9pが固めて持たれてて、

THE・カルネアデスの7m

ついには7mをつかみカルネアデスの板を手放してしまった。ううう…。

これの何が悲しいって、村田さんはもちろんのこと、和了った五反地さんもまた「和了らされた」とでも言おうか、もっといい未来16000オールに向かって前進してたところで、得をしたのは

■16000支払わなくて良くなった飯田さん
■16000支払わなくて良くなった岡本プロ

だけだってことなんだよな。この辺がカルネアデスなの。分カルネ?分カルネアデス?

ああ、もし7mが五反地さんの元にヒュルリーラしてればなあ。ハッ、待てよ。実は五反地さんの次のツモは7mだったんじゃあn/

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【もし○○だとすると…。という仮定をあまり多用せず、できる限り削ぎ落とした方がいい】ってことを【オッカムの剃刀カミソリ】と言うのですがどうでもいいですかそうですか。

というワケで、今日はこの辺でオッカムします。朝からもう3000字も書いたしね。そろそろお寿司よね。

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