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アルメニア生活記🇦🇲1

更新が遅れに遅れて大変なことになっています。焦り。。。。

リアルタイムはイスラエルのエルサレムにいます。頑張って更新頻度を上げます。

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 天国に近い教会はこれ以上にないくらいの絶景だった。その余韻はこの記事を書いている今も鮮明に記憶に残っている。
 私たちはその余韻に浸る時間も無いままに次の目的地アルメニアに向かうことになった。理由はいくつかあったが、何よりも未承認国家であるナゴルノ=カラバフ共和国で行われる未承認国家のサッカー欧州予選KONIFAが見たかった。そもそもこのKONIFAについて知っている者はほとんどいないだろう。もちろん私も初耳だった。しかし、未承認国家という響きと、誰も見たことのないようなスポーツを見れるという言葉に私の心は跳ねたのを覚えている。
 私たちはカズベキの絶景にお別れを告げ、隣の国アルメニアに向かった。残念ながらカズベキ村は田舎のため、アルメニアの首都エレバンまでの直通便は出ていない。私たちはまたトビリシに行かなくてはならなかった。散々左右に揺れる山道を超え、久しぶりにトビリシに帰ってきた。首都らしい雰囲気と人の多さにせっかく自然で癒された私の体はあっという間に疲れを感じてしまった。トビリシには王滞在したくなかったこともあり、そのまま電車に乗り換え、別のターミナルに移動。そこでこの日の最終便と思われるエレバン行きのマルシュルートを捕まえた。立派なバスを想像してもらったら困る。ただのファミリーカーだと思ってほしい。それに乗って国境を超え、数時間も身動き取れず移動するのだ。私たちは出発までの時間が1時間強あったので近くのレストランに行きニンニクたっぷりの大食いメニュー「シュクメルリ」を注文した。しかし、この料理は相変わらず注文を受けてから調理をするので出てくるのが異常に遅い。1時間以上あった時間が残り10分にまで削られたときにやっとグツグツと歓声に近いような音を出しながら運ばれてきた。 私たちは無我夢中で食べなくてはならなかった。この料理は確かに絶品だが、何かと面倒なことも生み出してしまう料理みたいだ。私たちはアッツアッツの料理を手で平らげた。一言も話すことなく食べる姿は異様だっただろう。食べ終わった瞬間に勢いよく席を立ちバス停に向かった。
 無事乗れたのは良かったが、大量のにんにくを摂取したおかげでゲップが止まらない。そして臭い。それも今になっては笑い話だが、あの時の乗客には心から謝りたいと思う。なんせ満員どころか定員オーバーだった。

 今でも忘れないのが私たち日本人は最後尾のシートに並んで座っていたのだが、そこに無理やり乗ってきたおじさんが極度のワキガだったことだ。私たちのにんにく臭をかき消すようなその強烈な臭いも今になっては思い出だが、乗車中はただでさえキツイ移動がその何倍にも感じた。 
 無事に国境まで到着し、ジョージア側のイミグレーションに並んでいた時も前にいたのは例のおじさんだった。しかし、そのおじさんは何やら審査官と揉めているではないか。こっちの方を振り向き携帯を貸せとアピールしてくる。残念なことにSIMを持っていない私たちの携帯はただの音楽プレイヤーにしかならない。
 

結局おじさんがどうなったかは誰も知らない。

そう。いつまで経っても出てこないおじさんを運転手は見捨てたのだ。何も言わず、他の乗客の確認だけした後に静かに出発した。驚きとともに広々な快適空間を手に入れた。日本では大問題になりそうな事例だが、ここではよくあることのなのだろう。他の乗客は誰1人驚くことなく、いやむしろそのおじさんがもともといなかったかのような雰囲気だった。
 もしかしたら私は夢を見ていたのかもしれない。そう思わずにはいられないほど自然に、一切の違和感なく出発した。

そこからは時間の問題だった。悪路もあったが、何事もなくアルメニアの首都エレバンに到着した。国境を超えてから見えていた大草原は影を潜め、ビルや車が多い首都らしい街だ。

到着した頃には空は暗く、寝るだけになってしまったが、また始まる新たな旅にワクワクしたのは覚えている。

翌日は例のナゴルノ=カラバフのVISAを取りに大使館に行くことだけ決め、それぞれにすっと眠りについた。