見出し画像

トルコ生活記4🇹🇷

 シデという町にいた私たちは各々がゆっくりと時間を過ごした。力を蓄えるかのように。そう。旅をしていると時に疲れがくることもある。まあ、遊びの延長で行っているのだからそんなふざけたこと言うなと言われたら何も言い返すことはできない。だが毎日知らぬ町で新たな経験をし、必要以上の情報を脳みそに叩き込む。それはエキサイティングで、刺激的なことだ。だが、その状態を維持するのには少々難しい部分がある。常にアンテナを張り巡らせ、小さなことにまで意識を巡らせているとどうしても疲れてしまう。だから休息が必要なのだ。ということにしておこう。てことでゆっくりした。

画像1

画像2

 さて、次に向かう場所はトルコでも有名な観光地の1つ「パムッカレ」そこは石灰岩でできた天然の温泉がある場所だ。その姿は見るものによっては雪山のようにも見え、時にはオアシスに見えるような場所。最近は水が枯渇し始めているとの情報もあり、いくなら今しかない。そう思った次第である。てことで、いざパムッカレへ。

3日間も滞在したシデに別れを告げ、海とは反対の方向に向かう。その背中を潮風が押してくれた。なんでか愛着が湧いてしまった町。また機会があれば行く事にしよう。そんなシデからはバスに乗り1度アンタレヤに戻る。バスといっても市内に走っているバスのようなバンのような乗り物に手をあげて止まってもらい行き先を聞き乗るのだ。これではヒッチハイクとなんら変わらない。バス停を設置してくれたほうがよっぽど便利なような気もするが、所々で止まってくれるこのシステムはきっと何かの役には立っているのだろう。私たちも現地人に混じり、バスを止める。乗り込めばアンタレヤまで行けるのかと思いきや、そんな簡単に行けるような場所ではなかった。大きな道沿いに降ろされて、そこのバス停に行け。そしたらアンタレヤ行きのバスがくる。そう言われ降ろされた。バス停はあった。そこには2、3人の現地人がいたので確認してみると、確かにアンタレヤ行きのバスがくるらしい。一緒に待つ事にした。しばらくすると確かにアンタレヤ行きのバスが来た。思っていたよりも綺麗で、なんだか不思議な感じもする。揺られる事1時間。アンタレヤのバス停にバスは到着した。すぐにバスを降り、「パムッカレ」へのアクセスの町「デニズリ」行きのバスを探す。トルコはリラの大暴落もあったことから全体的に物価の上昇が見られる。調べていた予算より高いことがほとんどだ。運よく15分後にバスが出ると言う。そのバスのチケットを買い、すぐさま乗り込む。なんだかこう聞くと全てがうまくいっているように聞こえる。

 バスは予定時間通りにアンタレヤを出発。しかし、朝1に出たのに、予定到着時間は夕方になってしまう。これでは日帰りで観光することは難しい。そんなことを考えていた。実際に到着したのは、夕方だった。このまま夜行バスのチケットを取り、急いでパムッカレに行くことも考えたが、なんだか勿体無い気がして今夜はここデニズリに1泊する事にした。全く予備知識もない町デニズリ。思ったよりも発展はしている。しかし、騒がしいわけではなく、どこか落ち着いている町だ。人の感じもアンタレヤやシデの感じとは違う。積極的に声をかけてくる彼らとは違いどこか控えめな印象を受ける。

 重い荷物を投げ捨て、食事を取りに外に出る。歩きやすい町だ。トルコ料理を探しに行くがどこもかしこも決まってケバブ。少々ケバブには飽きていたため、他の食べ物を探す。すると、レバーやトマトを売りにした店を見つける。宣材写真は非常に美味しそうに盛り付けており、食欲が湧く。値段をみるととても安価だ。私たちはもちろんその店に飛び込んだ。宣材写真の料理をいくつか頼みくるのを待つ。

 日本のサービスは世界で1番だと言われるのにも納得がいく。どこの店に入っても、提供までの時間がとても早い。他の国々はとにかく遅い。30分待たせるのなんてなんてことない。そんな感覚だ。東南アジアの方がよっぽど早かった。ここも例外ではなく、とにかく遅かった。30分待ってもなかなか出てこない料理たち。流石にお腹もペコペコだ。やっと運ばれて来たと思ったらトルコでは必ずとっていいほど出てくる漬物。仕方なくそれを口に運ぶ。その漬物がなくなるのではないかと思うくらいのタイミングでやっと料理が出てきた。

 宣材写真と大きな差はなく、味もとても美味しかった。しかし問題はその後にあった。お会計を頼むと、料金が倍くらいになっている。私たち3人は思わず首を傾げた。確認しに行くも「英語がわからない」と言われる始末。困ったものだ。すると待っていましたかのように別の卓で食事をしていた客が声をかけて来た。彼は英語を話すことができ、通訳をしてくれた。すると、あそこに表示されているのはハーフサイズの値段だ。そう言う。おいおい待て待て。なんでわざわざハーフサイズの値段を表記するのだ。しかも注文の際にサイズなんて聞かれた覚えはない。それはおかしいと友人が問いかける。すると、彼は「問題があるのは店だ。しかし、ここはどうか払ってくれ」そう言うではないか。困ったものだ。しかし折れずに立ち向かう彼。何度も交渉した結果。値引きしてくれる事に。しかし、そこでも折れない彼。きちんと状況を確認し、何度も説明した後、正規の料金になった。こうやって騙される外国人が何人もいるのだろう。

 通訳の彼はごめんなと言ってくれ、チャイでも飲もうと奢ってくれた。日本人だとわかった瞬間、たくさんのお褒めの言葉をいただいた。しかも表示されている料金をしっかり変えるようにも伝えてくれたみたいだ。彼は現在トルコが抱える問題を事細かく話してくれた。ごめんなさい。英語があまりわからないので100%理解することはできませんでした。

 特にシリアからの難民については大きな問題だと言っていた。トルコ人の職は奪われ、困っている人間がたくさんいると言う。ニュースを見ていると、シリアの現状ばかりが伝えられ、逃げるのも仕方ない。難民をもっと援助すべきだ。なんて声もある。しかし隣接した国を見ていると、その難民が問題になっていることも多い。やはり戦争や内戦が起こす被害というのは1次被害だけでなく2次被害、3次被害と連鎖的に発生していくものなのだろう。遠く離れた日本では気がつかないかもしれないが、以前は旅のルートとしてポピュラーだったシリアを通るルートが現状使えないのも被害といえば被害だ。

 考えさせられることも多かった彼との会話も終わり、宿に戻る事にした。なんだかもやもやした感覚があった。これもまた実際に起きている事なのだと理解し、眠りについた。

 翌朝「パムッカレ」に向かう途中、昨日の店の前を通ると確かに料金表示が変わっていた。