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トルコ生活記🇹🇷2

 アンタレヤとは実に暑い町だ。年間降水量もものすごく少なく、雨は殆ど降らない。カラッとした暑さが最高に気持ちいい。海もすぐ近くに存在し、都市としても十分に発達している。住みやすい町でもある。治安も良い。日本人にとっては馴染みのない町かもしれないが、世界的に見れば、ポピュラーな観光スポットみたいだ。町は昼間から活気にあふれ、夜も賑わう。昼間は海に行き、夜は町でゆっくりと過ごす。物価もそれほど高くはない。いい町だ。

 私たちは時にバスに乗り滝を見に行き、時にビーチでゆっくりし、時に町の中に溶け込んだ。その全てがもともとあった新鮮さとは少し違った新鮮さを感じることができ、それはまるで、完全クリアしたゲームをまた最初からやるような感覚に似ている。完全クリアしたゲームなどないのだが。

 何より、象徴的だったのは雨が降らないということ。タイにいる時間は毎日のように雨が降っていた。しかし、こちらは毎日のように晴れ。しかも快晴。これ以上はないのではないかと思われるほどの青空。天気によって気分が左右されるというのは本当のなのか嘘のなのか。まるで都市伝説のようだが、間違いなく気分は良かった。陽の光を充分に吸収した身体は火照り、浅黒くなっていく。肌が黒くなるのに並行して、私の気分は上がっていった。

 時差の関係もあってか、タイで眠ることができなかった身体がここでは深夜になれば眠れるようになった。すこぶる体調も良い。

 そして今日もまた海に向かう。気がついたら非日常感に戻っているこの感覚。私が旅に求めていたものだ。日常が変化したことによって起きた新しい感覚。非日常感が日常に変わりつつあったタイミングで訪れた本当の日常。その事が生んだ新たな非日常感。これを待っていたのかもしれない。

 次の町はどこに行こうか。ルートを考える時間。いくつか候補を出してみる。ここからの所要時間。その土地の物価。その次の町。いろんなことに配慮した上で決める。これがまた面白いのだ。

 私たちは次の町をここからさらに東側にある町「シデ」に定めた。しでもまた地中海に面した海の町である。ここアンタレヤよりもさらにローカルな雰囲気があるので、行ってみたいというのが1番の理由だ。案外何も考えてないのかもしれない。とにかく興味のある町には行ってみよう。そんな感じになってしまった。計画性もクソもない。しかしこれも時に非常に大事なことなのだ。多分。

シデにはアンタレヤのバスターミナルからおよそ1時間で向かう事ができる。その情報を頼りに向かう。バスターミナルまではもちろんトラムで向かう。あっという間の路面電車旅。バスターミナルでは簡単にシデ行きを見つける事ができた。

 バスに揺られる事1時間以上。思ったよりも時間はかかった。そして降ろされたのはよくわからないガソリンスタンド。バスターミナルでもなんでもない。マップを見ても明らかに中心地ではない。そこに謎に止まっている白いバンに皆乗り込んでいる。するとそのバンは勢いよく走り出した。もしかしたらこのバンが中心部まで連れて行ってくれるのかもしれない。そんなことをふと思ったのだという。友人の1人が勢いよく走り出し、そのバンを止めた。予想は見事に的中し、そのバンは中心地まで行くバンであった。彼に助けられた私たちはバンに乗り中心地を目指す。厳しい日差しが今日も照りつけている。中心地に到着すると、私たちは宿に向かった。いや海に向かったと行った方が自然かもしれない。そこは海が目の前にある宿だった。

 私たちは軽い昼食を取ったのち海に向かった。何をするわけではない。ひたすら海の音を聞いて、横になり、日差しを感じる。最高の時間だ。ここシデは夕日が特別綺麗だ。水平線の彼方に見える夕日は最高の景色を作る。私は無我夢中でシャッターを切った。その景色に見とれながら切り続ける。楽しい。心からそう思った。その夕日はいまもこの目に焼き付いている。

そんな素晴らしいシデの話はまた次回にしようと思う。

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