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灯争事始

authored by Shuhei Nakamura

※当記事を、事前の承諾無く複製・転載・加工・配布・再出版等することを禁止します。

(1)「灯争大戦」全体の印象

環境は遅く、2色ベースでの構築となる。土地はマナフラッド受けが少ないので17枚。

全体的なコモンのカードパワーはかなり高いセットなのだが、攻撃的なシナジーに薄く、インスタントタイミングでの干渉も少ない。ターン内での2アクションがあまりない環境。

したがって2、3、4と流れるような高速展開で相手を詰めていくというゲームというよりは、強力な単体カードを唱える、それに対して同レベルのカードか除去をぶつけて対消滅を図るといった展開になる事の方が多い。

また、デッキ全体で特定のテーマ、動員であったり、増殖、非クリーチャー呪文といったキーワードを軸に据えてデッキを纏めていくのが基本形ではあるが、かなり緩やかなものとなる。

(2)デッキ構築時におけるカード選択指針

筆者がデッキを組む上での指針としているのは、

・先にクリーチャーを展開できているか/相手の初動を潰せているか
・プレミアムクラスの2マナ域が取れているか
・ゲーム中での目標の明確化

といったあたり。それぞれ各キーワード能力にも絡んでくる箇所なので、以下各項での解説に編み込む形で理由を説明していく事にしよう。

(2.1)クリーチャーのマナレシオ

色や戦略によって、または文字通り増殖することで変化するため、今回はあまり意味をなさない事が多いので割愛。タフネス1に関してはそれを的にするものが少ない割に不便を感じることと、通常サイズでは4/4あたりで一端は打ち止め、飛行はだいたい素通りするが通常サイズだと《罠紡ぎ》でほぼ止まってしまう認識を持っておけば事足りる。

がっちりキャッチ

(2.2)タッチカラー

アンコモン以上で強力なマルチカラーカードがありはするのだが、色拘束が厳しめで、高レアリティのカードにもダブルマナシンボル要求が多く、ちょっとくらいのマナサポートではあまりやる気になれない。もしやる場合ならで《マナ晶洞石》や《ギルド門通りの公有地》を取る事を考えればよい。

なお開き直って完全多色系デッキをやる際は、ほとんどの場合、色特性として多色が推奨されている黒緑ベースになる。

何でも屋さん

(2.3)プレインズウォーカー

この環境の最大の特色。さすがにリミテッドを念頭に置いてデザインした場合、従来型ではどうやってもバランスが取れなかったのだろう。常在型能力こそ付け加わったが起動型能力は一律減と、大幅パワーダウンしている。

中でも、ドラフト中に頻出するはずのアンコモンプレインズウォーカーに至っては、忠誠値マイナスの起動型能力を2~3ターンに分割して使い切るだけのもの。壊れやすいエンチャントと見た方が良い性能でボーラスが嘆きたくなるのもわかる。もっとも、あっちはゲーム上でのプレイヤーキャラクターからプレイヤーのお供に格下げになってしまっての嘆きではあるが…

フレイバー上での皮肉はこれくらいにして、では実際に運用面でどのような違いになるかというと、その点については従来のプレインズウォーカーと大した違いはない。つまり「プレインズウォーカーを召喚して即落とされないのように、あらかじめ盤面を構築しておく」これに尽きる。

(1)環境定義でお伝えしたデッキ構築指針「先にクリーチャーを展開できているか/相手の初動を潰せているか」は、ひとえに環境の決め手の大半がプレインズウォーカーとなるため。

マウントとります

クリーチャーが1体でも対戦相手より先に出せていれば、そのクリーチャーを起点に戦線を厚くして攻勢に回るもよし、守勢に回ってプレインズウォーカーの増援から盛り返しなり再構築に回るもよし。いずれにせよ出来る選択肢が大幅に広がる。出来れば無人の野に、それが叶わないならば膠着した状態で、プレインズウォーカーを設置する。それが対戦相手に楽にプレインズウォーカーを出させないという事にもつながりゲーム全体を通しての命題となる。

余談であるが、マイナス能力しかないプレインズウォーカーで強い条件というのは、これらのアクションを一人でこなせる、要は盤面に厄介なクリーチャーを設置できるものとなる。(《謎めいた指導者、カズミナ》とか《崇高な工匠、サヒーリ》とか《群集の威光、ヴラスカ》とかね)

逆に強そうに見えて弱いのは《夢を引き裂く者、アショク》のようなタイプ。単体で完結しているようで全くしていない。20枚ライブラリーを削って、残りの10枚で負ける。

(2.4)2マナ圏

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