15年ぶりの奄美の夜

奄美大島で2泊3日。
出版社が制作するwebサイトの撮影で訪れた。
離島のコロナへの抵抗感はいまだに都会よりも強いのか、観光客が集まる繁華街にはこんな店も。

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同行の編集者に「ワクチン証明は必ず持ってきてください」と言われた意味がよくわかった。

さて。
プライベートでこの規模の島に来ると、昼はレンタカーか自転車、夜は酒場をハシゴ。それに尽きる。
沖縄でも有名だが、ガイドブック常連の「島唄酒場」というのが奄美にもある。
時間がくると店内でライブが始まり、郷土料理のセットメニューが出てくる。
個人的にそういう店に触手は動かない。ライブもやっつけ、料理も中途半端な印象が強いからだ。そもそも、ライブかメシか、どちらかでいい。

2日目の夜。
今回のミッションのひとつで、「島唄酒場」へおじゃました。
入ってまもなく、上述の「やっつけレストラン」ではなさそうな感じがした。
なにやら妙に落ち着く。
おかみさんに商売気はなく、気さくですこぶるかんじが良い。
厨房で腕を振るう料理人も、店内をかけまわる店員も、皆が皆、妙齢のご婦人たちである。
撮影用に料理を出してもらい、ストロボをセッティングしたところで、居酒屋にはそぐわないひとりの女子高生が入ってきた。肩が上下に動いている。走ってきたようだ。
「おかみさんのお孫さんやな」
「ですね、部活帰りですかね」
と同行の編集者も同意の様子。

ところが、である。
よく見ると、楽器のハードケースを担いでいる。
まだ整わない呼吸のまま、おかみさんと二言三言言葉を交わしたかと思うと、おもむろに三線を取り出し、ステージに上がってチューニングを始めた。
ひととおり料理を出し終えたおかみさんも続き、挨拶がはじまる。
「すみません、きょうは孫が都合つかず、孫のお友達がきてくれました」

大喝采である。
席を埋め尽める客たちは、手拍子から始まり、最後は総立ちで、踊れや踊れの大団円。
観光客相手の民謡酒場で、誰がこんな展開を想像したか。
「侮ってたわ。これはたまらん」
「はい、まいりました」

「島唄が好きで小さいころから歌っていました。三線は見様見真似で(笑)」
ステージから下りてきた女子高生はそうはに噛んだ。


繁華街、名瀬にある居酒屋「吟亭」。
夜光貝、車海老、島もずく、ハンダマ(島野菜)、油そうめん。
郷土料理も抜群であったことをしっかりとつけ加えておきたい。

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