中谷明浩 - 中谷技術士事務所/食品系技術コンサルタント

食用油脂技術、知財情報の専門家。日本食糧新聞・月刊食品工場長10月号「解説・食用油脂の…

中谷明浩 - 中谷技術士事務所/食品系技術コンサルタント

食用油脂技術、知財情報の専門家。日本食糧新聞・月刊食品工場長10月号「解説・食用油脂の価格高騰と劣化防止策」(2022.10.1掲載)など多数執筆の他、著書に「食用油脂の基礎と劣化防止」(幸書房)がある。 https://nakatani-peoffice.com/

最近の記事

油の劣化指標「酸価(AV)」は「遊離脂肪酸含量」を表す指標でよいのか?

酸価(AV; acid value )は非常によく用いられている油の劣化指標で、例えばフライ油の交換指標として酸価2.5が示されています[1]。 日本油化学会制定・基準油脂分析試験法には、「試料1g中に含まれている遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数」と定義されているところ、酸価の測定原理は中和反応であって、酸性物質である遊離脂肪酸を中和するのに必要なアルカリの量であると理解することができます。 ところが、そこに酸価値の全ては遊離脂肪酸によるものであるのか

    • 食用油価格動向・最新情報2023年7月

      前回2022年12月の食用油価格動向リリースから半年が経過した情報をお知らせいたします。 前回の動向・最新情報については以下のリンクよりご参照下さい。 【食用油価格動向・最新情報2022年12月】 国際相場では前年12月の価格が最も高い上げ幅を示しておりましたが、その後、落ち着きをみせ、元に戻りつつあるように見受けられます(世界の食用油脂相場, 図1参照)。 ただし、過去の食用油高値を記録したリーマンショック(2008年)の際にも、その後ピークアウトしましたが、直後に

      • 食用油脂・脂質は食品中の「ラスボス」なのか~専門家がみる食用油脂の素顔~

        「酒類以外で油脂・脂質を含まない食品はどれくらいありますか?」 私が講演やセミナーで時々、受講されている方に聞く質問です。 今のところ一件だけ答えて頂き、その答えは「コーラ」でした。 確かに意図して油脂を配合していないので含まれないでしょう。 では他にはあるのでしょうか。 私が一つだけ用意している答えは「出汁」です。 しかしその「出汁」も魚油の酸化分解物が、好ましい風味に貢献していることはよく知られているところです。 そのため、まったく無関係ということではありま

        • 食用油価格動向・最新情報2022年12月

          国際相場  世界銀行(THE WORLD BANK)が発表しているCommodity Price Data(図1)によりますと、2020年7月に始まった価格高騰相場は、2008年のリーマンショック時を上回る上げ幅となりましたが、2022年4月をピークに下降カーブを描いていたものの、最新2022年11月には再び上昇相場に転じる傾向が見られます。  食用油価格の低下と安定を期待したいところですが、①新興国の経済成長による食用油需要の増加、②産地国食料輸出規制や脱炭素・カーボン

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