自己啓発コラム #4

僕は2010年に仕事をトバしました。
「当日、現場に行けなかった」という最悪の事態です。
「仕事をトチる=遅刻」が最悪だとされている芸人にとって、そのさらに上の凶悪なる愚行です。
熊本での営業だったのですが、東京の自宅から普通に電車に乗り、空港に普通に着き、受付で「手荷物検査締め切りました〜」と普通に搭乗を拒否されたのです。
僕のスマホの時計では確かに手荷物検査締め切り5分前だったのですが、空港の男性職員は、その時刻から明らかに5分進んでいる、数字の色が薄まった100均丸出しのデジタル時計を指差し、頑なに拒否したのです。
僕は怒り・焦り・悲しみ等の感情が入り乱れ「乗せて下さい!」と喚き散らして膝から崩れ落ちました。
ベタで申し訳ないのですが「世界の中心で愛を叫ぶ」の完コピでした。
つらつらと言い訳を述べましたが、今なら解ります。
「飛行機に乗る時は時間に余裕を持って家を出るべき」
こんな簡単な事が出来なかった自分が100%悪いんです。
仕事をトバした事により、クライアントさん、吉本興業の社員さん、共演するはずだった芸人さん、(推定6人ぐらい居たはずの)僕を観るのを楽しみにして下さっていたお客様、全ての皆様にご迷惑をお掛けしました。
そして僕には営業の仕事は一切入らなくなりました。
当然の報いです。
当たり前の事ですが、僕はその日から現在に至るまで、仕事に遅刻した事は1秒たりともございません。
ですがこのカルマ(仕事をトバした罪)は生涯背負って生きて行きます。
2019年に、およそ10年ぶりにマネージャーさんが営業のお仕事を入れて下さいました。
僕は起床時にスマホのアラームを10回以上セットし、手荷物検査の時間から逆算し2時間前に自宅を出て、喉が千切れる程ネタとコーナーに挑みました。
渾身のややウケでした。
信頼を勝ち取る事を+1だとすると、信頼を失う事は-2です。
僕は自らの怠惰のせいで10年もの永きに渡り
「-1の人間」として見られていた事になります。
今ようやく0だとしても、再び+1に戻る事は一生無いと考えています。
皆様は、信頼を無くした事はありますか?
ないという方は自らの正しさを誇ると共に、決して油断せずに、どうか覚えていて下さい。
一度失った信頼を取り戻す事はほぼ不可能です。
しかし、失わない為にすべき事は、誰にでもできる簡単な心掛けなんです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?