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ルノルマンカードをご存じですか?

ルノルマンカードとは

すごく簡単に言うと、占いに使うカードの一種です。
これまで、占いに使うカードといえばタロットカードが有名で、それとは別に、デッキやカード1枚ずつにメッセージが異なるオラクルカードがあります。

ルノルマンカードは、タロットカードと同じように、太陽や星といった名前のあるカードそれぞれに意味があり、質問に対して読み取る内容という占い方をします。
でね、その占い方も、タロットのケルト十字やホロスコープスプレッドとは違う、独自のものを使うのも、特徴のひとつかな。

カードを全部並べる占い方

これが、ルノルマンカードの一番の醍醐味。
タロットカード78枚に対し、ルノルマンカードは36枚。それに加え、ほとんどが、やや小ぶりのサイズなので、ある程度の広さがある机の上に、36枚を並べて占うことが出来るんです。
その占い方の名前は、グランタブロー

ルノルマンカードの特徴のひとつ

36枚のうち、特徴的な2枚があります。
『紳士』と『淑女』のカード。デッキによっては、1枚ずつだったり、複数枚だったりしますが、基本のものは1枚ずつ。
この人物のカードを、ご相談者の性別に当てはめて、キーカードとして見ていくというのが、ルノルマンカードの特徴のひとつ。
私自身のことであれば『レディ』のカード、その時に、私視点で夫のことを占う場合『紳士』のカードがどこにあるかを見ますし、子供のことだったら『子供』のカードを見る、という感じです。
お子さんが居ない場合に『子供』のカードを読むなら、子供時代のことや、子供のような無邪気さなどを読む感じ。子供の場合、特に性別の区別はしないかな。

ということで、こうしたルノルマンカードを使った占いをする占い師と、たまたま占いに訪れたお客様の短い物語を書いてみましたので、こんな占いになるんだなというイメージとして、お楽しみいただければ嬉しいです!



ルノルマンカード占いを物語としてお楽しみください

カシャカシャと占い師さんの手の中でシャッフルされる小さなカード。
ルノルマン?って言ってたっけ……タロットでは占ってもらったことあるけど、これは初めてなんだよね。

まあ、どちらでも占えるならいいんだけど、何か違うのかな……。

そんなことを考えながら見ていると、シャッフルが終わり、机の上、かなり端の方からカードが並べられていく……んだけど……。

え?こんなにカード並べるの?
ちょっと待って、え?全部並べるの?

目が点になっている私に気づいたのか、最後の一枚を並べ終えた占い師さんが説明してくれた。

「ルノルマンカード、こんなに並べるのに驚かれましたか?」

「は、はい。タロットで占ってもらった時には、多くても手元のカードの半分くらい?しか並べてなくて……全部並べるのには、驚きました」

「そうなんですよね、これを初めてご覧になられると驚かれる方も多いんですよ。これは、全てのカードを並べて、その配置から様々なことを読み取るグランタブローという並べ方なんです」

「そうなんですね」

グランタ…ブロー?グランタブ…ロー?
よく分からないけど、タロット占いとは違うことは分かった。

「では、カードを見ていきますね」

「はい、お願いします」

そうやって占いをしてもらうことになったのは、たまたまだった。

今日は、とある連休。
私は、駅前で何か美味しいもの食べようと、自宅からバスで出かけてきた。

近所にも普段お世話になっているお店はいくつかあるし、それなりに自炊もするけど、たまには違うもの食べたくなるじゃない?旅行に行くほどではないけど、たまの贅沢として、今日はイタリアンのお店に入ったの。うん、どれも美味しいし、お店の雰囲気やBGM、接客なども心地良くて、来てよかった!と思える満足感。

ひとりで外食することに、なんの抵抗もないからできる贅沢かも……学生時代の友達には、気になるお店があっても1人じゃ行けないからついてきてほしいって子もいたもんね。

さて、お腹も満たされたし、とはいえ家に帰るにはまだ早いし……と、駅ビルのフロアガイド見ていたら、レストランフロアの片隅に『占い』という記述を見つけた。

何度か来ている駅ビルだけど、占いもあるんだと初めて知ったなぁ。

占いは嫌いじゃないし、これまでに何度か占ってもらった経験もあって、自分でもタロット買ってみようかな?なんて考えてた頃もあったっけ。

結局、どうせすぐに飽きるからと、誰でも読むだけで占える!みたいな本や、毎年年末に出る占い雑誌を買うだけで終わったんだけどね。

そっか、占い、こんなところにもあったんだ……。

今すごく悩んでることがある訳じゃないけど、時間にも余裕あるし、こうやって気がついたのも何かのご縁かなと思って、私は、フロアガイドを頼りに、普段足を運ばない方へと向かうことにした。

「こんにちは…あの……占い、やってますか?」

『占い』という案内が出ていた場所には、衝立に囲まれた小さなスペースで、占い師さんが座っていた。お客さんが座るような椅子は空いていたけど、一応、声をかけてみた。

「こんにちは。はい、占いやっておりますよ。こちらは初めてですか?」

私の声かけに、パソコンで何かをしていた占い師さんは顔を上げ、質問に答えてくれた。

「はい。あの、すごく悩んでいるってほどではないんですけど、なんとなく決断できないことがあって……そんな感じでも大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫ですよ。お悩みの大小は問いません。ただ、いくつか占うことができない内容もありますので、まずは座ってお話聞かせていただけますか?……あ、大丈夫ですよ、座ったら料金発生する訳ではないので、安心してくださいね」

占い師さんの言葉に、座るのをためらっていた私は、はは、と曖昧に笑いながら、席に座る。
そして、占い師さんに話を聞いてもらうことにした。

「えっと、急ぐことではないし、大きな理由は無いんですけど、なんだか最近、引っ越しをしたいなという気分になっていて……あ、今は駅から結構離れたところに住んでいるんですけど、もう少し駅近くに住めたらいいなとか、今のところ古いから新しいとこがいいなとかはあるんです。でも、そんなことで引っ越しするのも、衝動的すぎるかなって思ってて……。結婚や同棲の予定も無いし、そもそも彼氏もいないし、引っ越しにかけるお金も無い訳じゃないし、ほんと、引っ越ししてもしなくてもいいんですけど、なんだか、最近、家に帰るのが楽しくなくて……気分転換になればいいかな、くらいの気持ちなんです。こんなんで、引っ越しするかどうかを占ってもらえますか?」

さて、冒頭のシャッフルの後、占い師さんは手元のカードを机の上に並べ始めていたんだけど、え?こんなに広げるの??って、驚いたよね。
タロットカードの占いはしてもらったことがあるから、なんとなく、この位置にあるのが『現在』とか『未来』とか『本心』とか配置に意味があるのは知っているけど、これ……ずらっときれいに並んで、どこに何の意味があるのか、さっぱり分かんない。

と驚いていると、占い師さんから教えてもらったんだ。
……あ、もしかして、私がぼんやり見ている間にも、説明してくれていたのかな?うわ、申し訳ない……。気のせいか、占い師さんの目が笑っているような気がする……うん、気のせいだ、あれは接客用だ……たぶん。

「ではカードを見ていきますね」

その声に、また回想しそうな意識を、目の前のカードに切り替えた。

「まず、お客様は女性の方なので、この中にある『淑女』のカードを中心に、周囲のカードから占っていきますね」

「はい、お願いします」

わあ……『淑女』という言葉を自分ごととして聞いたのは初めてかも。なんだかくすぐったいなぁ。

「そうですね…引っ越しという意味にあたるカードは、この『コウノトリ』なんですけど、『淑女』のカードからはかなり離れた位置にあるので、今は引っ越しは現実的ではないようです」

「そうなんですね」

へぇ、自分のカードと、他のカードの距離で占うんだ。なるほど。遠いから現実的ではない、と。じゃあ『淑女』の近くにあるカードは、現実的なのかな?なんだろ、……鳥?と、豪華な洋風の庭?

「引っ越しは現実的ではない、と出ましたが、どうして、引っ越しをしたいお気持ちになられたのかを、『淑女』の周囲にあるカードから見ていきますね。……そうですね、お客様のご自宅の周囲で、大勢で楽しくお喋りできる場があったのに、それが無くなってしまったか、行きづらくなってしまったかで、コミュニケーションが少なくなって、寂しく感じられていらっしゃいますか?」

「あー、はい、近所のお気に入り喫茶店がしばらくお休みされることになって。何年か通っているうちに、そこのマスターや常連の方と仲良くなれたんですよ。毎週、とは言わないけど、よく行っていたので……確かに、そこがお休みだと寂しいです」

「そうなのですね。この『庭園』と『鳥』のカードが、大勢でお喋りという意味が読めるんですけど、それが『淑女』の近くにあって、さらに、それに対して『鎌』と『塔』のカードも近くにあるので、もしかして、マスターさんはお怪我で入院されていらっしゃるのでしょうか?」

「そうなんです!最近お店が開かないなと思っていたら、たまたま会った常連さんから、マスターがしばらく入院するって聞いて。でも、私はお見舞いに行くほどの関係でもないし、退院されて再開されるのを待つしかないなって思ってて。でも、そろそろ2ヵ月経つし、いつになるんだろうなって思うと余計寂しくなって……」

「そうだったのですね。すみません、病気やお怪我の状態や退院などのことは占えないんです。でも、いつ頃退院されるのか?は気になりますよね……その常連さんとは、直接連絡は取れるのでしょうか?」

「いえ、たまたま商店街で買い物している時に、声をかけてもらったので……なんとなくご近所さんなのは知っていても、詳しくは知らないんです。そっか、あの人と今度会ったら、連絡先交換してみますね」

「ええ、でも、無理されないでくださいね。お店の中だけの知人という関係と、お店の外でも繋がりたいかは別だと思いますので、お客様のように、おひとり暮らしの女性が安易に連絡先を他の方にお伝えするのは……」

「あ、大丈夫です。その人も女性なので。なんか、年齢的にもそうなんですけど、勝手にお母さんみたいなだなって思っているような方なんですよ。マスターや、その方に、いつも仕事の愚痴聞いてもらったり、他の街から引っ越してきて分かんなかったこの街のことを、教えてもらったりしてたんです」

「そうでしたか、あ、じゃあ、その方は……すごく、こう包容力のある方かしら?スーツとヒールで仕事しているより、エプロンつけて料理しているようなイメージの……」

「そんな感じです!凄い、なんでわかったんですか?」

「この、『熊』のカードが『淑女』のカードの近くにあって、すごく『淑女』のカードに意識を向けているようなんです。先ほどのお話を伺って、お客様のことを心配されている母性の強い方……と、カードが教えてくれたんですよ。それから、この『熊』の近くにある『騎手』のカード、これは朗報がもたらされる意味があって、『熊』…その方から嬉しいお話が届くか、連絡を取りたがっているみたいですよ」

「え!じゃあ、私が遠慮して連絡先伝えてなかったけど、あちらは、全然大丈夫だったんですね。なーんだ、もっと早く連絡先を交換していれば良かったぁ」

「それもまた、タイミングが今だったというだけなのかもしれませんし、今から連絡先を交換しても大丈夫ですよ」

「そっかぁ……、良かった、なんか安心しました……。あ、マスターの怪我のことは心配だけど、その気持ちや情報を共有できる相手がいるって思うだけで、なんかこう、モヤモヤが減りますね。ありがとうございます!」

「お引越しに関してのご相談でしたが、カードを見る感じでは、楽しく過ごしてきた場所や、お話相手が突然いなくなって、寂しかったり悲しかったりと、お気持ちが塞いでいらしたから、環境を変えて気分転換をしたらいいかもと考えていらっしゃったようですね。ただ、今はお引越しに関することより、先ほどの常連の方と連絡を取る方を優先させて、それからまた、引っ越ししたいというお気持ちになるか様子を見ると良いようですよ」

「ありがとうございます!なんか、モヤモヤしていたことがスッキリしました。引っ越しは、今はちょっと考えるの止めておきますね」

「いえ、お悩みが軽くなられて何よりです。私は、この場所に、毎週金曜日にいますので、また何かお困りでしたら、いらしてください。こちら、私の名刺になります。よろしければ、お持ちください」

占い師さんのお名前とお店のアドレスが書かれた名刺をいただき、お会計をして席を立った。

「ありがとうございました。ルノルマンカードって、凄いんですね。いろんなカードが並べられるのも楽しかったです!」

「こちらこそ、ありがとうございました。なるべく早く、常連の方とご連絡取れますように願っておりますね」

そういって笑顔と、お辞儀で見送ってくれた占い師さんと別れ、私は気持ちを整えるために、レストランフロアの下にあるカフェに向かった。

「あら、こんにちは。こんなところでお会いできるなんて」

カフェに入り、注文したカフェラテを手に席に座ると、隣のテーブルから聞きなれた声が耳に届いた。

「あ!」

そうして、カフェで思いがけず出会った常連さんから、マスターが来月には退院できそうだけど、お店はその後もう少しお休みすることと、お休み中でも常連さんたちであれば遊びに来てくれて大丈夫だからと、私にも声がかけられていたことを聞いた。

もちろん常連さんとは連絡先をしっかり交換できたし、退院する前に、常連さんと一緒にマスターのお見舞いに伺ったら、お店を開けられないことを申し訳ないと謝られたけど、そんなことないですよ、再開したら、また行きます!と私が言うと、喜んでくれたので、その日が待ち遠しい。

そうやって、久しぶりにお喋りする私とマスターを見る常連さんの目が、今まで見た中で一番嬉しそうだったので、私だけが寂しく感じてたわけじゃなかったんだと思ったんだ。

帰り道、常連さんから「あなたの顔を見たから、マスターも張り切ってリハビリして退院早くなるかもね。私がお見舞いに行くより、いい笑顔してたよ」と揶揄われて、ちょっとだけ顔が赤くなったのは、きっと気のせい。

今度は、あの占い師さんに、恋愛相談してみようかな。



ルノルマンカードで占えること

さて、ルノルマンカード占いを初めて体験したお客様の物語、いかがでしたか。

ルノルマンカードで占えることは、タロットカードと同じかなと私は感じています。それに加えて、今回のように、このテーマで相談してみたいということでも、それに対しての結果と、それ以外に関わってくることへの結果など、複数のことを読めるのも、カード全てを並べるグランタブローならでは。ある意味、自由度が高いかもしれません。

ただ、作中で占い師が「占うことができない」という部分は、どんな占いでもいえるのですが、占い師の業務の範囲外にあること。
よくあるのは、医療。診断をして「あなたの不調は〇〇の病気ですね」というのは、医師以外が判断するのは違法ですし、「このお薬が効果的ですよ」というのも違法。その他、占い師さんによるのかもしれませんが、いくつかNG事項があるので、これは大丈夫かな?と不安であれば相談に入る前に確認してみてくださいね。


終わりに

ルノルマンカードは、これを書いている現在、カードと解説書がセットになったものや、本単体、カード単体と、市販されているものはいくつかあります。
ただ、タロットカードよりは、まだ店頭での取扱いが少ないので、占い専門のネットショップや、全国を巡回している『世界のトランプ・タロット展』を待つ、大きな書店に行くと手に入るでしょう。

タロットカードの78枚に比べ、36枚のルノルマンカードは、覚える枚数も少なく、タロットも使ったことが無い初心者さんでも、割と始めやすい占い道具かもしれません。もちろん、相性はありますので、どなたにも……とは断言できませんが。

気になる方は、本やカードを買って試してみるか、ルノルマンカードで占ってくれる占い師さんのところに足を運んでみてくださいね。

私も、まだまだルノルマンカードで占うのは初心者を少し抜けたかな?くらいではありますが、少しでも、ルノルマンカードの魅力がお伝えできれば嬉しいです!


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