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架空の郷土料理の作り方

架空の郷土料理や民族食について、それらしく考えてみる思考実験です。

前提として、どこの土地にも存在する食料は、炭水化物とタンパク質と塩(ミネラル)と発酵食品。
炭水化物、タンパク質、塩は、人間が生存する上で最低限必要な栄養素であると仮定します。

まず、それらを何によって得ているのか。
その地方で取れるのか、あるいは交易による入手なのか。
その地方で取れないなら交易での入手が前提となっており、その地にはいわゆる「商人」と呼ばれる人たちが行き交うでしょう。 
たとえば小麦が取れる穀倉地帯と、塩が取れる沿岸部で交易ルートができたりとか。
穀物と塩を交易するのと一緒に、貴金属や書物、人や家畜やそれらが持つ病気も移動します。

タンパク質は、塩や穀物と比較すると腐りやすく、地産地消されやすい栄養素だと考えられます。
動物性タンパク質なら、狩猟によるものなのか、牛豚羊鶏などを家畜化しているのか。
家畜にやる餌を作るほど余裕のない土地や、宗教上の理由で動物性タンパク質を摂取しない地域なら、豆類が主なタンパク源となるでしょう。
豆類は乾燥させると保存性が高まることから、高温多湿の地域や冬の長い地域でも利用頻度が高いと思われます。
海や川や湖が近い土地なら、魚介も食べられているものの、肉以上に腐りやすいため基本的には取れたものを近郊で即日消費するか、あるいは塩漬けや日干しなどの加工が必須です。

発酵食品は保存性が高まりビタミン源にもなるので、地域ごとに何かしら作っているだろうと思われます。
特に野菜を発酵させたものは多様な種類が存在するでしょう。
発酵食品には、酢や酒も含まれます。
酒は、嗜好品としてだけではなく、水が綺麗ではない地域では飲用水がわりにも不可欠でしょう。
そして、酢や酒を作るためには炭水化物が必要。米や麦、サトウキビ、果物など。 

その土地で取れるものと、その土地では取れないけれど不可欠な栄養素のほかに、その土地では取れず、栄養価が高いわけではないけれど、外部からもたらされる食物もあります。
韓国における唐辛子や、イタリアにおけるトマト、沖縄の鰹節、近代以降の日本における牛肉豚肉など。

もともとはその土地で取れないない食べ物が定着するのには、刺激物(香辛料)または旨味が関わっているのではないか、と思われます。
刺激物も旨味も、既存の食べ物を劇的に美味しくする役割を果たすからです。

また、土地の特性として淡水が豊富かどうかによって調理法が異なると考えられます。
淡水が豊富なら茹で、豊富でないなら蒸し。
焼くのは汎用性が高いので、どんな土地でも見られる調理法でしょう。
炊くには特殊な技術や器具が必要かもしれません。
揚げるのは、火力と大量の油または脂が必要なので基本的には文化が発展してから都市部に現れる調理方法と思われます。

さあ、これらの条件の組み合わせで君だけの架空の郷土料理を作ろう。

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