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蒼天航路の名言①インプットして忘れる

『蒼天航路』(原作・原案 李學仁、作画 王欣太/1994年10月〜2005年11月)は、私がいちばん好きな漫画です。「ネオ三国志」と銘打たれた、曹操が主役の異色の三国志漫画。迫力&味のある絵もさることながら、セリフも一つ一つ味わい深く。

ということで、私の大好きなシーンを勝手に紹介する不定期連載します。第1回はこちら…

荀彧文若! ついに
あらいゆるものを見聞し
頭の中に天下をおさめて
しかもそれらをすっかり忘れて
戻ってまいりましたあーーッ
(第6巻・その七十「郭嘉と荀彧」より)

蒼天の登場人物の中でもいちばん好きなのは荀彧です。これは彼が中国全土の旅を終え曹操のもとに帰ってきたシーン。見聞したものが目・脳から血肉へと染み付いていった、ということではないかと。単純な記憶として留めるのではなく、使える経験として取り込んだのでありましょう。

この後、荀彧はさまざまな献策で曹操を助けるわけですが、確かに旅に出る前の(少年時代の)荀彧がカチッとした思考をしていたのに対し、ここからの荀彧は自由で伸び伸びとした発想・発言をするようになりました。対袁術戦がその象徴だったかと(…が、壮年期からは「漢」「儒」の枠組みに縛られる面が強くなり、最終的に曹操との悲しい別れを迎えることになるのですが…)

荀彧の発言とはちょっと異なりますが、「忘却は必ずしも悪ではない」ということもよく聞きます。嫌なことを忘れるというのも大切ですし、重要なインプットも、メモするなどしてアウトプットし、メモリーから削除することで脳の容量を確保することも重要だと言いますね。SNSで発信することも、有意味な忘却のための作業とすれば有用であるな、と…

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