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「そんなことで」って言うな。「被害者になりたがる」って言うな。

あるハウスメイトがいつもどおりのリビングでの談話中に切り出した。
その人は職場で男性の同僚に「下ネタっぽいこと」を言われたという。
「なんか引っかかったんですけど、セクハラってほどでもないのかなー、こんなことで悩んでる自分の方がおかしいのかなと思って。」
”自分が嫌だと感じたかどうか”を、彼女は”分からなかった”のだ。
他の人にその話をするほどでもないかと数日1人で悩んでから、シェアハウスの住人に意見を聞いてみようと思ったらしい。

「あなたがどう感じたかということが1番重要だ」というようなことを私が言ったとき、彼女は納得したような顔をした。
今まで彼女は誰かに悩みを相談したとき、「そんなことで」とか、「お前が悪い」とか、「被害者ぶってる」とか、「大したことない」と言われることが多かったと言った。だから自分の感覚に自信がなかったのか、と彼女は納得したようだった。

されたことや嫌だった気持ちを否定されることによって、自分の体験や感覚を本当に信じられなくなってしまう、という実例を間近で見た。
彼女は本当に、他人に「あなたが嫌だったならセクハラじゃん」と言われなければ、自分の不快感を信じられなかったのだ。

改めて思った。その人の体験や感じたことはその人のものだ。他の誰であっても否定してはいけない。軽んじるようなこと、疑うようなことを言ってはいけない。それはセカンドレイプ/二次被害だ。体験をジャッジする権利は個人には無い。ましてやその人を責めるなんて言語道断だ。

自分には話を聴いてもらう価値が無いと感じさせてはいけない。その人の声を奪ってはいけない。


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