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時間は平等ではない、という話

「時間は伸びるんだよね」
それは、私が乳児を抱えて仕事をしながら、大学院に通っていた時に、
荒木さん(当時の大学院の講師)がくださった回答だった。よく意味がわからなかった分、今でもよく覚えている。
ちょうど立て続けて「時間の使い方」について聞かれたこともあり、
私も、私自身のために、何が蝶番になっているのかを見極めるためにも書き起こしてみようと思う。


まあまあ、頑張っているとは思うけど…

私自身は、2歳〜8歳までの子どもが3人いて、平日はいわゆるワンオペで、朝起きたら旦那はすでに出勤直前で、私たちが寝た頃に帰ってくる。仕事はほぼリモートかつフレックスなので、割と柔軟にフルタイムの時間は働ける。保育園は2箇所に送迎するので朝、1時間くらい自転車で市内を走り回り、夕方は夕方で、習い事の送迎に3時間くらい費やしている日もある…。仕事とは別に、今は公立小学校をなんとかしたいと市民団体を立ち上げて、私の全精力を投下している。その活動時間は主に、平日のランチタイムと夜9時以降。学校のPTAも子ども会の役員もあったりするけれど、趣味が読書なので、主催している読書会がいくつかあったりで、本を読むのも、読んだ本で皆で話をするのも大好き。土日は(熊の出ない時期)は家の裏山へハイキングに行くのも大好きな日課。
だからまあまあ、頑張ってはいるのだけれど、今の私は「時間がない」と思ったことはあまりない。

時間がない時期を越えて

「どうしたら子どもを育てながら、仕事をしながら、大学院のアサイメントができるのか…時間がなさすぎて、、、」と、私が冒頭の質問を荒木さんにした頃は、私には時間がなかった。だからすごく焦っていたし、イライラしていた。
同級生のほとんどは、朝起きたら自分の身支度を済ませて会社に行き、朝から夜まで「自分」の時間の人たち。産前産後のホルモンバランスのせいにしておいてもらいたいのだが、当時の私はすっごく、世の中に八つ当たりしていた。会社では同期がどんどん出世していく中「土俵、違うからね」って愚痴っていた。なんだかワーママはしんどいなって思っていた。
時間のない時期はまさに暗黒期。自分で選んだ道だと言えばそれまでなのだけど、私だってこんなにやりたいこと、学びたいことはたくさんあるのに、私だけ、時間がない。残業無制限に働いてくる旦那を横目に、私だってあともう一息したいのに、お迎えの時間は容赦ない。飲み会だオフ会だって、大学院の同級生たちは盛り上がるけど、私には待っている子どもたちがいる。
…朝3時に起きて、勉強する日々が続いた。

時間が伸びていく

そんな生活が2年近く続いて、大学院を無事卒業した。そして私は伸びた時間を実感した。朝3時に起きることはもちろんもうないのだけど、確実に私の時間は伸びていた。何が私の時間を伸ばしてくれているのかを、これを機会によく振り返ってみた。
①大事なモノに気付いた
「7つの習慣」という本でも有名な話だが、限られた器に石を詰め込んでいく時、大きな石から入れることで、隙間に小石を流し込んでいくことができる。これはつまり、入れる順番の問題。私は時間が究極的に足りない生活を送る中で「これだけは譲れない」と思える大事なモノに気付くことができた。それまでだって、それこそ自分探しなるものはずっとしてきたのだけれど、究極に追い詰められた時、これだけは手放したくないものが見つかり、逆に言えば、それ以外のものを手放すことができた。
②家族がチームになった
今は「時間がある」と思えるのは、家族がチームになったからというのも大きいと思う。それぞれができることを、できる時間にする。ただそれだけなんだけど、そうやって「ファミリー号」の船を皆で大海原で漕いでいる感覚がある。時には嵐もサメもくるのだけど、それぞれが手を取り合って突き進んでくれる。私はそんな毎日に余力をもらって、今日もやりたかったことをやり遂げられる。
③20時に寝る
これは良いことしかない。子どもは朝勝手に起きて身支度するし、病気にならないし、いつも元気。子どもたちを20時に寝かせることで、私の時間もできる。今はまだ寝かしつけが、なんと3人とも⁈必要だから、20時になったら4人でベットに入るんだけど、絵本を読んで5分もじゃれているうちに寝てしまう。バテている時は私もそのまま就寝してしまうのだけれど…。全ての家事を犠牲にして(今は旦那に丸投げして)私は20時就寝のゴールに向けて段取り組んで、全力疾走。
④まとまった時間を作る
何か時間がかかること、思考力や集中力が必要なことやろうと思った時には、数時間のまとまった時間を取るようにしている。当たり前なようで、日々、育児家事のマルチタスクをこなしていると、うっかり、目の前の散らかった床を見て「片付けなきゃ」と思ってしまったり、チロンとなったSNSが気になってしまったりで、割と「まとまった時間を作る」のは、意識しないとできない。仕事じゃないから、というのも大きい。マルチタスク、つまり私たちは役割が多すぎて、一つのことに時間を費やすこと慣れていないような気がする。荒木さんの回答の真意は分からないままだけれど、この集中力の使い方だったんじゃないかと今では勝手に思っているほど、この時間の使い方を重宝している。私は本を読んだり、資料を作ったり、こうやってNoteを書いたりの時間を「⚫︎日⚫︎時〜」と大体決めている。

明日、死ぬかのように今日を生きる

こうやってまとめてみることで、私自身も振り返って、こんなに時間があるんだから、ちゃんとしよって思えた、笑。
こんなに時間はあるのに、うまくいかないこともたくさんあるし、じゃあ私が何かを成し遂げたかと言われれば、本当に何のパワーも成果もないちっぽけな一市民。
だけれど、子どもはあと2人は欲しいくらい可愛いし、家族との時間も、友人や仲間との時間も本当に掛け替えのない時間を過ごしている今が一番愛おしい。
だからこそ、この「伸びた時間」を子どもたちの未来に繋げていけたらと思っている今日この頃。

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