スズキとヤマシタ

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スズキとヤマシタ

文:スズキ(Twitter:@szpnky).絵:ヤマシタ(ym.3579_i).作品テーマ常時募集

最近の記事

コウテイへの違和感から考える、お笑いの構造論

お久しぶりです。スズキです。 突然ですが、昨年末に行われた『M-1グランプリ 2020』を見た方は多いと思います。私もその一人です。 ネット上ではマヂカルラブリーの優勝に対して、「これが本当に漫才と言えるのか」「もはや漫才の大会ではない」といった感想もあり、また「2019年に比べると…」といった意見も多く目にしました。確かに、無名VS有名の構図、かつ優勝したミルクボーイやぺこぱが今までにはない漫才を世に出したという2019年が最高の大会であったことに異論はありませんが、2

    • あなたとわたしのものがたり

       生まれた時からずっと、私はみんなに避けられてきたの。 「おまえを見たら悪いことが起こる」だって。私こんなにかわいいのに、バカみたい。こんなにかわいい私と一緒にいたら幸せになるに決まってるじゃん。  避けられるだけならまだいいの。そりゃ、私にだって嫌いな子くらい居るし、みんなにとっての嫌いな子が私だっただけって、そう思えるから。でも、手を出してくるのはさすがに違うんじゃない?  確かに私はみんなとは違う色をしてるわ。でも、それだけよ。なのになんでみんな、私をまるで不幸の象

      • この町

         小学生のころからおよそ10年以上、大学生になった今も同じ町で生活をしている。小学生のころ遊んだ公園、中学生のころ通っていたクレープ屋、高校生のころ好きだった女の子と話していた道。いたるところに思い出がちりばめられたこの町の心地よさに、私は縛られ続けている。  しかし最近、この町にしんどさを覚える瞬間が現れだした。その瞬間とは、「特に仲良くはなかったけど小、中学校が同じだった人を町で見かけた時」だ。  つい先日、こんなことがあった。地元のスーパーで買い物をしていたら、レジ

        • 痕跡

             身体に残った君の痕跡から感じるもの。君の目、君の声、君の香り、君の全て。それに触れるたびに君を愛しく思い、なぜだろうか、少し不安になる。  初めての夜、彼女に噛み癖があるのに気づいた。  蒸し暑い夜だった。僕と、彼女と、「まだ5月だから」、なんて回した扇風機しかいない部屋で僕らは一つになった。  回数を重ねるたびに僕の身体に増える赤黒い痕。彼女のつけるリップみたいな色をしていたそれは、僕への愛だったんだろう。終わった後にふと鏡をのぞく。肩、腰、腕、鎖骨、

        コウテイへの違和感から考える、お笑いの構造論

          コンプレックスを語るだけ

           人はだれしも、1つや2つのコンプレックスを抱えているものだ。「馬面である」とか、「体毛が濃い」とか、「身長が低い」とか、「人見知り」とか。種類は多々あれど、みんな何かしらのコンプレックスを抱え、それに悩み、コンプレックスと共存する道を選んだり、整形などで無理やりコンプレックスを消滅させたり、あるいはコンプレックスにひたすら苦悩したりして生きている。天下のキムタクですらきっと1つくらいコンプレックスがあるだろう。というか、あってほしい。  もちろん私にもコンプレックスはあ

          コンプレックスを語るだけ

          ルーズリーフ

          題「ヒルクライム」 小説  まじめな自分が嫌いだ。  成績優秀、公明正大。黒髪ロングにコンタクトではなく眼鏡。「まじめな女子高校生」を想像してもらえれば私になる。  幼いころの私は決してまじめじゃなかった。活発で男勝り。ショートカットに裸眼。「やんちゃな女の子」を想像してもらえれば昔の私になる。  私がまじめになったのは、親の離婚、そして再婚がきっかけだ。離婚の際に母親の側につくと、母親は一年と経たずに再婚。そして、義父となった男性に、私の人生を大きく動かされた。 義父は

          主婦ラップ

          words : スズキ AM6:00 起床  今日も始まる一日のミッション 夫と息子の弁当を 作るため戦場の台所へ 作り置きおかず 冷凍食品 これでも気になる 栄養特に 色どりのため入れるプチトマト 詰め終わったら向かう次の場所 AM7:00 夫と息子と娘を起こす 「朝からうるせー」と愚痴をこぼす 息子をあしらう蝶のよう トースト焼いて 焦げ目がついて ついでに文句もつけられて つけたテレビに映る占いによると 今日のあなたはsuper nice  ※hook 妻になるた

          クリープハイプが嫌いだった話

           私はクリープハイプというバンド、並びにフロントマンを務めるボーカルの尾崎世界観が大好きだ。しかし、私がそう思い始めたのはこの1年くらいのことで、それまでははっきり言ってクリープハイプというバンドが嫌いだった。今となっては恥ずかしい話だが、自戒の意味も込め、なぜ私がクリープハイプを嫌いだったのか、その理由を書き連ねていこうと思う。  初めてクリープハイプを知ったのは2013年、時期は忘れた。普段はNHKが流れている朝のテレビに、なぜかその日は民放の情報番組(ワイドショー?)

          クリープハイプが嫌いだった話

          「数学:5」

          題「数学」 小説 修了式が終わり、同時に私が高校一年生として生きる時間も終わる。3月。上着もいらないくらいのぽかぽか陽気に、冬も一緒に終わったんだと感じる。  色々なことの終わりに周りはみんな浮かれている。「終わったー」「来年も同じクラスだったらいいね」「まだあと二年もあるってマジかよー」そんな声がクラスのそこら中から聞こえる。多分、このクラスで気分が沈んでいるのは私だけなんじゃないかなって思う。  すべての原因は、カバンの中の通知表。もっと言うと、通知表の中の「数学:5」

          小宮六華のカレー日記

          題「カレー」 小説  2019年10月26日(土) 天気:くもり  寒い。一昨日くらいから急に肌寒くなってきた。暑がりキャラの相田のシャツも、ついに半袖のTシャツをから長袖の変な柄のシャツになっていた。ものの一週間前まで真夏みたいな気温だったのに、ここまで温度差が激しいとちょっとやになってくる。  寒いのはあんまり好きじゃない。いっぱい着こまないといけなくなって洗濯物は増えるし、朝ベッドから体を起こすのも憂鬱になる。しもやけなんかもいっぱいできてしまう。  ただ、カレーを

          小宮六華のカレー日記

          怖いものについての話

          題「コストコ」 エッセイ  人間誰にも、他のだれかにはわからない、自分だけが怖いと感じるものがあるだろう。グリンピースに嫌いや苦手といった感情ではなく恐怖の感情を持っていたり、ヘッドホンをつけた人は全員ヤンキー上がりと思い必要以上に怖がったり。たいていの場合、それらはひとりひとりが勝手に抱いた偏見に過ぎないのだが、一度怖いと思ってしまったものはなかなか克服することができないのも事実として存在するだろう。  このような前置きをするということは、きっと今からこいつの怖がってる

          怖いものについての話

          いちごショートをもう一度

          題「いちご」 小説 「いちごショートと、オレンジジュースお願いします。はい、以上で。」  1年間付き合った荒井先輩と別れて2カ月。別れた当初は今までの人生の中で一番泣いたし一番へこんだけど、2カ月もたったら案外ケロッとしてる。今となってはどこが好きだったのかも少しあいまいになってきた。ただ、一つだけ心残りがある。  先輩とのデートはいつもこの喫茶店だった。スタバとか、タリーズとかじゃない、私みたいな女子高生には不釣り合いな純喫茶。薄暗い店内には曲の名前も知らないよう

          いちごショートをもう一度

          リモートゼミ

          題「リモートゼミ」 小説  …はい、じゃあそろそろゼミを始めます。いやぁ、リモートでゼミをやるのももう何回目でしょうか、皆さん慣れてきましたか?慣れてきたって人はグッドボタン押してもらってもいいですか…おっ、全員グッドボタン。まぁこんなに何回もやってきたら流石に慣れますよね。本当は皆さんが慣れる前に事態が収束するのが1番だったんですけれども。  それじゃあ今日も皆さんの研究についてのプレゼン発表を行っていきましょう。今日は確か…柴田君からですね。柴田君の研究内容は、「近代

          土用の丑

          お題「土」 エッセイ  祖父はうなぎが好きな人だった。  愛知に住んでいた祖父は、毎年7月の土用の丑の日の前後になると、兵庫に住む私を呼び出しては、うなぎを食べに連れて行ってくれた。老舗のうなぎ屋から隠れた名店まで、数多くのうなぎ屋に行った。普段うなぎなど食べる機会のない私は、毎年そのおいしさに感動し、高いうなぎであるのにもかかわらずバクバクとかきこんでいた。そんな私に、「なぁにをそんなに急いで食べてるんだ!」と笑いながら、おいしそうにうなぎをほおばる祖父の姿を見るのも含

          チョコボール

          題「チョコボール」 小説 「ママ!これもかって!」  まだ小さな娘の手の中に包まれたイチゴ味のチョコボールの箱が目に入る。ひと箱77円。たかが77円に億劫になってしまっている自分に嫌気がさす。  3年前に娘の美奈を産んでから、頻繁に体調を崩すようになった。月に1度は風邪をひき、貧血の症状も多く出る。この状態では職場復帰は難しいと感じ、それまで勤めていた会社は辞めた。  当たり前の話だが、会社を辞めてから家計はひっ迫していった。1人分の収入が減るだけでなく、やれ美奈の保育園だ

          「似てきた」こと+次回以降の投稿について

          スズキです。前回の投稿、思ってた以上の方に反応していただいて非常にうれしかったです。  さて、前回の投稿にこのようなコメントがありました。    これについて少しだけ、私の観点でお話しさせていただければと思います。  私とヤマシタに関して言うと、このコメントでいうところの、線的な「似てきた」です。  中2の時に出会ってから、私たちはお互いの好きな曲、好きな漫画、好きな小説、好きな映画、好きな人など、いろいろなことを共有しあってきました。そして、共有してきたことの多くを

          「似てきた」こと+次回以降の投稿について