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[第5話] 百合ナース! 〜かわいいあの子〜 [サロン連載]


あの夜のことは、私の胸のなかだけにしまっておくことにした。


ほんとはいけないんだけど、高校生の女の子がしたことだもの。


不法侵入だの違反だの、うるさいことはあまり言いたくない。


つまり、そういうお年頃なのよ。 


ちょっと規則を破ってみたくなるような。


無茶をしてみたくなるような。


まあ、私は三階にはフツーに階段で上がってたけどね!


お咎めなしだったこともあって、 あれ以来、みなみちゃんは私に気を許したみたいだった。


体育会的な堅苦しさは抜けて、子犬みたいなふにゃふにゃした笑顔を向けてくる。


これがまた、かわいいんだぁ〜。くうっ!


「このジャージ、よくない?」


院内着の上に炎メラメラの柄が入ったジャージをうれしそうに羽織っているみなみちゃん。


「夏は甚平にビーサンでビシッと決めてたんすよ」


そう言って花火大会の写真を見せてくれるみなみちゃん。


「髪とか、わりと自分で染めたりするのが好きっていうかぁ〜」


そう言いながらジャキジャキと前髪を切って病室に髪をまき散らすみなみちゃん。


そのたびに最近の若い子のセンスはわかんないわなんてオバサンっぽく思ったりするんだけど、 でも、気がつくと私は、みなみちゃんの話をニコニコと聞いてる。


ちょっと病室にいないと、「どこ行っちゃったのよ?」なんて、ウロウロ探してたりして。


なんだろう、この気持ち。


ただ、とにかく、かわいいの。


彼女の存在そのものが、きゅっと私の心をつかむ。


口説かれたわけでもないし、尊敬してるわけでもない。


私にだけ特別やさしいってわけでもないのよ? 


なのに、どうして?

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