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[第10話] 百合ナース! 〜かわいいあの子〜 [サロン連載]

夜勤で良かった。懐中電灯で足元を照らしながら、そう思う。


昨日よりはだいぶん落ち着いたけど、油断すると涙があふれる。


ほら、こんなふうに、空っぽになったおばあちゃんの病室の前を通ったりすると。


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おばあちゃん、苦しかったかなあ。


ごめんね。ごめんね。気づいてあげられなくって私。


こすると目が腫れちゃうから、私は涙をほったらかしておく。


それがいけなかった。こんな真夜中でも、患者さんが起きていないとは限らない。


トイレの前を通り過ぎた時、ちょうど出てきたらしい患者さんの声が聞こえた。


「お疲れさまです」


ハッとして振り向く。


トイレの前に立っていたのは、よりによってみなみちゃんだった。


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うわっ……


思わずまばたきをしたはずみに、また一粒、涙がこぼれ落ちた。


みなみちゃんが、私の涙に気づいて驚いた顔をする。

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「な、なんでもないの」


私は焦りまくって手の平で涙をぬぐった。


でも、患者さんに涙を見られたってパニックと、しかもみなみちゃんだよオイっていう動揺と、あぁみなみちゃんのことばっかり考えてたからっていう苦い後悔が一気に押し寄せてきて。


「ううっ……」


だめだ。私は両手で顔を覆って俯いた。


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