[SS第2話] 百合ナース! 〜ジェラシー〜 [サロン連載]
彼女の部屋にはプレステがない。
土曜の昼なんて、テレビもロクなのやってない。
本とか好きに読んでいいよと言われても、看護の専門書か、ぜんぜん趣味の違うファッション誌、それかあたしが苦手な恋愛小説ばっかで、いまいち手を伸ばす気になれず困ってしまった。
約束の時間が過ぎても、優花さんは帰ってこない。
鍵は置いてってくれたし、自由に出かけていいんだけど、あたしはなんだか部屋から動けなくて閉じこめられた気分。
お腹が空いたから、キッチンにあったカップラーメンを失敬して食べる。
なんかムナシイ。
ふと目をやると、テレビの下の棚のところに、CD-ROMがごちゃっと置いてあった。
映画でもないかと思って手を伸ばしてみると、なんとどれもラベルが貼ってない。
信じれん……と呆れていると、一本だけ「ハワイ」と書かれたラベルが貼ってあった。
ハワイ? なんの番組だろうと思って、デッキにかけてみる。
すると、ザーッという砂の嵐のあとに現れたのは、眩しい太陽の下で弾けるような笑顔を見せる優花さんの姿だった。
「ハワイ旅行のホームビデオ……?」
わー、すっげえいいモノ、見つけちゃった!
いつ頃の優花さんだろう、まだ真っ黒な髪。
表情もどことなく幼くて、もしかして今のあたしとおない歳くらいかも。
ちょっとー、黒髪マジかわいいじゃん!
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