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20,07,12。私の愛したアルバム⑯

当時既にベースにも手を出していましたが、指弾きさえマスターしてしまえばハードロックのベースなら何とかなるという勘違いから「ベースの為」に特化した練習をしていませんでした。

その為「自分が知らないギターテクニック」の勉強を優先する事が出来たのですが、始めてみると「自分の知らないギターテクニック」ではなく
「自分はテクニックをろくに知らなかった」事を痛感する事になりました。

最初に気付かされたのはギターの音色についてです。

それまでは歪ませた音とクランチな音の切り替えはエフェクターでやるものだと思っていましたがSince I've Been Loving Youのコピーに取り掛かるとそれが間違いであると気が付きます。

zeppelin流ブルースであるSince I've Been Loving Youは一曲の中でギターの音色を切り替える必要があります。エフェクターのon/off的にでは無く、曲の展開に合わせて細かくギターの音色をコントロールしなくてはいけません。

KISSを代表とする明快なアメリカンハードばかり弾いてきた自分には早くも「?」でしたが、ヒントは映画「The Song Remains the Same」の中にありました。文芸坐のロック映画2本建てリバイバル上映で見た時にJimmy Pageがやたらギターのボリュームをいじっている事には気が付いていました。

試してみるとエフェクターで掛けた歪みでもギター側のボリュームでドライブに強弱が付けられることが可能でした。なるほど曲中にボリュームをいじる回数が目立つわけです。

zeppelinのギターをコピーしていて身に付ける必要があったテクニックは他にもいろいろありましたが「ピックをつまんだままで中指での指弾き」もこの曲で知りました。ギタリストによってはピックを手のひらに隠して親人中の3本指プレイをする人(Brian Setzerなどはまるで手品の様に上手です)もいますがJimmy Pageは面倒なのかピックをつまんだまま中指だけ使うかピックを完全に手放して口にくわえる事で対応してます(笑)

音色の謎に続いてはバッキング時のコードフォームの違いでした。
KISSでは明快な2音のみの通称パワーコードと呼ばれる短縮コードがメインでしたがzeppelinでは「わざと使わないのか?」と思うほど使われません。

アコースティックナンバー以外ではフルコードを鳴らす事は少ないものの、短縮する為に抜く音と構成がだいぶ違います。

未知のギターに苦しみながらも楽譜の手助けも借りて、なんとかある程度弾けるようになって先輩に「こんな感じになってきました」と少々鼻高げに披露した所、再び思いもしない言葉で否定される事になってしまいます。

それは「おまえミュートって知ってる?」という言葉でした。

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