豊かな暮らしという問いの旅路

「Quolity of life 豊かな暮らし」

お昼の休憩時間にホットコーヒーを買おうといつものように入ったセブンイレブンの一角の雑誌コーナーにその本はあった。パッとその雑誌のタイトルに目が止まり手にっとった。
『自遊人』
すごく好きな響きだった。
若い青々とした緑が茂る森のような農園のような場所で作業をしている野暮ったい野良着を着たおじいさん。その姿がやけにかっこよく見えた。
1ページ1ページづつ指の腹をツルっとした紙の上を滑らしながら隅から隅まで文章を追っていた。気づけば昼の休憩の終わる時間だったので雑誌を元あった場所に戻しコンビニを後にした。

信号が青になりいつもの電子音の中を昼食を食べたサラリーマン達と並んで歩く。心のざわざわが止まらなかった。

自分の中で何か探していた答えのような、問いのようなもの
人生において大切にしたいと思えること
それを見つけたような気がしていた。

それは少し前に訪れたベトナムのサパへの一人旅の帰りの飛行機の中で感じていたモヤモヤと一緒だった。
現地で少数民族の暮らしを見て感じたこと、「豊かさ」をとても感じた。お金がたくさんあるわけではない。むしろ貧しいと言った方が正しいかもしれない。でもそこには幸せに暮らす人々の営みがあった。

今の自分が持っていないものだった。

日々仕事をルーティーンのように繰り返す毎日、なんで生きているんだろうという疑問が突然降りかかってくる。自分の人生をこれでいいのか、これがやりたかった生き方なのか。そんな答えの出ない問いを考えながら、今日も1日を生きる。

そんな時に読んだ自遊人に書かれた文章とベトナムで見た少数民族の暮らしで感じたことがカチッとはまる音がしたのだ。

自遊人は雑誌を編集する傍ら新潟県で宿の運営もしていた。ここに飛び込んでみよう。そう思った翌月、会社に退職願いを申し出た。それが自分の人生を歩み始めた一歩目だった。

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