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すべての仕事は、アートにできる。

国際芸術祭、東京ビエンナーレ2023に参加しています。
あえて自分の作品以外で、グッときたいくつかの作品を紹介します。
芸術祭は、一見無関係に見えるいくつかの作品たちが共通のテーマに別の角度から光を当てていることに気づいて、それが面白かったりもします。

まず、この作品。
ヒルダー・エリサ・ヨンシュドッティルさんの「Seeking Solace」

日本語にすると「慰めを求めて」という意味です。
パフォーマンスも行われたのですが、僕は惜しくも見逃してしまい、エトワール海渡リビング館で映像を見ました。

オフィスでパソコンに向かってカタカタとキーボードをたたいている男や女。

突然、手を止めたと思いきや、デスクの上の書類を荒々しく床になぎはらい、荘厳なアイスランド民謡(僕にはオペラのように聞こえました)を歌い出し(歌詞には個人的な告白が込められている)、そして歌が終わると何事もなかったようにまたカタカタとキーボードを打ち始める・・・という作品です。

パフォーマンス見たかったなあ。

自分も、会社の会議の途中で、突然詩の朗読を始めるアートをやってみたくなりました。

二つ目が、遠山正道さんの「ピクニック紀検定」です。
コレド室町3の地下一階、ちょっとわかりにくい場所なのですが、ぜひ行って欲しい!企業に勤めている人にはズンとくると思います。

遠山正道さんのステートメントを引用させていただきます。

来るピクニック紀に企業は何のために活動し存在しているかを問われる。
地球環境、少子化、AIやロボットの台頭等により、人の仕事の時間量は週3日程度に減少し、人生の仕事の優先順位が大きく下がってしまう時、人々は自らの価値を自立できるだろうか?
ピクニックにはミッションもゴールも勝敗もなく、ただ原っぱとあなたと他者が居るだけである。
依存できていた時代から、自立の時代になる。それは地獄であり楽園である。
あなたはピクニックにお声が掛かるだろうか?
ピクニック紀検定は、あなたが自らピクニックという楽園へ向かうためのチケットである。

遠山正道「ピクニック紀検定」ウェブサイトから

この遠山正道さんのピクニック紀検定に、僕は、めちゃくちゃ勇気づけられました。AIが発達していく時代は、人間にとっては「Will 意志」の時代だと思っています。

3つ目は、シャーロット・デ・コックさんのHYPERNOVAです。大手町ファーストスクエアのビルの壁面に描かれた大きな壁画です。

ビルに壁画を描く、というのが面白いし、ビル側がよく許可してくださったなあと。箱に閉じこもることからの解放を訴えるというテーマ。

3つの作品に共通していたのが、都市で働く人たちの精神を解放する、というテーマ。(遠山正道さんの作品は、あなたが望もうが、望まなかろうが、解放される時は来るんだという視点)

さらに都市で働く人たちを取り囲んでいるものは、目に見えるものだけでなく、制度や構造など目に見えないものも多く、それら全てがアートにできる可能性があるんだろうなあと夢想。

たとえば、
人事制度を新しくするアート
給与制度を新しくするアート
1 on 1を新しくするアート
などなど、もうアートの可能性ばかりだなあと。

自分も、自由な肩書きを考えるワークショップを時々やっているけれど、これも一種のアートなのかもしれないなあ、とか思いました。

すべての仕事は、アートにできる。

・・・かもしれない。

東京ビエンナーレ2023は11/5まで。