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3年越しに売り子引退について書きました。

2020年11月、高校1年生から18年続けていた西武ドーム(現ベルーナドーム)のヱビスビールの売り子を引退しました。
そこから引退についての想いを綴ろうと思っていたのですが、気づいたら3年以上が経っていました。

2020年は、新型コロナウイルスによりプロ野球開幕が例年より3ヶ月弱遅れたり、開幕してからもしばらく無観客試合が続き、もちろんビールの売り子も販売に出ることができませんでした。

その年、ようやくビールの販売ができるようになったのが、7月21日。
観客数もMAX5,000人という人数制限がありました。
売り子も、マスク着用、ゴム手袋装備、金銭授受はトレイを介して、販売終了は試合6回まで、と様々な規制が強いられました。

例年ならば満員(西武ドームは約3万人)、大歓声、たくさんの常連さんに囲まれる風景が、ガラッと変わってしまいました。

はじめのうちは、あのような状況下でもビールの販売ができるだけ幸せだと思っていましたが、人数制限やアルコールを飲む雰囲気ではない球場の空気感、ビールの売り子にとって、全てが負の影響を及ぼしていました。

ガラガラのドームで静まり返った中、ビールも売れない、常連さんにもなかなか会えない、そんな状況が私にとってはすごく辛く、18年間大好きで続けてきた売り子のお仕事を嫌いになってしまうかもしれない、と初めてその時感じました。

そこから過去を振り返り悩んだ結果、正直私の売り子生活、思い残すことはなくやり切ったと言える状況でした。
それならば嫌いになる前に引退をしよう、と決断しました。

とある野球選手の引退会見の言葉で、
「やり切ったので涙も出ません。」という言葉を聞き、私もそのような状況だったので、引退試合となる最終戦まで涙は出ませんでした。
(さすがに最後の最後は感極まって泣いた。)

これが私の引退した理由です。


売り子を始めたきっかけ

人生の半分以上、18年間続けてきた天職ですが、始めたきっかけは何気ない先輩との会話からでした。

高校1年生の時に、高校が主催するイギリス短期留学プランに参加した際、「西武沿線に住んでいるなら西武ドームでバイトしようよ!」と先輩に声をかけられたのがきっかけです。
西武線というのは、西武ドームに向かう際に使う電車です(笑)。当時西武沿線に住んでいたから、ただそれだけの理由。

あの時、イギリスの短期留学に参加していなかったら、先輩に出会っていなかったら、今の私はいなかったと思います。

人生で初めてのアルバイトが、ドームのビールの売り子。
野球なんて全然興味がないし、ビールの樽は15kgと重いし、最初はなんとなくお金がもらえるからという理由で続けていました。


売り子のやりがいって?

なんとなく続けていた売り子の仕事も、3年目あたりから、売り上げ1位を取れるようになり、その頃から売り子のお仕事への取り組み方が変わってきました。
もっと売りたい、どうやったら売れるんだろう、と考えて取り組むようになり、その年から引退までずっと1位でいることができました。
(途中新卒会社員複業時代3年間を除く)

売り子は歩合制のお仕事なので売れば売るほど稼ぐことができます。
同じ1試合売りに出ていても、売れなければ3千円程、売れれば3万円程とお給料が変わってきます。
それももちろん大きなやりがいでした。

でも、私の一番のやりがい・モチベーションは、私を待ってくれている常連さんがたくさんいたことです。
私は全試合出勤するのは当たり前ですが、常連さんの中にも全試合観戦に来ている人もいました。
1杯目の挨拶は「ありがとうございます。」というより「おはようございます。」でした(笑)。
お互いいるのが当たり前、会ったら必ず手を挙げてもらえるし、会ったらビールを注いでいる。そんな心地よい関係性。

私が忙しくてなかなか売りにこなくても待っていてくれる、時には追いかけて買いに来てくれる、私以外からは買わない、ビールを売る私を応援してくれる、そんな大好きな常連さんばかりでした。

雪が降る氷点下のオープン戦も、サウナ状態の40度近い真夏の試合も、変わることなくビールを買ってくださり、感謝しかありません。

また、何百人もいる売り子の中から1杯でも私からビールを買ってくださった方にも感謝の気持ちでいっぱいです。


売り子を引退してからのこと

私は売り子を引退してから、掛け持ちで所属していた会社で、フルタイムの会社員として働いていました。

しかし定時が18時の会社だったため、平日会社終わりには西武ドームに観戦に行くことが出来ない、TV観戦も18時開始に間に合わない、そんな生活が辛かったので、働く時間と場所を好きに選べるフリーランスになりました。

実は今の働き方に至ったのは、野球観戦をするためというのも大きな理由の一つです。
今は観客席からビールを飲みながら西武ライオンズを応援しています!


さいごに

18年間という長い間、西武ドームにてヱビスビールを販売させていただき、そこで得たものは間違いなく私の財産となっています。
これからも一生、埼玉西武ライオンズを応援しますし、ビールはサッポロビール推しです。

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