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バンドマンが考える最強のアカペラアレンジ

突然ですが皆さん、アカペラの動画って観たことありますか?きっと大多数の人は観たことあるんじゃないでしょうか。ハモネプでも、Youtubeでも、Twitterで流れて来たやつとかでも、定義を広げればなおさら。

↑こういうやつです(Youtubeでアカペラで検索すると最初に出てくる)

観てる時、観終わったあと、どういう感想を持ちますか?歌がうまい、ハーモニーが綺麗、アカペラなのにすごい、などいろいろあると思います。いろいろあると思うのです、が、

「アカペラなのにすごい」ってどうなのよ、という思いが僕にはあります。

バンドマンとアカペラ

僕個人の立ち位置を先に話すと、PenthouseというバンドでYoutubeでギターボーカル作曲者として活動しています。そんな中縁あって、アカペラ界隈で大活躍中の皆様と仲良くなって、アカペラ動画にも時折出演させてもらっています。そんな、もともと全然違う畑から出て来た割に、どっぷりその界隈に居座っているという妙な立ち位置にいる人間が僕です。

そんなこともあって、ここ1年、2年でかなりアカペラ動画を観るようになりました。当初、バンドしかやってこなかった僕にとって、アカペラ動画は単純に目新しく、「すげ〜〜〜〜〜〜〜」と思いながら日々鑑賞しておりました。

ただ、僕もいっぱしのクリエイターではありますので、「俺も作ってみるか〜」という気持ちになるまでにそう時間はかかりませんでした。何気なく、処女作Whole new worldアカペラバージョンを作って、「うちでおどろう」にアカペラコーラスつけたり、気がつけばもう5作目。(ほんとアカペラ作るのって大変なんですよ特にギターしか弾けなかったり譜面読み書きできなかったりするとなおさら)

ただ、作る側に回って、その視点でいろんなアカペラ動画を観ていくと、徐々に、好きなアレンジとそうではないアレンジが出てくるんですね。「あーー」とか「うーー」とか言ってコードトーン拾って、時々思い出したように字ハモするだけのアカペラ動画では満足できない身体になってしまったわけです。

急に具体的な話をしてびっくりさせてしまったかもしれませんが、一言で言うなら「アカペラでしかできないこと」をやっているかどうかが、一つポイントなんだと思います。冒頭で言った「アカペラなのにすごい」に対する違和感の正体はまさにそれで、バンドマンからすれば、コードを追ってボイパするだけなら「バンドでやればいいじゃん」とどこかで思ってしまう。逆に言えば、「アカペラだからできた」ものこそ、僕は感動するんだと思います。(だから僕はSinfoniaのアレンジが好きなんですよね)

バンドマンが作るアカペラアレンジ

そんなどこかで聞いたことがあるような気づきを元に、今回「バンドではできないこと」をやろうとして僕が作ったアカペラ動画がこちらです。


アカペラならではの特徴として、今回着目したのは3つ。

1. 言葉を乗せられる

誰もが考え付く所にして、最大の利点かなと思います。字ハモの「全員が同じことを言う」ことの迫力・説得力はバンドでは埋もれてしまってなかなか出せないものです。


ゴスペラーズの「ひとり」なんかは、まさにこれの力を感じます。素朴で真摯な歌詞が、これでもかと言うほどに浴びせられる。これがアカペラの最大火力だと思います。

今回のPenthouseの動画では、サビ1:15なんかがそれです。最高潮の盛り上がりを感じてもらえるかなと思います。

また、リードの休符にも言葉を詰められるのもいいですよね。今回は原曲より洗練された雰囲気、アーバンな感じを出したかったので、歌詞の一部を英訳したりして間に詰め込んでます。


2. ストリングスアレンジ

バンドでも入ってるじゃん、と言われるかもしれませんが、ここで言うバンドは僕が普段アレンジしてるギターベースピアノドラムの編成のこととさせていただきます。異議はDMでお手柔らかにお願いします。

ピアノやギターと違って、声部をそれぞれ独立して動かせるので、パート一本一本がカッコいいアレンジができます。経過音で変な音入れたり、一部休符入れてみたり、めちゃくちゃ自由度が高くて可能性は無限大だな〜と思いながら作りました。

動画で言うと、冒頭のUh~~~とか、1:07~1:12とか、短い間にあれこれ詰め込めてめちゃくちゃ楽しかったです。


3. 音色変え放題

意外とこれを活かしてるアカペラアレンジは少ないように思います。ギターやキーボードも音色は変えられますが、それよりももっと短いスパンで音色をコロコロと切り替えられるのも実はアカペラならではなのでは。

動画で言うとサビのスキャットは「goo goo wah」的なことをやって、Gの子音のキレの良さから、ワウギターのようなスキャットにつなげるフレーズがそれにあたります。結構上手くいったので満足しています。

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今回はこの3点を、いい塩梅で組み合わせて、ちょっとでも目新しさのあるアカペラにできたら良いな、と言う気持ちでアレンジしました。

いやしかし、、

アカペラめちゃくちゃ面白いな!!

誰もやってないであろうアイディアがたくさんある気がして、その可能性に高揚せずにはいられないですね。ボイパはてんでできないので今回はアカペラとボイパを司る神ことShimo-Renさんにご協力賜りましたが、ボイパ的なアプローチでスキャットを考えるのもすごく面白そうだなと思いました。アカペラ作るの疲れるけど、次はもっと誰も聞いたことがないような作品を作りたいですね。

さらに言えば、アカペラを作る中でコーラスの組み立て方が腑に落ちてきて、バンドの曲作りでもそれが生きている実感があります。Youtubeはじめて、いろんな人と知り合って共演して、いい経験を積めているなとしみじみ思います。

改めて、アカペラ界隈の皆さん、いつもありがとうございます。つらつらと生意気なことを書きましたが、たくさん勉強させてもらっています。これからもどうかよろしくお願い致します。


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