この不景気にスタバが大混雑する理由とそごう千葉100均問題

インフレがすごい世の中です。

何もかもが値上がりしているけれど、給料の上げ幅が追いつかないとニュースでやっていました。私は偏った生活圏で暮らしていて周囲に勤め人があまりいないし、いてもお金の話は避けているので詳しくはわかりませんが、給料が安定している代わりに急激に上がらない場合は生活が苦しくなるのは当たり前の話です。

可処分所得がギリギリになると住宅費と食費が最優先ですからゆとり費が削られます。我が家もお花を飾る回数が減りました。

私は街ブラが好きで、お休みの日は街をぷらぷらするのですがコロナ禍が終わって飲食は混んでいましたが、インフレで値上がり客足が減りモールの閑散はひどいです。アパレルや雑貨が多いビルは人がほとんどいませんね。

閑散としたモールでも混んでいるのがスターバックス(以下スタバ)です。スタバの集客力はすさまじく、本当にどの店も混んでいます。結構へんなところにも店を構えていて出店場所が良いわけでもなく出店計画がそんなに緻密だとも思えません。

出店は人の流れが多いところが基本ですが、スタバは逆で、出店することで人流が変わったりします。すごいです。

そして高い。
私はカフェでは基本アイスティを頼むので余計なんですが、割高感がすごい。コーヒーもアイスティも500円するしフラペチーノなら800円ぐらいします。それでもバカスカ売れてる。必要な経費とも思えないのに。

スタバは何を売っているのか


ではなぜこんなにスタバは売れるのでしょうか?
前置きが長くなりましたが私なりに考えてみました。

スタバは『サードプレイス』というコンセプトで始まったのは有名です。サードプレイスとは家と職場と第三の場所として、会社の往復だけの人生に一杯のコーヒーと居心地のよい空間を、的な提案をしたわけですね。

でももはやスタバはサードプレイスを売っているわけではないと思うんですよ。

今のスタバが売っている価値は「自分が主役になれる」なんですよね。

上記は誰かがSNSでつぶやいていて思わず膝を打ってしまったのですが、今はSNS社会なのもあって人生が相対化されてしまっています。相対化されるのはしんどいです。誰だって自分は唯一無二で、特別な存在だと思いたいから。

でもスタバに来たらカフェの写真を撮って投稿すれば主役は自分。

読書してる自分。
資格勉強に打ち込む頑張ってる自分。
フリーランスとしてPCカタカタしちゃう自分。
本業終えた後に副業までやっちゃう自分。
映える写真が撮れちゃう自分。
大切な仲間とお茶できる自分。
自分時間を大切にできる自分。

みんな何かに忙しい。でもスタバに来ればその瞬間だけは自分にフォーカスが当たります。他人から見て輝いているかは関係なく自分で自分を承認できる、そんな場所がスタバなんですね。

つまり、一瞬だけでもお手軽に自分が主役になれる料金がスタバのコーヒー500円なんだと思います。

これなんですよね。
仕事は他者の役に立つのが前提です。
でも日本の企業はその辺が下手で自分たちを主役にしてしまいます。昔あったNHKの『プロジェクトX』みたいな、頑張ってる自分たちを主役にしてしまうと。

でも仕事の成功って(くり返しになりますが)他人の役に立ち、他人の幸せをとことん考え抜いた先にあるものだと思うんです。

そごう千葉店の100円均問題

私は千葉に住んでいてたまにそごう千葉店に行くのですが、このたび100円均一のセリアがオープンするそうです。以前からそごう千葉の隣にあるヤング館的なジュンヌ(いまは閉館)にはすでにセリアがありましたが、本館の地下にオープンするとは驚きました。

「なくてもいいと言われるものと、
私の心は生きていく。」

(そごう西武 2022年コピー)

だったはずなのに。
基本的に百貨店はいらないモノを売っています。
なぜなら私たちの心は“いらないとされるモノ”と一緒に生きていくから。
それがときめくモノだから。

それなのに100均ができてしまうわけです。
必要なモノが売っていて、しかもやたら安くて、、、

そごうの場合は、何か戦略があってやっているわけではないと想像します。
なぜなら、前もジュンヌを20億円以上使って改装し、「ショッピングwithドリンク」と銘打って回遊型のフロアを作って客は無駄にぐるぐる回らされるという設計をしていたから。そごうジュンヌに行ったことがある人ならわかると思いますが、地下のUNIQLOだけはやたら混んでいて、そこに行くのにぐるっと回らされます。

何より原宿でもないのにドリンク持ちながら服を見ませんよね。だってこぼしたら大変だし両手が塞がるので服を見るのにラテカップを持ち歩かないでしょう。「ショッピングwithドリンク」のコンセプト自体が破綻しているというか、そんな人おらんやろという感じなのです。

現にオープンしたら疲れたおじさんおばさんがカップ置き場の前のベンチでグッタリしているという悲劇を招き、あげく早期閉館してしまったのです。

若いから映えたいやろ。
ドリンク持ちながら入れるよってコンセプトなら服見に来るやろ

妄想だけで進めて解像度が低い。
結局、スタバも100均も元気だから集客力に頼りたいとなってどんどん百貨店としておかしくなっていく訳です。

百貨店のプライドと古い業態から抜けられない、変われない、というのもあるんでしょうか。

学び

ここから学べるのは、ビジネスにおいて大切なのはきっと「他人(顧客)への解像度を高くする」ことなんだと思います。

スタバは主役になりたい人を集めているけれど、わざらしくやったら嫌われるからさりげなくみんなを主役にしてくれる。
ほらほら、映えたいでしょ?写真撮って良いよ。なんてやったら嫌われる。

顧客の解像度を高めて、かなり綺麗に人物像が描けているかが、この不景気に集客で爆勝ちできている原因なんだと思います。

(ちなみに私はスタバにはあまり行きません。シンプルに高いのと仕事を通じて自己実現しているつもりなので、あまり主役にしてもらわなくても大丈夫なつもりだからです。夫のおごりかチケットでだけ行きます。)


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