500円の“ふきん“を買ったらDX化されていてびっくらこいた話

はぁ。よっこらせ。
と東京駅に向かい、KITTEの中川政七商店で”ふきん”を買ったんです。
おばちゃんクサい出だしですみませんが、おばちゃんくさくない話。

ふきんは500円。店頭で「会員登録を・・・!」とかなり押されてLINEの会員証を見せたのですが、数日後にふきんを長持ちさせる使い方が詳しく書かれたメールが来ました。非常に勉強になるパーソナライズされたメールでびっくり。

DXがかなり進んでいるのです
特にコンテンツ(記事)の使いどころに関して学びが多かったので、メモとしてnoteに残そうと思います。

ポイントは3つ

①    情報過多の時代でもコンテンツにはまだまだやれることがある
②    すべてWHYから始める。手段から始めない
③    DXを分解すると「体験」「WHY」「IT」

順番に解説します。

①    会員証と連動させてパーソナライズされたコンテンツを配信する

ふきんのより丁寧な使い方。頑丈な布で丁寧に縫製され、見た目も可愛らしく、使い込める中川政七商店のふきん。その使い方が書かれたメールが私宛に送られてきました。

コンテンツが飽和する世の中では、Webサイトにふきんの使い方を載せてもお客様はたどり着けないかもしれない。何よりふきんはなんとなく使い方がわかるので、いまさら検索しようとも思わないでしょう。それにGoogle上では1位を取る熾烈かつ不毛な戦いが続いている。

それでもお客様にとってはせっかく買ったおふきん。店にとってはご縁のあったお客様。パーソナライズされたメールを送り、使い方をご案内する。これはかなり示唆的でした。

ウェブサイトにのっける文章を書くだけがコンテンツじゃないのです。それにGoogleでの検索はあくまでプル型なので、お客様が頭の中に「ふきんについて知りたい」と思わなければ検索行動は発生しません。だから、プッシュ型でどうしても読んでいただきたいコンテンツをお送りするという仕組みになっているのだと感じました。

結局、コンテンツって「どうしても伝えたい想いがある」からあるわけで、適切に使えばまだまだバリューを持つんだなと勇気づけられました。

②    すべてWHYから始める

私はライターでキャリアをスタートしたんですが、書くことそのものが目的になりがちです。コンテンツは「誰に、どこで、どんなコンテンツを、どう」届けるかが大事といわれます。しかし、

誰に(WHO)、どこで(WHERE)、どんな(WHAT)、どう(HOW)

の前には、必ず「なぜ(WHY)」が隠れています。WHYから始めないと適切な設計ができないのです。

ではなぜ配信するのか。WHYを紐解くとこうなります。

●お客様に確実にふきんについてご案内し、読んでいただくには?
●工芸品のふきんをいつまでも愛用してもらうには?
●ご縁のあったお客様にずっとずっと質の高い暮らしをしていただくには?

このあたりがWHYなのではないかと推測します。ここから以下のDXが設計できてしまうのです。

店頭ではLINEで会員証をサクッと表示
→スタッフがピッと購入品を読み取る
→裏側で購入品に紐付いたメッセージが準備される
→ 数日後に購入品についての適切な使い方やストーリーが配信される

これがLINEありき、コンテンツありき、プッシュ通知ありきだとうまくいかないんですよね。LINEだからじゃなくて、一流のライターに原稿を書いてもらったからじゃなくて、プッシュ型で通知したからじゃなくて、「WHY」から始めるのがDXなんでしょうね。手段から始めない、WHYから始める。

③    DXを分解すると「体験」「WHY」「IT」

本当に綺麗なDXだと思います。お客として感動しました。

●購入品に対して特化したメールが来る(体験)
●背後に質の高い暮らしをしていただきたいという想いがある(WHY)
●だから良質なコンテンツとLINEを適切に使う(IT)

この3つだと思います。「お客様の感動を引き出す」「WHYから始めて問い続ける」「適切な使いどころにITを投入する」です。DXだから何でもIT使えばええやろというものでもないのだと思います。そして例えばチャットボットを買ってきてサブスクで運用すればDXかというと、そうではないのかもしれない。(チャットボット屋さんごめんなさい)

DXにはお金がかかる

とはいってもDXにはお金がかかります。インフレもあるし、国内のすべてが値上がりしているので、どんどんバリューをつけてお客様に還元し、喜んでお支払いいただく必要があるのです。売上で従業員の給料を払って固定費の支払いをするだけでは社会貢献と呼べない世の中になってきました。

だからこそ、稼いだお金を「お客様の感動」に投下し、じゃんじゃん喜びのサイクルを回していく。これがDXなのかなと学びが多かったです。

今回のDX体験そのものにも価値がありますが、勿論ふきんを長持ちさせる丁寧な扱いについても大変勉強になりました。コンテンツにはまだまだやれることがあるんですね。

余談

今回おふきんとお酢を買ったわけですが1500円もしませんでした。この感動体験を1500円で買ったと思えばタダみたいなものですし、綺麗なDXの先進事例が学べて、オマケにふきんとお酢がついてきたと思えばお得すぎますね。また次は食洗機対応の漆塗りのお椀を買いに行こうと思っています。

思えば、「ぜひ会員登録を・・・!」とこちらに呼びかける店員さん対応も、ただお得なスタンプがもらえるという言い方ではなく、何かが違った感じがしました。私は面倒なのでスタンプとかポイントとかいらない派なのですが、何かが違っていたので思わず登録してしまったのです。きっとその何かは、DXの仕組みが裏に走ってるから違うと感じたのでしょうね。

ご依頼等ございましたら、ここに少額を投げていただきメッセージを書いていただけると折り返します。