体調不良の成人式

大丈夫、心でそっとつぶやく。

そうでもしないと心がつぶれてしまうから。


私は先日、成人式を迎えました。
でも体調不良に襲われています。


ここ数日体調を崩している。

正直オミクロン株による感染が爆発的に拡大している中での頭痛や倦怠感は精神的に堪えるものがあった。そのうえ普段より1度ほど高い微熱が出てしまってはもう駄目だ。ああ成人式には出られない。そう感じた。
周りの友だちにも不安を与えてしまう。もしかしたら近しいみんなも成人式に出れなくなってしまうかもしれない。
すごくすごく不安だった。

自分が主催している同窓会にも行けず申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

深夜には吐き気が止まらず、寝ては吐き気で目覚め嘔吐し少し寝てまた起きて嘔吐して…の繰り返し。同じ部屋で寝ている家族を何度も起こしてしまい、優しくしてくれる両親に申し訳なさでいっぱいだった。妹は翌日から学校が始まるというのに私の物音で何度も起こしてしまって申し訳なかった。
体の中が空っぽになるまで何度も吐き続けた。気づけば朝と呼ぶべき時間になっていた。

翌朝、病院の予約をとった。
この時にはすっかり熱は引いていたから、コロナではないだろうという自信は増していたが不安が消えたわけではなかった。病院の予約フォームにある「24時間以内に37℃以上あった方は発熱外来へ」という文字が恐怖を誘った。違うだろう、と思いつつ発熱外来を受診することになった。

なんとか病院へたどり着くことが出来た。それだけでもほめたたえたい。
看護師さんの質問に、自分でも驚くほどはっきりと答えることが出来た。脳内で自分の症状を反芻していた甲斐があった。
ご飯食べられないよねぇ、辛かったねぇ、看護師さんの一言一言が優しくて染みた。「胃腸炎だと思います」という医師の言葉は私のどこにも刺さらずにすっと通り抜けていった。大丈夫だと思うけど念のためPCR受けようか、と言われたときには不安と安心の両方が襲ってきた。受けるしかないのはわかっていた。
PCR自体はあっという間に終わった。
そこから結果が出るまでの約2時間がストレス過多であった。もし…といろんな想定が頭によぎり身体を重くしていった。
結果は「陰性」。安心感で一気に楽になった。とは言ってもお昼ご飯はかなり小さい4口のお米しか食べることができなかった。(ちなみに朝ご飯は一口も食べられていない)つまりただの胃腸炎ということだ。

午後には少しずつ復活し、課題を進めなければとPCを立ち上げるも、PC画面を見ると気持ち悪くなりすぐに断念。前日ほど寝ているしか術がないわけでもなく、嘔吐があるわけでもないのにやるべきことを何もできない自分に嫌気がさした。ただぼーっとすることしかできなかった。とにかくエネルギーが足りないから、スポーツドリンクを飲み、ゼリーを食べ、白湯を飲む。それしかできなかった。
とにかく、成人式に無事に健康に行って楽しめることを願うばかりだった。

その日の夜はぐっすり眠れた。
しっかりと睡眠をとることが出来ただけでも大きな喜びであった。朝ご飯にお茶碗一杯分のご飯と納豆を食べることが出来た。これなら大丈夫だと心から思った。
1.5日ほどまともに食事がとれていないため体重が2kgほど減ってしまった。成人式のため体力も取り戻さなきゃと散歩に出かけようと思った。
父親がお昼ご飯を買いに出かけようと声をかけてくれた。ありがたかった。着替えて出かけようと思った。でも、私は着替えただけで、出かけることができなかった。気持ち悪さと倦怠感が襲ってきたのだ。
元気になったと思ったのに、出かけられない自分が本当に嫌だった。悲しかった。悔しかった。何とかお昼ご飯を自分で用意し、気持ちを立て直した。夕方、やっと出かけられた。クリーニングへ行き、少し買い物をして帰った。出かけられたことが嬉しかった。
少しだけ自信をつけて一日を終えることが出来た。


翌朝。成人式当日。

無事自分で起きて、朝ご飯を用意して、身支度をして、家を出ることが出来た。
しっかりと着付けをしてもらい、成人式に出席することが出来た。
久しぶりの顔をたくさん見ることが出来た。たくさんみんなとお話することが出来た。写真に若干の悔いは残るものの、この数日を考えたら十分すぎるほど楽しむことが出来た。

たくさんの「出来た」で幸せな気持ちだった。

幸せな気持ちで家に帰ると、忘れていた存在がやってきていた。
生理だ。
ああそういえば、と。お前もいたな、と。
翌日は低気圧なのもわかっていたし、病み上がりの成人式は疲労度が高かったので、大学は諦めようと早々に決めた。これが少しの精神的余裕になった。
同窓会中止だけど4人以下なら…と声をかけてくれた友人の誘いも断り、すぐにお風呂に入り体に優しくおでんを食べ、ゆっくりと寝た。

翌日は休むのを決めていたから、行けない不甲斐なさにさいなまれることはなかった。仕方ないと思えた。
でも、出さねばならない課題の締切は迫っているし、かといって進められる状態でもないしで辛い気持ちがぬぐえるわけではなかった。
全く動けないわけでも話せないわけでもないのに、何もできない自分が嫌でいやで仕方なかった。

今日も同じようなものだ。
今日は絶対に大学に行くと決めていた。行かないとついていけない授業があるし、内職しやすい授業があるから課題も進められる。それにずっと同じメンツで動けるから、何かあったときにも安心だと思えたからだ。
でも早朝から下痢が止まらなかった。
すぐに食パンをかじり、正露丸を飲んだ。
それでもしばらくは下痢が続き、なんだか情けない気持ちになった。
家族が起きてくるころには収まっていたが、不安はそのままだった。でも絶対に大学に行くと決めていたから、いつもよりもしっかりとメイクをして自分を武装して、お弁当用におにぎりも作って朝ご飯を食べた。
でも無理だった。
いつお腹を下すかわからない中で電車に乗るのは怖かった。
母のやめとけば?の一言が私の中の「無理」という声を拾ってくれた。
父に話しかけたときには涙が止まらなくなっていた。
何の涙だったのかはわからない。だけど、心の涙だと思う。いろんなことがもう無理だった。何も頑張れない自分も、どんなに休んでも復活してくれない体調も。


結局この1週間近く何も課題や勉強を進められていない。
同窓会に行ったわけでもないのに。

私の中学の同窓会は中止になった。
これは私の体調は関係なく、オミクロン株の感染拡大に伴い元生徒会や学級委員で判断したことだ。
でも、インスタグラムを開くと、同窓会を楽しんでいるストーリーが目に入る。すごくくやしかった。
何が正しいということはないと思う。
だけど、成人式翌日に大学に行かないことで、その近辺で課題を全く進められていないことで、同窓会を開いてたくさんおしゃべりしながらご飯を食べている人たちと同じように見られてしまうことが悔しかった。
私は誰ともそんな思い出を作っていないのに。周りの人にも我慢してもらったのに。

少なくとも、体調管理がしっかりしていない私に非があるのは間違いない。
胃腸炎に思い当たる節は全くないが、私にも責任があるだろう。

だけど全てを受け入れられない私を許してほしい。

みんなをうらやんでしまう私を許してほしい。


どうして私はだめなんだろう。
どうしたら大丈夫になれるのだろう。


まだまだ子どもだなと思う。



成人式を迎えたはずなのにな。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
Nana

ケーキが食べたいです。今はモンブランが食べたい気分。