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【小説】モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件(著:駄犬、イラスト:芝)雑感 【推しの正鵠】

『あうんの呼吸』『アイコンタクト』、あなたは出来る派?出来ない派?

僕はといえば、出来ない派。言葉にしないと分からないし、その言葉も定義が曖昧だと聞きなおす理系脳。

・・・ふと、「私が髪型変えても、あなたは言葉で伝えないと絶対気付かないよね」なんて台詞を彼女から冷たい目で見下げられつつ告げられた苦い記憶が蘇ったのですが(どうでもいいですね、すみません)、まぁ何が言いたいかというと、言葉は他人と認識を共有するための重要なツールだということ。

とはいえ、言葉を交わせど意図が伝わないケースもよくあるわけで、特にやっかいなのが、その言葉を異なる解釈で受け止められた場合。つまり、勘違いってやつ。

ちなみに僕は勘違い系のコントや小説、アニメが大好きで、最近のお気に入りは「陰の実力者になりたくて!」。

見所は、主人公と主人公の意図を徹底的に勘違いする仲間たちの行動が、最後は不思議と辻褄が合ったり合わなかったりするところ。原作もアニメも繰り返し見るほど好きで、昨年末にアニメ第二期が終わり非常に辛い思いをしていたのですが、そんな時に僕の心の隙を埋めてくれたのがファンタジーミステリの傑作「誰が勇者を殺したか」の著者、駄犬さんの「モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件」

本作のストーリーは以下のとおり。

ファルーン王国の第一王子であるマルスは、12歳ながら暗殺に怯える毎日を過ごしていた。
食事には高確率で毒が仕込まれているため、城外の森でモンスターを狩り、その肉を食べて飢えをしのぐ日々。
そんなマルスの前にある夜、大剣を担いだ赤髪の美女が現れ告げる。

「おまえ、見込みがあるな。私の弟子になれ」

たった一つの勘違いから、少年は(全く望んでないのに)最強の王へと成り上がる――!

公式サイトより引用

公式の作品紹介でも「たった一つの勘違いから始まる狂食英雄伝、開幕!」と語られるように、『勘違い』こそが真骨頂の本作。広告からもそれが伝わってきます。

表紙やこの広告からは芝さんのイラストと物語との愛称のよさが伺え、イラストの良さが本作をより際だたせているのは間違いありません。

さて、そんな本作の見所ですが、ネームドキャラたちが主人公マルスに関わるたびに次々と勘違いの連鎖に巻き込まれていく様。

部下も妃も敵も皆、例外なくマルスと意図がかみ合わない。かみ合わないだけならまだしも、誰もが常軌を逸する行動を望むかのように過激な方向へと常に突っ走っていくのですが、なかでも特にヤバいのが、マルスの婚約者フラウ。「イカれている」という言葉は彼女のためにあるのだと思わせるほどの狂人。その狂いっぷりは要注目です。

そして主人公マルスもまた、そんなキャラたちとの関わりが深まる度に『毒を食らわば皿まで』といった感じで圧倒的な強さを身につけていく。その過程も見逃せません。

そんな脳筋でコミカルな展開が楽しい勘違い系ファンタジー、通称『モン肉』は現在2巻まで刊行。登場人物たちが勘違いから選択するイカれた行動の数々をぜひご堪能あれ。

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