弐拾七式(ナナシキ)

ファンタジー小説探索者(恋物語もミステリーもある種の幻想)|装丁・イラスト好き|体は珈…

弐拾七式(ナナシキ)

ファンタジー小説探索者(恋物語もミステリーもある種の幻想)|装丁・イラスト好き|体は珈琲で出来ている|❤️シーラカンスモナカ・いたがきフルーツサンド・喜久福|⚽️コラム書き

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第30回電撃小説大賞受賞作『無貌の君へ、白紙の僕より』発売記念─にのまえあきらさん作品紹介

2024年4月25日、メディアワークス文庫より第30回電撃小説大賞受賞作『無貌の君へ、白紙の僕より』が発売されます。僕の【推し】である著者にのまえあきらさんのデビュー作なのですが、まずは作品紹介から。 試し読みはここからできます。感想ですが出だしから良くて、特に第一章の冒頭から、主人公の優希とヒロインの美澄を繋ぐ木谷先生というキャラが既にたっているあたりがいい。僕は、こういう腐った大人の皮を被ったキャラ(特に肩書きがお堅い人ほど)がとても好きですね。とはいえ、最も気になるの

    • 【漫画】ウスズミの果て(著:岩宗治生)1・2巻雑感

      作品概要 雑感 ✅️滅亡した世界に残された少女の生きる『意味』とは ✅️少女は何かとの『関わり』が増えるたび、『意味』を更新していく ✅️そんな哲学的な物語の展開が心に沁みる ✅️2巻-第10話、書物の価値に関する会話や構成が好み

      • 【小説】蒼剣の歪み絶ち(著: 那西 崇那、画:NOCO)紹介

        《作品概要》 《雑感》 ✅️英雄的主人公が好きな人はぜひ ✅️本に運命を縛られた少女に癖が刺さりそう ✅️臨場感のある戦闘描写がよい ✅️装丁や目次がいちいち格好いい ✅️なのに伝説の魔剣は見た目がおもちゃ ✅️鬱展開でも欠かさぬ小ネタ 歪理物という怪異的な物体、呪いの魔剣、『本』に運命を縛られた少女・・・・・・なかなかに厨二病的ワードが飛び交う紹介文。そして肝心の物語は主人公がひたすら善性で英雄的なことから、古き良きラノベを思い出す人もいるかも。とはいえ、物語の肉付け

        • 【小説】追放された商人は金の力で世界を救う(著:駄犬、画:叶世べんち)雑感

          作品紹介 雑感 ✅️常軌を逸した金策がヤバイ ✅️想像の遥か斜め上を行く金の使い途 ✅️236頁の挿絵がまじで好き ✅️駄犬流ハートフルギミック炸裂 ✅️再び最初から読みたくなる魔法 駄犬さんのデビュー三作目。「誰が勇者を殺したか」「 モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件」と違うテイスト。読み切りなので、次巻を気にせず読めます。 タイトルから察するに、なろう系の『追放もの』テンプレ作品かと思ったけど、作品紹介にもあるように「テンプレからの逸脱と裏切り」なんですよ

        第30回電撃小説大賞受賞作『無貌の君へ、白紙の僕より』発売記念─にのまえあきらさん作品紹介

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        • 推しの正鵠(厳選作品)
          12本

        記事

          【小説】竜胆の乙女 わたしの中で永久に光る(著:fudaraku、画:はむメロン) "最大の問題作"との評に相応しい電撃大賞受賞作

          電撃大賞受賞ながら"最大の問題作"、その評に納得。 作品紹介 雑感 ✅️"最大の問題作"評は伊達じゃない ✅️ホラー的描写の痛々しさたるや ✅️針の止まらぬ羅針盤で旅するような展開 ✅️『痛み』の意味を知った時、世界が変わる ✅️挑戦的な構成に脱帽 本作を先ほど読み終えたばかりだが、僕はこの作品の感想について語れない。上手く言葉に出来ないのだ。なので、ぜひ皆さんには読み終えた後に「あとがき」に目を通し、その上で、誰かの解釈を気にすることなく、それぞれの受け止めのまま物

          【小説】竜胆の乙女 わたしの中で永久に光る(著:fudaraku、画:はむメロン) "最大の問題作"との評に相応しい電撃大賞受賞作

          【漫画】イズミと竜の図鑑(著: 凪水そう) 未知の探求と竜の真実を紡ぐ冒険譚

          未知を知る、これほどワクワクすることはないですよね! 未知の探求といえば冒険の醍醐味。どんな未知であろうと、それを探り知るための挑戦は読者の心をアツくさせる妙薬かなと。 ファンタジー作品における未知といえば宇宙船やら冥王やら使徒など様々で、そんな未知の謎解きは多くの作品で胸躍らせる重要なピース。中でもメジャーなのは竜。ファンタジーでは欠かせない最強種の一角。 そんな竜種を徹底網羅した図鑑の改訂作業を行う物語を描いたのが今回紹介の『イズミと竜の図鑑』。 ということで、ま

          【漫画】イズミと竜の図鑑(著: 凪水そう) 未知の探求と竜の真実を紡ぐ冒険譚

          【小説】魔女と傭兵(著:超法規的かえる、画:叶世べんち) 〜 半熟たまご的に程よく柔らかいハードファンタジー

          2024年2月時点で3巻発売を控える「魔女と傭兵」。どちらかといえばハード寄りのファンタジー小説。 僕がこの手の(どちらかと言えば)本格派志向のファンタジー作品を好きになったきっかけはロードス島戦記。その後、指輪物語のような本格派の作品に手を出し、今や小説だけでなく漫画やゲームに至るまでファンタジーな作品を漁る廃人と化したわけですが、そんな私が本作をSNSで知り、今更ながら購入し読了したのでさっそく紹介。まずは、あらすじから。 主人公が男女ペアのいわゆるバディもので、冒険

          【小説】魔女と傭兵(著:超法規的かえる、画:叶世べんち) 〜 半熟たまご的に程よく柔らかいハードファンタジー

          【小説】敵とは何かを考えさせられる「人類全て俺の敵」(著:凪、画:めふぃすと)

          「人類全て敵なのは流石に無理ゲーだよね」 そう思いながら読む前に想像したのは無双バトル系。もしも主人公のチート能力による暴れっぷりの描写が主な内容ならば僕の好みとは違うかもと思いつつ、とはいえ第28回スニーカー大賞の頂点作品がそんな展開だけであるはずがないと思いなおし購入した本作。 読み終えた時、「僕の勘は正しかった」と真っ先に思ったのでした。まずは、内容紹介から。 改めて作品紹介を読むとバトル物の雰囲気がぷんぷんとするのだけど、読み進めるうちに理解したのは、物語が描き

          【小説】敵とは何かを考えさせられる「人類全て俺の敵」(著:凪、画:めふぃすと)

          【漫画】タワーダンジョン1巻(著:弐甁瓶勉) 世界観と設定に興味津々

          先日1巻が発売されたタワーダンジョン。弐瓶勉作品の最新作で、迷宮探索本格ファンタジーと銘打つ作品紹介に惹かれて早速入手。 物語の内容は以下のとおり。 思いっきりファンタジーらしいこてこてな開幕から塔内の戦闘が続き、物語の進展と共に増える登場人物たちのやりとりから主要キャラらしき人物の輪郭や物語の背景を何となく理解したところで1巻は終了。 特に気になるのは世界観と物語の設定。 いまのところ『姫がさらわれ、主人公が助けにいく』という王道ストーリーっぽいが、中盤から終盤にか

          【漫画】タワーダンジョン1巻(著:弐甁瓶勉) 世界観と設定に興味津々

          【小説】捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです(著:カレヤタミエ)」 〜 心惹かれるヒューマンドラマ

          僕はカクヨムやなろうで商業化された作品以外のものをよく探すのですが、週間ランキングなどで好みっぽい作品をタイトルから想像して選んでいた時にたまたま出会ったのが本作「捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです」。 タイトルから想像したのは、追放後のスローライフがメインのお気楽な異世界転生もの。スローライフが丁寧に描かれている作品は好きなので、テンプレな感じの作品じゃなきゃいいな、くらいの軽い気持ちで読み始めたのがそもそもの過ちでした。まず、ストーリーは以下のとおり。

          【小説】捨てられ公爵夫人は、平穏な生活をお望みのようです(著:カレヤタミエ)」 〜 心惹かれるヒューマンドラマ

          【小説】モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件(著:駄犬、イラスト:芝)雑感 【推しの正鵠】

          『あうんの呼吸』『アイコンタクト』、あなたは出来る派?出来ない派? 僕はといえば、出来ない派。言葉にしないと分からないし、その言葉も定義が曖昧だと聞きなおす理系脳。 ・・・ふと、「私が髪型変えても、あなたは言葉で伝えないと絶対気付かないよね」なんて台詞を彼女から冷たい目で見下げられつつ告げられた苦い記憶が蘇ったのですが(どうでもいいですね、すみません)、まぁ何が言いたいかというと、言葉は他人と認識を共有するための重要なツールだということ。 とはいえ、言葉を交わせど意図が

          【小説】モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件(著:駄犬、イラスト:芝)雑感 【推しの正鵠】

          【小説】誰が勇者を殺したか(著:駄犬、イラスト:toi8) 2023年最高のファンタジー作品

          僕はファンタジー作品が好きだ。と言っても、ファンタジーの中でも細かいジャンルで分ければ好き嫌いはあるのですが、好きなものの傾向として、謎解き要素を組み込んだ作品が挙げられます。 例えば「化物語」「薬屋のひとりごと」、漫画だと「進撃の巨人」「サマータイムレンダ」など。共通しているのはミステリー作品に分類されるかどうかではなく、物語の仕掛けとして様々な伏線を用意している部分。物語の何処かしらに散りばめられたそれらの要素の組み合わせが作品を読み解く鍵となるような、そんな仕掛けのあ

          【小説】誰が勇者を殺したか(著:駄犬、イラスト:toi8) 2023年最高のファンタジー作品

          この作品を勧める言葉を僕はまだ知らない 〜 『アリスとテレスのまぼろし工場』感想

          最近では呪術廻戦やら進撃の巨人で高い作画力を見せつけ、仙台にもスタジオを持つ我らが『MAPPA』初のオリジナル劇場アニメ。仙台の民としては見逃せないので、やっと時間を確保して映画館へ。 まずは、作品の概要。 本作品の小説は既に発売されており、映画館に足を運ぶ前に読んだ方もいるのではないかと。ちなみに私は未読勢。 さて、ここに感想のまとめを書こうと思ったものの、何処から何を話せばよいのか分からないというのが、正直なところ。 監督である岡田麿里さんの過去作品を知っていた僕

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          『禍話』コミカライズの感想と予知夢の記憶

          最近ホラー小説を幾つか続けて読んでいたせいか、Xのおすすめに取り上げられていたネットラジオ『禍話』。その話が漫画化されて発売されたとのことで、興味本位で購入し読了。 まずは本の紹介から。 とのこと。11のエピソードは身近な話題が多く、強烈な怖さを感じるものよりも、後からじわじわくるような怖さのものが多い印象。そんなエピソードのなかで、特に気になったものが以下のふたつ。 肝試しに行こうとした女子高生の父が見た夢とはーー『模型上の死』 自責の念にかられる少女に会いに来た、

          『禍話』コミカライズの感想と予知夢の記憶

          地方クラブの生きる道 〜 地元愛で選手を育てるモンテディオ山形ユース(U18)

          9/17に行われたプリンスリーグ東北 第15節、モンテディオ山形ユース 対 帝京安積の一戦は、モンテディオ山形のホームスタジアムであるNDスタジアムで開催された。しかもナイターで、である。 この試合の観客動員数は公式記録で1,000人。普段のリーグ戦が概ね100人未満であることを考えると、箱が大きくなったとはいえ、かなりの数の客が集まったことが分かる。 これにはスポンサーの獲得、スタグルの出展など、モンテディオ山形の営業努力もさることながら、有志のサポーターによるバックア

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          長く鋭いランスは扱いが難しい 〜 ラッシュフォードという長槍

          2023年9月16日開催のマンチェスターユナイテッド対ブライトン。結果は1-3でアウェーのブライトンが勝利。ビッグ6以外のクラブで初のマンU戦4連勝を挙げたクラブとなったそうだ。試合内容を見ればクオリティの差は明確で、納得の連勝と言えるだろう。 肝心の試合だが、マンUの入りは悪くなかった。前線の3人が高い位置からブライトンの最終ラインに強烈なプレッシャーをかけ、ブライトンのビルドアップから自由の一部を奪う。 更に左翼側のスペースを主戦場とし、圧倒的なスピードで幾度となくブ

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