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1場面物語「ろうそく婦人」


「マッチ売りの少女というお話を知っていらっしゃる?」

その日のお茶会で、ろうそく婦人は集まる私達に聞きました。私達は一斉に首を傾げて、ざわざわとしました。

「マッチ売りの少女?」
「マッチならここにいるけど」
「少女って人間のこと?」
「ねぇ、お茶が溢れちゃうじゃない」
「ちょっとそれは私のクッキーよ!」
「人間の子供のことでしょ?」
「ウリって、瓜?」

ざわざわする私達に、ろうそく婦人は優しく炎を揺らめかして「マッチ売りの少女」のお話を聴かせてくれました。
それは、とても悲しいお話でした。

「わたくしはね、その時、少女が持っているのが蝋燭だったならって思ったの」

ろうそく婦人の炎が揺らめきます。
それはとても美しくて、けれど何処か寂しい色でした。

「そうしたら、少女はマッチをするより長く夢を見ていられたことでしょう」

私達はろうそく婦人の話に聴き入ります。
美しい炎の光を見ていると、心が落ち着き、穏やかになれます。

「ねぇ、皆さんも、そう思うでしょう?」

私達はうっとりと、ろうそく婦人を眺めて頷きました。
ろうそく婦人は満足そうに炎の光を強めて微笑みました。

それから、皆で楽しくお茶会をしました。
ずっと、ずっと、皆で楽しくお茶会をしました。





「やぁ、君ほどの悪魔はなかなかいないよ」

ろうそく婦人はかけられた声に、上品に炎を揺らし微笑みました。

「あら、悪魔だなんて。わたくしは、ただ、可愛い子たちに長ーい夢を見せてあげているだけよ」




お読み下さり有り難うございます。
当初考えていたファンタジーよりダークになってしまった。笑

このお話が生まれるきっかけは、相互フォローのannonさんの本日の記事の写真でした。ぜひ記事もご覧ください。annonさんの写真はいいですぞぉ。



ヘッダーにお借りした写真↓

(annonさんの美しい写真)

こちらを横にすると、蝋燭に見えるシルエットがありました。
その他、下の方(横にすると左)に、にこやかに笑う顔のようなシルエット写真(記事の下の方の写真)などもあり、頭の中にファンタジーがモクモク湧いてくる。

最初は、『蝋燭を誰かが持っていて…』と思ったのですが、ヘッダーにするために拡大したところ、まるでドレスを着ているような感じがして、『ろうそく婦人』と思ったところで、一気にダークファンタジーになりました。


annonさんへ
有り難うございます! 
お写真借りました!(事後報告ですが駄目って言わないと思うたのであります!駄目なら言ってくださーい)

これからも素敵なお写真お待ちしております( *ᴗˬᴗ)⁾⁾

ほんと、これが枯れ蓮だと、誰が思いましょう。
自然に出来上がる芸術は素晴らしいですね。

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