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10分早く家を出て

朝起きたら雨によって雪はとけ出していた。

『雪の中の鳥撮りが……無念…』

雪のほぼ降らない地域民にとって、雪景色は特別なのだ。

窓の外からヒヨドリの元気な声が聞こえてきた。
アパートの窓を開けて、私は大慌てでカメラを取り構える。

もふもふに羽毛を膨らませているヒヨドリ。
羽の間に空気を含ませる事で保温している。

雪の積もった屋根も入り込み、これでいいかと満足する……も、欲が出る。
別の窓を開けてみる。

道路向こうの柑橘類に尾長たちが来ていた。
このへんを寝ぐらにしているので、いつもいるメンツ。
しばらく、観察しつつ狙ってみる。

なぜか不思議なところに止まる。
そこに取り付く事で、何かいいことがあるのだろうか?
塀の上には雪が残っている。雪に足を置くのは冷たくて嫌なのだろうか?鳥の動きは面白い。

食いしん坊のヒヨドリも柔らかくなった柑橘類を狙いにきた。

うまく撮れない。
まぁいっか!

『あ、見つかったかな?』

家の窓からコレだけ撮れれば満足じゃ。
というかバッテリーが無い…。

望遠の弱いコンデジの方は元気なので、そちらをカバンに突っ込む。

ほんの10分早く家を出た。
わざと裏道を通る為に。

やはり、人気の少ない裏道は鳥達の世界。
しかし、気配でバレる私。
時間がない。
とにかく撮らねば。

雪の中でもツグミんはキリッとしている。

雀はふっくふくで可愛いね。

トリミングしないと豆粒。
じっくり構えていられないのでとにかくシャッターを切る感じ。

上空には鳶が旋回している。
雪残る曇空。
さぞや獲物が見つけやすかったことだろう。
みな、枯れ草の中で小さく鳴いていた。

この寒さを越えた個体が、春を喜び歌い出すのだろう。
梅が咲いて小鳥レストランになったら、また写真を撮りに行こう。


そう思った。

10分早く家を出て
私はわくわくを手に入れる。


あなたも、いかがですか?

特別じゃないけれど
素敵なこと。
きっとたくさんあるはずだから。

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