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私の大切な『悪い子達』

夢物語みたいなもの。遠い何処かの話だとでも思ってね。



彼らは弱くて汚くて悪い奴ら。でも、小さくて弱いから、悪さだって小さいの。

小さくても悪いから、みーんなから嫌われる。そして、おなじ悪いモノにも虐められ部屋の隅の煤みたいにもぞもぞしているのでした。

私と一緒にいる子がチョイチョイと私に言うのです。『あなた、拾ってやったらいいじゃない』

私の周りに強いのがいないから、あれ等も一緒にいてもいい。なんなら、私は縁も深くないし、他の誰かにくっつくよりいいでしょうというのです。

私はあまり考えずに「それもそうね」とこたえました。

そして、もぞもぞやってる悪い子達に「ねぇ、約束して。私もう少しこの世界を見たいから、力を貸して。一緒にギリギリまで見に行こう。その代わり、あなた達を消したりしない。私はその重さを持ってあげる。」と言いました。

もぞもぞした子達は、もぞもぞと移動して、私のそばにつきました。
元々いた子は自分で提案した癖に、少し呆れた雰囲気でした。

私の力はとても小さく、親しい人の流れを読むだとか、たまに力のある葉っぱを風に乗せるだとか、そんなものです。

大きな力の人と関わると、後ろのもぞもぞ達も、元からいた子も消し飛ぶ危険があるので、適度な距離が必要です。

相手の方もそれを知ります。
何しろもぞもぞとした子達は、悪い子達なので、力の強い人の、強い方々は少し警戒します。

でも、私があまりに弱々で、周りの子達も弱々で、次第に問題ないとされます。大物と喧嘩になる時は、私達は魂を削ることになる。
私達はとても弱い。上手に隠さなくてはいけません。

私も周りの子達も喧嘩は嫌いなのです。悪い子達も。悪いくせに、やりたいイタズラは窓を汚すとか、ヘアピンを隠すとか、そんな程度。

みーんなから『こんなもの』って弾かれて、捨てられたから、とっても寂しい寂しい存在。
私が「いいんじゃない」って言うから、力を貸してくれるだけで、何時も何時も何かを小さく恨むのです。

私はそれを普段聞き逃し、たまにどっぷり浸かってあげるのでした。
たくさん怒って、泣いたらいいよ。
「私がかわりにやっとくよ。」

私があんまり大泣きすると、引いている空気を感じるのは癪だけど……ちょっと笑っちゃう。

私はそうやって、煤みたいなものと一緒にいるのでした。
小さい草とか小さい花のやつももらうから、淡い光と淡い影がもやんもやんしてまるで闇夜に浮かぶ灯籠のよう。

夜だと月が煤みたいなのに力を貸すし、昼の太陽なら草花みたいなのに力を貸すし、雨と風の日は私自身が沸き立つ日。

ま、ほんとの悪いのは強いからこないし、いいでしょうと私は思っています。

「約束。私のギリギリまで一緒にいましょう。」

しょうがない、しょうがない。だって、しょうがないんだ。
『全く恩知らずね』とずっといた子はいいますが、恩など知らぬままでよいのです。
何時でも同じ歩の速度でいい。

私には強い力はありません。
持てないのもわかっています。
お渡しできるものがないもの。

いつか、あの星の様に形の違う仲間達と繋がり、宇宙の透ける空の下をあるけますように。
そのためにも、ギリギリまで見ていかないと。


ここまで読んでくれて有難う御座います。
これから感じとるモノが在る人もいれば、何のこっちゃな人もいる。
そういうものです。
たまにはこんなものも書きます。

他も色々書きたい様に書いていますから、良かったら見ていってくださいね。
noteは旅をするのに向いていると思うから、私も未だ見ぬあなたの場所へお邪魔するかも知れません。
どうぞ宜しくお願いします。


サポート設定出来てるのかしら?出来ていたとして、サポートしてもらえたら、明日も生きていけると思います。その明日に何かをつくりたいなぁ。