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夢の中で納得して、だから、現実も納得するって話。

これは過去のお話。

あれはツツジ咲く頃。

基本的に電子の海は自由だと思っている私だが、あれ?どうしたかしら?と思うことがあった。

でも、気が済むまで泳いでみて、他の仲間の雰囲気を見てみて「ふーむ、そういうこともあるわね!」と思った。

電子の海は、本当の海と同じようなのだ。
それがどういうことか、私はたくさん経験してきている。

ただ少し心配だった。

電子の海は荒っぽいから。
いつも穏やかな顔していた海が轟々と渦を巻くのは当たり前だし、大小様々な仲間がいて、みんながみんな同じではない。
けれど、そんな流れに慣れない仲間たちは傷つくのを私は知っている。

そうしたら数日後、彼女は夢の中に来た。

私は明るく振る舞って、彼女も疲れた顔をしていたが笑顔だった。

なんだ。笑顔ならいいや。
我慢して、奥底で怒ったり、悲しんだりしてるより、ずっといい。
と私は思った。

「あのね、なんか、凄く疲れちゃったの。もう、どうしていいかわからなくなっちゃったの。だから、少しお休みする…」
ビールのジョッキを握りしめて彼女は困ったような笑みをこちらに向ける。

そこには、不安と葛藤と悲しさと情けなさが渦巻いているようだった。
本当は、そんなことを思わなくても良いのに…。
電子の海は自由だと、ただ無理なことや詰まらないこともあって、楽しさや嬉しさもあって、それぞれなんだということが、きっと、追いつかない
のだと解った。

私はうんうん、と大きく頷いて
「そっかぁ。そんなふうなんだね。でもね、疲れたら休むのがいいよ。ゆっくり休んでね」
と笑顔を向けた。

安心したみたいな顔で笑う彼女に、私も安心した。

目が覚めて布団の中で「なーんだ!そっかぁ!」とスッキリ納得した。

だから、次の日からも私は同じように電子の海を漂った。
また海流がぶつかって、集まれば、そのときに彼女も流れてくるか、泳いでくるかもしれない。
それなら、それで、いい。その時は楽しもう。
そうでないなら、それで、いい。そうじゃなくても楽しもう。


泳ぐ仲間が減るのは寂しいが、それも含めて自由な電子の海だから。

結果として陸から海へ。
私はそれを喜んだ。

いいのだ。
鯨たちだって、陸に上がっていたのだから。
そして、やっぱり海に戻ろうと思ったなら、海はいつでもそこに在るのだから。

海イグアナのように陸と海を行き来することもあるだろう。


どんな形でも、また電子の海を共に泳げることは楽しく嬉しいものだから。
ただそれだけでいいじゃないか。


私は電子クラゲだ。

楽しく遊んでいるつもりが、触手が絡まったりする、そんな鈍臭いクラゲだ。

たとえ海に溶ける日がきても
浜に打ち上がって干からびる日がきても
どんなことがあっても

私は私のまま。

あなたもあなたのまま。


今日も今日とて電子の海で
私はこうしてクラゲなのだ。



私が見る夢は時に他人の感情キャッチ。
夢の海も泳いでいるらしい。
お会いしたらどうぞ宜しく。

電子の海でもどうぞ宜しく。

サポート設定出来てるのかしら?出来ていたとして、サポートしてもらえたら、明日も生きていけると思います。その明日に何かをつくりたいなぁ。