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パフェレポ パフェバーagari『パインとパッションフルーツとグァバの台湾風パフェ』2024年4月

マーガオの香りが印象的。南国の果物特有の風味が華やかで、異国情緒を楽しめるパフェ。


すでに見た目がパイナップル
キャワワ

 まず、パフェの見た目からしてパイナップルに見える。レギュラーサイズのふくらみのあるグラスで頂いたのもあるかもしれないが、花びらのように配置されたパイナップルやアイスによって、俗に言うパフェのぼうし部分にもボリュームがあるので、シルエットはさながらパイナップル。トップにはローズマリーの葉が乗っているので、これがパイナップルの葉(?)のように見えてより一層パイナップルっぽさがある。シルエットからパフェのテーマを体現しているの、こだわりを感じる……!

 トップのドライパイナップルから。生クリームとマーガオ、クコの実も乗っていて、見た目はさながら南国に咲く花のよう。喩えるなら黄色いハイビスカス。ドライパイナップルを噛みしめると感じる凝縮されたパイナップルの風味がしみじみ美味しい。上に乗っている生クリームやマーガオとも相性が良い。クコの実とマーガオの香りから早くも異国情緒を感じる。
 その横のグァバライチデーツミルクビーガンアイスは相変わらず固いけれど美味。思ったより酸味が強く、グァバの風味の主張が強い。アイスというよりソルベのような食感なのも相まって、爽やかでトロピカル。
 そしてその下のパインパッション杏仁クリーム、これがもうほんとに美味しい! 果物の酸味と爽やかが全面に出ていて、これまでの南国果物の流れを一切切ることなく同じテイストで、乳脂肪分のまったり感が心地良く残る。agariはクリームにまで工夫が凝らされていていつも楽しみにしている所でもある。
 パフェグラスの縁に花びらのように配置されているのが、パイナップルジャスミン花シロップマリネ。一片が意外と大きくて、食べるのに苦戦する。正直ジャスミンの香りはよくわからなかったが、シロップ漬けされた爽やかなパイナップルがたっぷり食べられて満足感が高い。
 パフェの中へ。店員さんからの指示の通り、一旦上層から下層まで掘り進めながら食べていく。agariってわりといつも、中を混ぜて食べるとか、上から下に掘り進めて食べるとか、そういった指示をいただくので、いつも珍しいなーと思っいながら食べている。個人的には薄皮を剥がすが如く一層ずつ頂く派なので、ボーリング調査の如く地層を掘り進めて食べるスタイルはagariに来た時くらいしかしていない。
 美味しい生クリームを掘り進めると最初に出てくるのがクリーム状の(というかテクスチャはこしあんくらい非常にもったりとした)ピンク色をしたグァバチョコがちらりと覗かせる。普通ならしつこくなってしまうくらいの、まったりべたっとした甘さのホワイトチョコがベースになっているのが、今までの爽やかな流れのアクセントになってかえってとても美味しく感じる。グァバのトロピカルな風味で一貫性もあり、少量ではあるものの大変印象に残るパーツだった。
 その後すぐに来る黄色いパインパッションジャムの目が覚めるような酸っぱさで先ほどの甘さからすぐさま酸味に味のバランスが振れる。その間にも先程の酸味のある美味しい生クリームがあり、酸っぱいがクリームのミルキーさでとても良い塩梅。
 小さい角切りのライチグミが食感のアクセントに。その下は杏仁とグァバのタピオカ粉ケーキ。ふわふわというより少し食感のある、酸味の感じられるケーキで、手の込みようを感じる。agariは毎回パフェに入っているこのケーキもいつも楽しみなんですよね。生クリームとの相性も抜群でとっても美味しい。
 その下はパイナップルジャスミン花シロップマーガオマリネ。グラスに沿わせるように角切りパインがたっぷり入っている。先ほどのパインと大きく違うのは、マーガオが非常によく香る所。酸味やクリームのミルキーさが続く中で、このスパイシーな香りが非常に良いアクセントになっている。普段あまり感じたことのないスパイスの香りが、また違った異国情緒を感じさせて、南国から"台湾風"というアジアンな世界観に突如引っ張り込まれる。
 続くレモンとチーズのマーガオクランブルグラノーラ、ザクザク食感の中にほのかにチーズの香り、そしてここでも強く香るマーガオ。この辺りまで来ると、パフェ全体がマーガオの香りで満たされる。
 無糖生クリームのまったり感の後、香香烏龍のゼリーでクールダウン。こちらのお茶を今回ペアリングとして頂いたのですが、想像していた烏龍茶の香りとは違うもので、もっともっと香り高いお茶だった。このお茶の香りのする優しい味のゼリーが、一旦全てを沈静させ穏やかな気持ちにさせる。その後に、パフェの底にある酸味の強いパインパッションジャムがトロピカルで酸味のある風味に戻し、南国の風が一吹きして〆。

 今回は前半がパイナップル・パッションフルーツ・グァバ・マンゴーなど南国果物による華やかな香り、後半はマーガオの香り、という二種類の香りが際立つパフェだった。お店曰く、『パイナップルケーキ』がテーマだそうで、お店の方が美味しかったパイナップルケーキの要素を集めたパフェだとのこと。
 パフェにスパイスが使われていることはよくあるが、このマーガオというスパイスはおそらく初めてパフェとして味わったような思う。アジアンテイストな異国情緒を感じるこの香りが非常に印象的だった。
 前半の南国果物中心の酸味のある構成が南の島のバカンスのような雰囲気、マーガオが香るパインより下からは台湾のエキゾチックな夜市を思わせるような雰囲気を感じて、一つのパフェでさまざまな国々を巡っているような、そんな異国情緒を感じられる素敵なパフェでした。
 ひさびさにagariでパフェを食べましたが、生クリームひとつを取っても非常に手の込んだ仕掛けをしてあって、一つ一つのパーツ自体も味わって食べたいくらい、本当に満足感のあるパフェでした。さまざまな美味しい手作りのお菓子を少しずつ食べる贅沢を味わえるのが、このお店の良い所だなあと改めて思いました。

(今の店舗って通常は焼き菓子の販売をしてないんですね、とっても美味しいので、また食べたい……!)

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