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2、沖縄発上陸した日 -島旅日記ー


サトウキビをかじった日から、21年後。

那覇にある旦那の実家に挨拶に行くために、ようやく念願の沖縄へ。
けれど、沖縄熱狂人のわたしの初めての来訪は、あんまりいい思い出ではなかった。
それまでの思いが膨らみすぎてたのかもしれない。
沖縄についたとたんに、ぷわーっと体中の細胞が目覚めて、その昔琉球王朝にいたのではないのだろうかと思えるような、不思議な感覚が巻き起こり、あれほど強く来たいと願っていた沖縄が、わたしの人生にとって大きな意味があったのだ!。。。的な体験がまったくなかったのだ。


結構、これには愕然とし、ある意味衝撃だった。
長い間望んでいたのに、なんで、ここに来たかったんだろうと、さえ思った。
というより、沖縄ってこんなはずじゃなかったという残念な気持ちのほうが大きかったのだ。
空港を降りたら、すぐに白い砂浜と、赤がわらのレンガ作りの家がならび、エメラルドの海が見渡せると思い込んでいたので、那覇の都会っぷりに唖然としてしまった。
なんなら、若干、興ざめしてしまった。
白い砂浜の変わりに、あくせく働いている都会人ぽい沖縄人が往来し、赤がわらの家の代わりに、ビルが立ち並び、車が渋滞していた。
那覇の実家の近くの海も、黒っぽくにごっていて、日本海の海と対して変わらなかった。
落胆するわたしを、旦那は、琉球村に連れて行ってくれた。
しかしこのことが、もしかして、こういう展示場の観光施設にこないと、わたしのイメージする沖縄って存在しないのだろうかと、さらに落ち込ませた。
海もあんまり綺麗じゃない、白い砂浜はあるけれど、夢にまでみたところじゃない。

どんよりしていたわたしを、最終日、旦那の友人夫妻が斎場御嶽へ連れて行ってくれた。
そのときの記憶は色濃く残っている。
最後に、茂みの中から、久高島を望んだとき、不思議と、この景色を知っているような気持ちになった。
わたしのまだ知らない沖縄がちゃんと存在していることを、予知してくれていたと思う。

しかし、沖縄から帰ってきて日常に戻ると、ものすごく恋しく淋しい気持ちになった。

「また行きたい。」
一人になったとき、ぽつりと、そう思える。

それが、沖縄初体験だった。




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