【マッチレビュー】J1第9節 ジュビロ磐田vsサンフレッチェ広島

スコア

2-2  引き分け
得点者  鈴木雄斗、ファビアン・ゴンザレス

順位:15位
勝ち点:8(1勝5分け3敗)
得失点差:-3(総得点:11、総失点:14)

出場メンバー(採点)

GK:三浦龍騎(5.5)
DF:伊藤槙人(5)、大井健太郎(5.5)、リカルド・グラッサ(4.5)
WB:鈴木雄斗(6)、小川大貴(5.5)
ボランチ:上原力也(6)、遠藤保仁(6)
2シャドー:松本昌也(5.5)、大森晃太郎(5.5)
CF:杉本健勇(4.5)

交代出場:
アレクセイ・コシェレフ(6.5)、吉長真優(6)、
ジャーメイン良(6)、大津祐樹(6)、
ファビアン・ゴンザレス(7)

フォーメーション

前節から2人入れ替え。大津の代わりに小川大をスタメンにして、小川が左WBで松本はシャドーで入る。また、ボランチで山本康裕に代わり上原力也が先発。

松本のシャドーはこれまで流れの中で何度か使ったことがあるが、プレッシングの圧力を高める意図で使っているような気がする。今日はいかにいい形でボールを奪うかをテーマにした先発オーダーか。

力也は山本に代わってキャプテンマークを巻く。彼は未来の磐田のバンディエラになるかもしれない選手。遠藤保仁の加入以来出場機会が減り、去年は仙台にレンタルされていたが、彼の覚醒は長期スパンでのチームの強化上重要なので今日の試合も期待したい。

前半はよい流れをつかむ

序盤、プレッシングが思うようにかからず、広島の縦に早いボール回しを抑えきれず、何度もシュートにさらされる。サントスのボールの収まりと前に運ぶドリブルの能力にも苦しむ。

20分過ぎにアクシデントでGK三浦が負傷交代。コシェレフが入る。三浦は開幕からずっと調子よかったので残念。

33分に大森がシュートまで持ち込んだシーンは今日、特に狙いたい攻撃パターン。比較的高い位置でボールを奪って、ショートパスで何度か繋いでいる間に右サイドのDF裏に抜け出した鈴木に遠藤がスルーパス。ペナルティーエリア右寄りに侵入した鈴木はゴール前に走り込んできた大森に合わせるが、相手のDFのポジショニングの妙でいいシュートは撃てず。

先制点もこの形から。縦にコンパクトな守備陣形でプレッシング。広島の縦パスに対して、グラッサが前進守備でボール奪取。グラッサはそのまま、左サイドのDF裏に抜け出した大森にパス。ペナルティーエリアに侵入した大森は意図的なパスは繋げなかったが磐田は複数の選手がサポートに上がってきていて、鈴木がこぼれ球を拾う。鈴木がFWさながら相手DFに囲まれながらの技術的にレベルの高いシュートを沈める。鈴木の技術力の高さはもちろんだが、複数人がサポートに入れていたこともゴールに繋がった重要な要素。

その後も前から前からというプレッシングではなく、全体をコンパクトにして自陣の3分の2あたりから守備陣形を敷く。かなり押し込まれる時間が続いたが危険なシーンは作らせずに守り切り、前半終了。

後半、完全にひっくり返される

後半立ち上がり、左サイドで大外で起点を作られ、ペナルティエリアに飛び出した松本泰志に繋がれ中に折り返し、伊藤に当たって微妙にコース変わったボールをグラッサがクリアミスしてオウンゴール。中央の守備は崩されたわけではなかったので、もったいない失点だった。後半立ち上がりに身体が動き出す前に嫌なところにボールを繋がれてしまって、対応しきれなかった印象。特にグラッサは今日は試合全体を通じて動きが鈍く、コンディションが悪かったように見える。

広島は前半はバイタルエリアあたりにパスを入れて起点を作ろうとしていたのを、後半はペナルティエリア脇やゴールエリア脇のスペースでボールを受けて起点を作るやり方に変えてきた。磐田はスペースにボールを入れられることで、下がりながらの守備になってマークを捕まえにくくなり、波状攻撃にさらされる。追加失点も時間の問題くらいに危険なシーンを作られまくる。

59分、完全に抜け出したサントスをコシェレフがギリギリの飛び出しでクリアするなど、コシェレフはかなり押し込まれて守りにくいなかギリギリのところで、よく守っていた。

しかし62分ついに崩される。ここも裏へ裏へとスペースを使われての失点。左サイドで柏が佐々木にバックパス、柏はそのまま左サイドを縦に走り、鈴木雄斗の裏を取る。大井がカバーに出るが、その裏を取りペナルティエリアの左に飛び出した森島に繋がれる。伊藤槙人がそれをカバーに出るが間に合わず、森島に中央にボールを入れられると、フリーで待っていた満田にゴールを奪われる。

直後に大井と大森を下げて、ジャーメインと吉長がIN。失点前から準備していた交代だが、3バックの右に鈴木雄斗が入り、吉長が右のWB、ジャーメインがシャドーに入る。

逆転したことで、広島が少しギアを下げたことで多少ボールを持てるようになった磐田。しかし、攻めた後にボールを奪われて、開けたスペースを使われてのフィニッシュに持ち込まれるという広島のやりたい展開で時計の針を進められていく

流れを変えたファビゴン

広島は78分、柏に代えて柴崎晃誠を投入。磐田は81分に遠藤と杉本を下げて、ファビゴンと大津が入る。ファビゴンは投入直後にDFの裏を取り、ゴールに迫り、コーナーキックを獲得。コーナーがファビゴンに合ってヘディングシュート。惜しくもポストを叩いて外れるが、今日はファビゴンが何か持ってそう。

広島のDFはそこまでフィジカルコンタクトのパワーがあるタイプではないので、ファビゴンの身体の強さは武器になっていた。

しかし、それでも広島の守備は安定しており、いい形での攻撃が繰り出せず敗色濃厚な雰囲気が出る。

89分右サイドでボールを受けた吉長が寄せてきた満田をトラップ→ワンタッチで股抜きして突破。ペナルティエリアの横まで侵入。力也、ジャーメイン、ファビゴンが待ち構えるゴール前に低くて早いボールを入れる。この低くて早いボールを選んだのが吉と出る。

広島DF荒木がクリアできる位置にいたが、濡れたピッチでショートバウンドが変化したのか荒木がクリアミスしてボールが中央へ流れる。混戦状態になり、ファビゴンがシュート。野上がバランスを崩しながらブロックするが、もう一度ファビゴンがシュートして同点ゴール。

ここでもう一つの幸運は2度目のファビゴンのシュートをブロックに入った荒木が足を滑らせて転倒し、ブロックに入れなかった。今日のファビゴンは持っていた。

92分にもコシェレフのパントキックに飛び出したファビゴンがゴールに迫る。最終的には大迫がキャッチするが、藤井がブロックしようとするも抑えきれずにあわやというシーンとなる。

流れが磐田に傾くが、3点目は奪えず試合終了。

最後までわからないのがサッカー

広島が支配した時間も長く、ゴールを脅かすシーンも多かったので、内容的には広島に軍配が上がる印象。しかし、コシェレフが三浦の魂が乗り移ったかのようなセーブ連発でなんとか凌いでいたのが勝ち点1に繋がった。広島としたら勝ち点2を失ったという感じでしょう。

サッカーは最後の最後まで分からんですね。ファビゴンのゴールシーンもチャンスがなかなか作れないなかで、吉長のひらめきが局面を切り開いたことで生まれたチャンスシーンだった。

去年くらいからこの磐田の諦めないことで終盤のゴールが生まれるというのが増えてる気がしている。こういうほぼ敗戦の流れを引き分けに、引き分けを勝ちに持ち込むことってとても大事。これが出来たのが今日は収穫。

一方で前半をかなりいい形で折り返せたのに、後半ひっくり返されてしまったのは課題。裏のスペースを取られて苦戦し始めてから結構な時間、修正できず、結局逆転までされてしまった。

広島のかなり狭いスペースでも裏を取る技術・戦術がすごいというのもありますが、ボールの出どころに素早く圧力をかけるプレッシングを再検討した方がよさそうです。

好調の広島相手に勝ち点1を取れたのを良しとしてよいかと思いますが、内容的には上回られたというのが事実だと思うので、出てきた課題を早く修正したい。

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