見出し画像

世界には「明けましておめでとう」と言えない人たちがいる

1月1日、日本から時差−5時間の国に住む私が能登半島で起こった地震について知ったのは、お昼すぎのことでした。

1月2日に関東に住む家族に電話で日本の様子を聞くと、日本は大丈夫か、というような空気になっているとのこと。

ニュースアプリの通知も飛行機事故や余震のことなど鳴りやまない状態でした。

ニュースで状況を知るにつれ、人に会っても「明けましておめでとう」と言えなくなっていきました。

それから数日にかけて、海外の友人たちからも多くの心配のメッセージが届きました。

SNSに日本の国旗の絵文字を掲げてくれた友人たちもいました。

街を歩いていて出会った人に「日本から来た」と話したら、しきりと手を左右に動かすので、何かと思ったら、ジェスチャーで地震を表していることが分かりました。大丈夫か、と聞いてくれたのだと思います。

世界中の人に日本のことを気にかけてもらえてありがたいと感じました。

さらに数日後、イラン出身の知人に「イランは同じマグニチュードの地震があったとき4000人以上亡くなったので、日本の生命を救う仕組みはすごい」と言われました。   

それからさらに数日後、仕事始めになり、日本の会社とのやりとりがはじまりました。

年始の挨拶で「明けましておめでとうございます」と言う人は少なかったです。

私も使いませんでした。使うことができませんでした。

こんなときだから明るくおめでとうと言おう、という考えもあると思うのですが、誰かが傷つく可能性があると思うと、言葉が詰まってしまいました。 

おめでとう、という言葉がガラスの破片のようなものに感じられたのは人生で初めてのことでした。

新年を心から祝うことができるのは当たり前のことじゃないのだと気づかされました。

日本だけではなく、いま戦争中の国々も、同じようにおめでとうと言えない年明けになったと思います。

自然の脅威、人間の脅威。考えることは山積みですが、新しい年を晴れやかに迎えられる人が増えることを、今年の願いにします。

改めて、今年もどうぞよろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?