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久しぶりのお出かけ、と考えごと

数ヶ月ぶりにお出かけした。
行き先は学芸大学駅。

事前に行きたい場所をいくつか調べて臨んだ。
iPhoneのマップのガイド機能にピックアップした場所を登録して、万全で臨んだ…つもりが肝心の降り立つ駅を間違えてしまった。東横線、都立大学駅と学芸大学駅が並んでいて大学駅トラップが仕掛けられていた。

久しぶりのお出かけ、知らない街を歩くのは楽しい。
ちょうどいい、ということにして一駅分歩くことにした。

私のあまり知らない東京だ、はじめての景色、はじめての人たち。これを少しでも多く味わうために生きていると言っても過言ではない。

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今回の一番の目的は本屋さん、SUNNY BOY BOOKSを訪れることだった。

以前知り合いに薦められたとき、お店のロゴがかわいすぎる…!と思い、一度訪れてみたいと思っていた。
店内では普通の本屋さんでは出会えないような本や、ZINEと呼ばれる本などが扱われていた。

店内をゆっくり回って、周りを見渡して上下左右に広がる本を眺めて、気に入ったものは手に取って時間を過ごした。素敵な空間を浴びているという感覚。久しぶりの贅沢。

独特な版画のイラストと、翻訳の仕事に携わる方が翻訳を通して言葉を見つめ直す、というコンセプトに惹かれてこの本を購入した。

中の一つ一つのページ、どれもポスターにして飾りたいと思えるくらい
デザインも素敵

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本屋さんの他にも、お菓子屋さん、カフェ、雑貨屋さんなど巡った。

この日、私は久しぶりに身体を感じた。目に写るもの手で触れるもの、あらゆる知覚が自分の身体のスピードに合っているような感覚。

スマホを上下にスクロールすれば際限なく新しい情報が目に入ってくる、でもそのどれも私に入り込んではこない。動画配信サイトで動画を観るのも楽しいけど、ただ今それを観ているだけ、観ているという作業をしているだけ。とりあえず知っておかないと、取り残されてしまうような焦燥感に突き動かされている。

SONNY BOY BOOKSで今回購入した本は、当日お店を訪れるまで存在も知らなかった。店を訪れなければおそらくきっと知らないままだっただろう。
いや、もしスクロールの一瞬としてこの本の表紙が流れてきて知ることはあっても、私に入り込んでくることはなかったんだろうな。

この日、電車に揺られて、一駅間違えながらもお店を訪れることができて、この期間にたまたまこの本のフェアをやっていて、この本の手触りやイラスト、コンセプトに惹かれたから購入するに至った。この本を購入しないルートの人生になっていたからって何かが大きく変わったわけじゃないだろうけど、なんかちょっといい人生になった気がしなくもない。

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電車に揺られる、とか一駅間違えちゃった、とかこういうひとつひとつを全て飛び越えて、いくらでも、なんでも出会えてしまう時、それを唯一無二にしてくれるものは一体なんなんだろう。いつまでも、もっといいものがあるかもしれないと止むことのない想いを持ち続けやしないだろうか。

物だけじゃない。人だって同じだ。小学校・中学校・高校のクラスは窮屈だったと感じていた自分にとって、今はとても身軽で、誰の顔も気にせず振る舞えて、いつよりも自由を感じている。でも、そのしがらみのなさの中で、それでもあなたとずっと一緒にいたいと思うに至る何かってなんなんだろう。

久しぶりにお出かけで、なんだかそんなことを考えた。

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