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シリーズ 昭和百景 「団塊を生きる」  スピンオフ短編「人も去って夜這いなき今」

割引あり

 親の介護をと故郷に戻った保見光成さんは死刑囚となって何を想うのか。2013年の山口連続殺人放火事件から10年。獄中の保見さんの言葉から「団塊世代の情念」を描きます。
 高度経済成長と団塊の世代、そして老いゆく日々−。
 死刑囚となった自身でさえ予期しなかった最期への日々−。
 団塊世代と呼ばれた方々、そして団塊ジュニアと呼ばれる方々にとって決して他人事ではない心理と情念を、死刑囚となった保見光成さんの人生の軌跡から。
 まずはかつての風景から。この記事でも触れられた昭和の因習「夜這い」の証言を。有料記事では証言者のかたは実名です。ナナオフェアは一律770円ですが、拡散ディスカウントで177円で。短編の分量は400字✖️約12枚です。
 「訊くのではなく聞こえる瞬間を待つ」作家、七尾和晃の「歴史の証言」をぜひ。
 




 

 第二次大戦後も、日本各地には「夜這い」の風習が残っていた。夜の訪れを待って、男性が女性宅に向かうものだが、実態や背景が語られることは少ない。書籍やインターネット上には、出所不明の伝聞が掲載されてはいるものの、実際にその場に居合わせた証言となると、まず見当たらない。「夜這い」は、ほとんど語り継がれぬままに、人々の記憶から遠ざかりつつある。これは、昭和最後の証言でもある。

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