エクストリーム7年生 (5)

  第三章・舞台を止めるな (2)

「……”第三演劇部”ですか」
「その通り」
 言うなり額は三土の傍に歩み寄り、A4サイズのチラシを机に置いた。パステルカラーの動物の可愛いイラストが中央に3点、上部には丸みを帯びた文字でタイトルが書いてある。

「どうぶつの里は今日もドッタンバッタン大騒ぎ」

 聞き覚えのある単語に眩暈を覚えつつ、三土はチラシを手に取って眺めた。ここの公演は、以前にも観たことがある。二年前の学園祭だ。部のOBにして新進気鋭の脚本家・草石倍(くさいし・ばい)が手掛けた作品は大学の内外から注目を集め、一日限り二回の公演で1000人収容の大教室に立ち見客が出たほどだった。

 その日、三土は二回目の公演を観るべく開場待ちの列に並んでいた。11月初旬ゆえ晴れていても風は涼しく、ただ立っているだけの身にはこたえるものがあった。
 開場まであと20分ほどのとき、出入口の近くを一人の男が通りかかった。中原淳一が描きそうな端正な顔立ちとスマートな体躯、しかし髭は無精で襟シャツとジーンズはヨレヨレというアンバランスな出で立ちだった。その若者を見るや、三土は声をかけた。

「草石”先生”、お忙しそうでなにより」

   (続く)