エクストリーム7年生 (14)

  第三章・舞台を止めるな (11)

 エクストリーム7年生が息を吸うのを止めると、大教室は静寂に包まれた。二階浪は袖から必死の思いで駆け出てくると、客席に向かってジェスチャーを始めた。両手を耳に当てて、「耳をふさげ」である。観客は理由を把握しかねていたが徐々に同じ動作をし、二人組も二階浪の動きに気づいて両手を肩口まで持ってきたとき──

「「「エェクストリイイイイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィム!!」」」

 二階浪は戦慄した。舞台上という近い距離にいたためエクストリームの大音声を直接聞いたのはもちろんだが、大教室の反響で四方八方から声が届いたような錯覚をした。そしてなにより教壇の床から伝わる衝撃が二階浪や観客を揺らした。ライブでドラムやベースの音が足元から響くことはあるが、エクストリームの場合は地震のごときであった。演劇部員として舞台の出演も鑑賞も積み重ねてきた二階浪ではあるが、こんな芸当のできる役者……いや人間は見たことがなかった。それは二人組も同じであった。しかも彼らは耳をふさぐことも叶わず、真正面から大音声を受けてしまった。

 やがて全てが終わったとき、二人組は首を不自然な角度に曲げてぐったりとしていた。

   (続く)