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『光り輝く、夕日色の水族館。』

あるところに、緑色のとんがり帽子を被った、モーブくんと言う男の子がいました。
彼の住む島は、青色と赤色の2色からなる海に浮かんでいます。
島の海岸から見て右側にはとても綺麗な深い青色をした海があり、
左側の赤色の海は、不思議なことに、夕日の時間になるとキラキラと光り輝きはじめます。
それは、夕日が海に沈んでしまうまでの少しの時間しか見ることの出来ない、誰もが魅了されるほど美しい光景です。
モーブくんももちろん、そのキラキラと輝く赤い海の美しさにすっかり魅了されていて、毎日のように夕日の時間になると、海岸から赤い海を眺めていました。

そんなある日、モーブくんはあの赤い海にあるキラキラの正体を知りたくなりました。
そこで島の皆んなに尋ねてみましたが、誰一人としてあのキラキラの正体を知る者はいませんでした。
モーブくんは、自分自身でキラキラの正体を突き止めることにしました。
ある日の夕日の時間帯、海岸から伸びた船着場の先に立ったモーブくんは、意を決して赤い海に飛び込んで行きました。

飛び込んでみると、思っていたよりも浅く、海水は海岸から見ていた時より薄めの赤色をしていて、肌にちょうど心地良い温度でした。
しばらく泳いでいると、モーブくんの周りに、カニや赤い魚達や生物が沢山集まって来ました。


魚たちは尋ねます。

「ねえねえ、一人で一体どこへ行くんだい?」

モーブくんは、

「あのキラキラの正体を探しに行くのさ!」と答えました。

すると、それを聞いたカニや魚達は、口々に話始めます。

「そのキラキラの場所、僕知ってるよ!あっちだって!」
「いや、違うよ!もっと南だよ。」
「いや、違うよ!北だよ!」
「うちのおばあちゃんはこっちって言ってたよ!」

魚達は自分達が知っている限りの沢山の情報を、モーブくんに良かれと思って教えてくれましたが、その余りの情報の多さと、それぞれに違う答えに、モーブくんは混乱してしまいました。

これではラチが開かない。そう思ったモーブくんは、魚達にお礼を告げて、この日は一旦、家に帰ることにしました。

その日、家に着いたモーブくんは考えました。
あのキラキラをどうやって見つけ出したら良いんだろう。。
色々考えたモーブくんは、あることを思い付きました。

「そうだ!僕が夕日を作れば良いんだ!」

キラキラが見えるのは、夕日のほんの少しの時間だけ。その夕日の時間を自分が作り出せば良い。そうしたらキラキラの正体を探し出せるかもしれない!
そう思ったモーブくんは、早速夕日作りに取り掛かりました。

何か良いものが無いかと家の中を見渡すと、沢山の懐中電灯と、夕日色のセロハンテープが、モーブくんの目に止まりました。
これならできるかもしれない!
そう思ったモーブくんは、家の中にあるありったけの懐中電灯をかき集め、ライトのところを、夕日色のセロハンテープでグルグル巻きにしました。試しに点灯してみると、夕日そっくりの色に光りました。大成功です。

次の日、モーブくんは早速夕日色の懐中電灯を握りしめて、再び赤い海に飛び込んで行きました。

赤い海を、
一人で、
泳いで泳いで泳いで。。

しばらく泳いだところで、ドキドキしながら自分が作った夕日色の懐中電灯で早速海を照らしてみました。

すると、海の中でキラキラと光る場所を見つけました。

キラキラを目掛けて泳いでいくと、赤い海の真ん中にある、誰も行ったことのない場所に辿り着きました。そして海の底を懐中電灯で照らすと、キラキラと光る物が見えました。


「やっと見つけた!!」

キラキラの正体、それは微生物でした。

モーブくんが作った夕日色の懐中電灯に照らされて、海の中でキラキラと光を放つ微生物達。
それはそれはとても美しい光景でした。モーブくんは、初めて間近で見るその光景にうっとりし、やっと探し求めていたものを見つけることが出来た喜びで胸が一杯になりました。

このキラキラと光る綺麗な微生物を島の皆んなにも見せてあげたい!
そう思ったモーブくんは、その微生物達をほんの少し持ち帰ることにしました。
そして、毎日ほんの短い夕日の時間しか見られなかった、皆んなの大好きなキラキラとした光景を、誰もがいつでも好きな時に楽しんで見られるようにと、自分の作った夕日色の懐中電灯と微生物達を使って、「光り輝く、夕日色の水族館」という名前の水族館を作りました。

モーブくんが作った夕日色の水族館に、島の皆んなは大喜びしました。

モーブくんのおかげで、夕日の時間にだけ訪れる、皆んなが大好きなキラキラとした美しい光景が、今では一日中いつでも好きな時に見ることが出来るようになり、小さい子供からお年寄りまで、皆んなが水族館に足を運ぶようになりました。
モーブくんは、島の人々の心を豊かにし、笑顔いっぱいにすることが出来ました。

そして、この光り輝く夕日色の水族館は、訪れる人々に、アイディア次第でいろいろなことが出来るんだということを伝え、勇気と希望を与えてくれました。


おしまい。




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最後までお時間を割いて読んでくださり、どうもありがとうございました。😊✨
こちらの物語は、私の第4作目で、私の大切な恩師、middle-note先生のメルヒェンテラピー(即興で物語を作る、物語療法)を受講させていただいた際に生まれました。

書いている時には、自分では気づかなかったのですが、モーブくんは私自身であった様です。

周りの言う事を気にしすぎて勝手に翻弄されて疲れてしまう生き方をしている自分から、自分を信じて自分の道を行く生き方が出来る自分へと変わりたいと望んでいる、自分の心の願いが物語を通して表れたのかもしれない。変わろうよ、と自分に訴えているのかもしれない、ということを、先生に伝えていただいて、涙が溢れました。

メルヒェンテラピーのWSを開催し、物語に隠された自分からのメッセージに目を向けさせてくださった恩師のmiddle-note先生と、この度、生まれ出て来てくれたモーブくんに感謝です。✨
本当にありがとうございます。☺️💓
これを読んでくださった方にも、私と同じようにモーブくんからのメッセージを受け取ってくださった方がいらっしゃいましたら幸いです。😊✨
いつも沢山の応援をありがとうございます。
物語は、なかなか書くことができていませんが、物語も含め、自分がしたかった色々なこと、やれていなかったこと、諦めてしまっていたことなどを、これからは沢山挑戦し続けていきますので、どうぞよろしくお願いします。💓

これからも皆さんにとってたくさんの幸せが舞い込んできますように。😊✨

ではでは今日も、
Have a beautiful day🙌💓

Nana



この度は最後まで記事を読んで下さりありがとうございます☺️💓 これからも素敵な日々があなた様に訪れますように^^ Have a wonderful day🙌💓✨✨